遅ればせながら、「ポニョ」鑑賞。

以下若干ネタバレ。


レイトショーで仕事が終わったあと駆けつけたので、終了時刻深夜0時半という、社会人としてあるまじき行為に打って出た。


まず私がCMで抱いた印象は、「ぽ~にょぽにょぽにょ♪」でも、「ぽにょ、人間になる!」でもなく、「映像の動きヤバス」だった。


リアリティと虚構と少しの不自然さを伴った、独特のあの動きは、これまでの宮崎アニメにも見られなかったし、今まで私が見たどのアニメとも異なっていた。


実際見て、やはりその感覚は正しかったと気づく。


絵本のような手書き風作画に、気持ち悪いくらいリアルな子供たちの動き。水の流れや船の動きは、うねる線のように描かれ、一見すると手抜き風な印象を受けるが、とんでもない。なぜかそれが、至って「リアル」なのである。


未見の人は、「お前はなにを言っているんだ?」と思われるかもしれないが、言っている本人も何を言っているのかわからない。そういう映像なのである。


とにかく、感覚でしか理解ができない。そういう映像なのである。


そもそも映像を言葉で表現すること自体が難しいので、私のような言葉足らずな人間には、到底無理な話だろう。


ゲームでいうと「サガフロンティア2」。


しかし、その虚構と現実の狭間にあるような映像が、なぜか心に残る。見ている者を釘付けにし、物語に引きずり込むような、独特の魔力があるように思う。


今までも宮崎アニメには、その「動き」によって観客を虜にする演出が垣間見られたが、それはあくまでも、「よりリアルに」という、前提においてだった。今回の「ポニョ」においては、それが見事に瓦解している。


一旦すべてを破壊し、その破壊の後に表現方法を模索したような、「リセットの後に来る潔さ」みたいなものがある。


まさに死の淵から再生したかのような映像美である。


それは時として、人間の生き方そのものにも当てはまるような気がする。



物語の前向きさや、家族の大切さなど、現代人が忘れた時間を埋めるピースとしての魅力を書くつもりだったのですが、映像の話で終わってしまいました。


また機会があれば、その類まれなる物語性にも触れたいと思います。




ジブリの森とポニョの海 宮崎駿と「崖の上のポニョ」
¥1,260
Amazon.co.jp