今日は休日だったため、『ぼくらの』を終日鑑賞。


15人の子供達が地球の命運をかけた戦いに巻き込まれ、15体の敵と戦いを繰り広げていく物語。


このアニメが面白いのは、ただ襲ってくる敵を力を合わせてやっつけようぜ!というような前時代的なテーマではなく、一体の敵を倒すと、その引き換えに、一人の子供が命を落とすという点。


一体倒すたびにまた一人、また一人と消えていく命。その恐怖と戦いながらも、自分の家族や自分そのものを納得させるために、それぞれの理由で、戦いに立ち向かっていくところにその面白さがある。


何も知らずに死んでいく者、父親の権力に憧れ、無力なまま死んでいく者、残された身内のために自ら命を投げ出す者、戦わずして死ぬ者、戦いそれ自体に意味を見出せない者、死んでいった者たちの思いを胸に、本当の自由を勝ち取る者・・。


それぞれが、それぞれの個人的理由で、自分の内面と戦いながら、最後には思いを託し、果てていく。地球のために!とか、人類のために!とかの大義名分の全体主義には、なんの面白みもない。


あくまでも、パーソナル。


この私怨ともいうべき戦いの理由が、見るものを引き付け、納得させる。この上ないほどの共感を与えるのである。


ガンダムしかり。EVAしかり。


自分の個人的感情が、そのまま世界を救うことに直結している、または世界に重大な影響を及ぼす(それが無意識下であろうとなかろうと)という、いわゆる「セカイ系」の遺伝子を、正確に受け継ぎながらも、過去のアニメを踏襲し、なおかつ、消えていくパイロットの命という演出を加えることで、物語に悲しさとやりきれなさ、それを乗り越えていくことの重要さや勇気を見事に描いている。


ガンダムとも違う、EVAとも違う、ハルヒとも違う、まったく新しい可能性を秘めた「セカイ系」アニメ。


そんな思いを抱かせてしまうのが、この『ぼくらの』というアニメだ。



余談だが、このアニメを見たときに真っ先に頭に浮かべたのが、PS2ソフト『ワンダと巨像』だ。


すでにその類似点について言及している人も多いだろうが、どちらも大好きな創作物なので、ネタバレを交えながら、少し触れてみたいと思う。



●十数体いる敵を一人ずつ倒していくという点。


『ワンダ』では「巨像」という「敵」を倒すことがゲーム内で義務づけられ、巨像を倒さない限り、先へは進めない。


『ワンダ』では「巨像」対「人」という構図になっているのに対し、『ぼくらの』では「ロボット」対「ロボット」となっている点において、若干違いはある。



●「敵」を倒すことが、必ずしも「正義」とはなり得てない点。また、「敵」が明確な「悪意」をもって襲ってきているわけではない、という点。


『ワンダ』では巨像は実は守り神であり、悪魔をバラバラにして封じ込めていた、いわば「封印石」だった。主人公ワンダは、悪魔にそそのかされ、女の子を守るために、すべての巨像を破壊してしまう。


『ぼくらの』においては、敵のロボットには同じ人間が乗っていて、彼らもまた、彼ら自身の地球を守るために、主人公たちと戦わざるを得ない状況におかれているにすぎない。純粋な「悪」とは違う。



●「敵」を倒すと、主人公側がなんらかの負傷・ダメージを受けるという点。


『ワンダ』では巨像を倒すたびに、主人公ワンダが体に異常をきたしていく。身体が徐々に黒くなっていくという変化も、『ぼくらの』のパイロット選定の際、身体に妙な文様が現れる、という現象とよく似ている。


対して『ぼくらの』では、前述のとおり、敵を倒すとパイロットが一人ずつ死んでいく。



●どんでんがえし


『ワンダ』・・・巨像が実は悪魔を封じ込めたパーツ。


『ぼくらの』・・・敵は実は別の宇宙からきた人間。



●最後に(もっとも重要なことだが)、敵をすべて倒した最後、なんらかの「救い」が用意されている点。


これがないと悪趣味なただの悪夢アニメになってしまう。


『ワンダ』はその方法こそ間違っていたが、結果的に悪魔の能力か、復活の力の影響かわからないが、ヒロインである女の子は助かる。


『ぼくらの』でも、パイロットは全員死んでしまうが、その家族や身寄りはその後の地球でも生き続け、亡くなった者の遺志を継いで、立派に生きている。


この、定まった運命に逆らって、それでも前に進もうとする意志の力が、結果的に何かを残すことにつながるという、一環したテーマ。同じことが、『ジョジョ』や『ひぐらし』にも言えるだろう。



個人的には、ダイチの話が一番泣けました。


キャラ的にはウシロが一番好きだったので、最後まで戦ってくれてよかった。感動した。



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