立ち読みで偶然見つけて、はまりだした大人の絵本。

「不幸な子供」は、ある少女の悲劇を徹底的に冷めた視線で描ききった、なんともクールな絵本である。


少女の両親は死に、親戚も死に、一族に引き取られるも、寄宿舎ではいじめられ、脱走しては気を失い、思い出のロケットは盗まれるわ、酔っ払いのゴロツキに身を売られるわ、目は見えなくなるわ、しまいには逃げ出した先で、実は生きていた父親に、車で轢かれて死んでしまう。


ありきたりな勧善懲悪に疑問を抱いている若者諸君に、ぜひ読んでもらいたい。これこそが世の中の理なり。


この人は他にもAからZまでの頭文字を持つ子供の死因を順番に描いていく作品などもあり、徹底して不条理を突きつけたものが多い。


あと絵がヤバイ。


病的なまでに細い線描で、子供を取り巻く暗い運命を、これでもかと刷り込んでいる。その傍らには、「不幸」をイメージする一匹の悪魔が添えられている。


この画力と、淡々と進む語り口が相まって、なんともいえない奇妙さ、不気味さをかもし出しているのである。



この訳者も、作者の世界感が出るよう、うまいこと日本語を選んで訳すなあ。




不幸な子供/エドワード ゴーリー
¥1,050
Amazon.co.jp