宗佑の元へ走るミチル。


ルカはどうにもできない苛立ちをあらわに、「ミチルが行きたいって言うんだから仕方ない」と諦めの言葉を洩らす。


不安感を募らせるエリとタケル。


シェアハウスに帰るとそこにはオグリンの姿が。


妻をとるのか、分かれるのか、はっきりしないオグリンに対し、ルカはここでも苛立ちをぶつける。


一向に帰ってこないミチルを気にかけ、タケルはミチルの美容院へ。


しかしそこにはミチルの姿はなく、彼女はすでに退職した後だった。


タケルは業を煮やし、宗佑との同棲マンションへ。


鍵の開いているドアを開けると、そこにはただ呆然と人形のように家事をするミチルの姿があった。


危険を察知したタケルは、ミチルをカフェに連れ出す。


「こんなことはおかしい、異常だよ」と、束縛され、暴力をいいように受け続けるミチルに対し、必死にシェアハウスに戻るよう説得を続けるタケル。


しかしミチルは、「自分さえ我慢していれば、誰にも迷惑がかからない。これが一番いい形なの」と、現状の存続を望む。


タケルはルカやみんなの名前を出し、「抜け出そう」と、半ば強引にミチルを連れ出す。


横断歩道ですれ違う宗佑。


タケルは、追いかける宗佑を振り切ってタクシーを拾い、勤め先のバーにミチルを匿う。


やがて、ミチルはシェアハウスに戻るが、ルカはミチルを心の底から受け入れられないでいた。


自分の心を守るため、傷つかないように「壁」を作ることで、他人との距離を置いてきたルカは、ミチルに対し、冷たくあたってしまう。


自宅に入れられたルカを傷つける手紙。


「ときどきルカが分からなくなる・・・。遠いところに行ってしまったように、壁を感じるの・・・」とタケルに洩らすミチル。


最後の最後に砦を作ってしまうルカは、誰かに本当の自分(性同一性障害)をさらけ出し、理解してもらえない限り、自由にはなれない。


ルカは夜中の公園でタケルに秘密を打ち明けようとするが、タケルは先に自分の気持ちをルカに告白してしまうのだった・・・。




○感想


ルカは、タケルに秘密を打ち明けることで、本来ならその傷から自由になることができたはずでした。


しかし、タケルの告白により、またルカは自分の心の闇に落ちていくことになってしまいます。


なぜなら、「友人以上の仲間」という認識だったタケルに、その線を越えられたことで、もう、心を許せる相手がいなくなってしまったからです。


同じ傷をもった仲間だったからこそ、ルカは「壁」を取り壊すことができ、また秘密を打ち明けようとしたのです。


ルカはこのタケルの告白をきっかけに、おそらく、また同じような「壁」を作り、以前より強固で頑丈な作りにすることでしか、自分を保てなくなってくると思います。



誰かが自分の気持ちに正直になると、必ず誰かを傷つけてしまうという、このメビウスの環のような構図。


最終的に、どこへ行こうとしているのか、誰が善で誰が悪なのか、そんな単純な二元論では割り切れない確かな現実と、わずかな希望を乗せて、物語の船は波に揺られるまま、航海を続けていくのでしょう。