- 『ポニョ』に続き、『スカイ・クロラ』鑑賞。
ややネタバレあり。
一言でいうと、表題にもありますが、「終わらない物語」ですね。「キルドレ」という、戦争が生み出した兵器としての、永遠に続いていくシステム。その概念もあってか、全体的に、まったりとした、ゆっくりとした、なんともいえないまどろっこしい雰囲気が流れています。
特に人物の会話や、「間」、展開の遅さ、最後までわからない宿敵「ティーチャー」の存在など、最近のスピード感のあるアニメに慣れきっている人には、最後まで見るには少しキツイ映画なのかもしれません。
世界感はゲームでいうと、最近DSでリメイクされましたが、『花と太陽と雨と』に近いです。こちらも「繰り返し」をひとつのテーマにした作品ですから。
『ポニョ』とは正反対で、死ぬことを、永遠の苦しみの螺旋から断ち切るための手段だと信じている「キルドレ」達には、ある種の後ろ向きさの結晶みたいなものが感じ取れます。この時期に、前向きさを凝縮したような『ポニョ』と、後ろ向きさの結晶である『スカイ・クロラ』が上映されたことは、なんか象徴的だと思います。
後者は、明らかに窓口狭いですが・・。
あと原作の森博嗣は、私の大好きな作家の一人です。
●映像
映像ですが、これはすばらしいです。戦闘機の動く描写。撃墜された時の黒煙と飛行機雲が青い空に同時に弧を描きながらクロスする様は、見ていて圧巻で、単純に美しさを感じます。このシーンだけでも見る価値はあると思います。
しかし残念ながらというか、個人的に合わないだけなのかもしれませんが、人物の描写があまり好きではありませんでした。なんというか、『イノセンス』のときも思ったんですが、この押井守監督の描く人物って、あまり生きた感じというか、生気が感じられないんですよね・・。
まあ、「キルドレ」という性質上、わざとそういう文脈を、人物にも当てはめているのかもしれませんが。
●音楽
これもいいです。『甲殻機動隊』のときのような、独特の太古のリズムやメロディを連想させるようなBGMは健在です。聞いていて、心地よくなりますね。
●脚本・演出
この辺が微妙ですね・・。せっかくいい世界観に根ざしているのに、脚本と演出が足をひっぱっている印象を受けます。人物同士のやりとりとか、会話にセンスがないような感じがします。こういうと失礼ですが。あと、展開が中だるみしますね。見終わった客が、ミートパイあたりで、「俺寝ちまったYO~」って言いながら出て行くのを見ました。
一番前で見たので、首がものすごく痛くなりました。熱中してみていると、こうはならないんですが・・。ひたすら一歩引いて、観察しながら見てましたね。
●まとめ
見終わった直後はイマイチ感が正直強く、なにかスッキリしない感じがしましたが、一日二日経ってみると、実はいい映画だったのでは・・と感じ始めている自分がいます。不思議な映画ですね。まあ、なんとか良さを見出すため、その方向にベクトルを位置づけようと、自分が無意識にしているだけなのかもしれませんが・・。
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