電車との接触事故で入院する宗佑。
彼はその偏愛から、ミチルに手紙を送り続ける。
それはエリのいう、永遠の愛の形ではなく、ルカが反論したように、他人を傷つけるだけの利己的なものでしかない。
サーキット場に足を運んだタケルは、ルカを中傷する手紙を目の当たりにする。
「岸本瑠珂は女の体に男の精神が入ったバケモノです」
エリもまた、ルカのパソコンから、ルカの秘密を知ってしまう。
居心地の悪さを感じ、シェアハウスを出ようとするルカ。
ルカは引越しの最中、ミチルと出会う。
初めて会った公園での最後の散歩を楽しむ二人。
だがそこには、かつて存在した清清しさはなく、ただ、ぎこちなさだけが去来する、お互いのすれ違う気持ちだけが残っていた。
一方タケルは、ルカの置き手紙を目にし、ルカの気持ち、秘密、思いを知る。
ルカに走りよるタケルは、再度ルカに告白する。
「なんでかわかんないけど、ルカのそばにいて、ずっと支えたい」
それに答えるように、抱き合う二人を、ミチルは静かに見つめていた・・・。
○感想
タケルの最後の告白は、宗佑のそれとは違い、溜め込んでいた真実を吐露するかのような、叫びにも近い、愛の形でした。
宗佑の「言葉にできる簡単な愛」と、タケルの「言葉にはできないが確かな愛」の対比が鮮やかで、人と人を結びつける決定的なものの正体を、つかんだような気分になりました。
お互い過去に傷をもつものとして、その傷をどう捉えるか、他人とどう関わることで、その傷からどうやったら自由になることができるのか。
他人を騙し、思い込みの中に埋没してしまう人は、きっと不幸なのでしょう。
他人に優しくし、自分の気持ちに素直になれる人は、幸せを手にすることができるのでしょう。
そういう結末を望んでしまう私は、きっとまだ青いのかもしれません。