総胆管拡張症の開腹手術をした娘は小3の夏休み前半を小児外科の病室で過ごした
育ち盛りなのに絶食期間が長かったためすっかり痩せてしまった娘が不憫で、「もう何でも食べていい」という執刀医の言葉を信じて退院後は何も制限なく食べさせた
ところが退院後すぐにまた腹痛を訴え始め、「なんで?治ったんじゃないの?医療ミス?」と私は冷静ではいられなかった
痛くなるのはたいてい就寝後で、娘が痛みですすり泣く声で目覚める(しばらくこれがトラウマ)
膝に座らせてののじマッサージをしてそれでも痛がる時は病院に連れて行くが、着く頃には腹痛の症状はおさまり肝機能が異常に上昇していてそのまま入院というパターンが多かった
執刀医からは家での食事に問題があるのでは?みたいな感じで言われ「なら、これはこの量はこの食べ方はどうってちゃんと制限しろや」と本当に腹立たしかった
だいたい外科医はぶっきらぼうで細かい説明が足りないと思う
今思えば、主治医は少し頼りないけど優しい、執刀医は腕は確かで小児外科のエースだけどちょっと冷たいDrだった、まあどうでもいいけど…
結局、開腹手術をしたことでどこかしら癒着が生じているのと、胆管を取ってしまって肝臓に直接腸を繋げたので腸が多少ひっぱり上げられているのも関係しているのか食べたものの通りが悪くなってイレウスによる腹痛が起きていた
そしてその度に肝機能が異常に上がって入院
何回か繰り返して、次に大きいアタックがきたら腹腔鏡による癒着解除手術を考えると言われ、ほどなくしてそれはきた
腹腔鏡では見えない部位にも癒着の可能性はあるが、再度開腹することによる新たな癒着のリスクを考えると、腹腔鏡で今見えている大きな癒着を解除して日常生活が送れるレベルに改善することを祈った
手術を終えて、絶食からまず水分そして重湯と様子を見ながらレベルアップしていき、ある日ゼリーを食べた娘が腹痛を訴えた
すぐに病室に主治医を呼ぶと、主治医は涙ぐみながら「お母さん、残念だけどこれはもう開腹手術するしかないです」と…
そして娘は再度開腹手術で癒着の解除をすることになり、念入りに癒着防止シートだのステントだのを使いながら万全を期して行われた
結局退院はあと数日で新しい年を迎えようかという年末ぎりぎりになった
その後は全く腹痛もなくすっかりよくなって、、、と言いたいところだけどそんなことはなかった
便秘をしないように夜にテレミンソフトという坐薬を入れて必ず排便をする毎日を続けながら、月1回受診してレントゲン、血液検査をするのも長く続いた
少し食べ過ぎたり、脂肪分の多いものを食べると腹痛はあるが痛みに波があるのでそのうちに必ずおさまる、そしてしばらく消化のよいものやあっさりしたものを食べさせるの繰り返し
そのうちにだんだん「ああ、やっぱりお腹痛くなったか〜」と開き直るようになってきた
中学生になる頃には痛くてもいちいち親には言わなくなり、人知れず耐えていたのだと思う
もしくは親に言って食事を制限されるよりは痛み覚悟で食べたいものを食べる方を選んでいたのかも知れない
今でも気がつくとお腹をさすっている時があり、「痛いの?」と聞くと「ちょっとね〜、昨日から」みたいなことはちょくちょくある
親としては代わってあげることもできず、静かに耐えながら痛みと付き合っている娘を見るのは本当につらいが、それでも親元を離れて一人暮らしをして友達をたくさん作って楽しい大学生活を送り、これから自立しようとしている娘はすごいと誇りに思う
つらい経験をたくさんしている分しあわせになって欲しいと切に思う