以前は、鹿児島県の甑島へ磯釣りに通っていた。
甑島といえば下甑。その下甑の手打近辺のとある瀬に釣友3人と上がった時の出来事だ。
この日のために、ニューリール・竿、それに初下しのクーラーを買い揃えた。、竿、リールはゲンを担いで食いが立ったときに使うことにした。
この日は波もなく穏やかで、東シナ海に面しているためか少し波長が長いウネリがあった。
「この天候なら今日、明日は釣れるぞ」と期待に胸を膨らませる。
瀬に上がれば、まず道具を波が洗った形跡がない所に移しベースキャンプを作って準備する。
その後、釣り座をベースキャンプのすぐ下に構えた。タックルは、使い慣れた愛竿とリールだ。
しかし、粘れど粘れどアタリも無くエサだけ残る。タナ、仕掛けを工夫しても状況は変わらなかった。業を煮やし、釣り座を瀬の左奥に移動した。
それから30分ほど経ってアタリが出始めたころ、私を呼ぶ釣友の声。
何事かと視線を移すと、海面にクーラー、竿ケース、バッカンが浮かんでいる。
てっきり「釣友の道具だろう、回収の手伝いをするか」などと思いながら行ってみると、何と私の道具だった。
仕掛けを投げるが、こういう時に限って針が道具に掛からない。
瀬渡しの船長に電話するも圏外だ!そうこうしている間に道具は流れに運ばれていき、なす術もなくなった。
そして、コツコツ買い揃えてきた道具が見えなくなる。
予備竿・リールまで含めるとウン10万円だ。おまけにクーラーには食料も入れていた。がっくりと気落し、暫くは竿を振る気にもならなかった。
釣友にその時の状況を聞くと、「突然大きなウネリが這い上がってきて、先輩が最初に釣っていた場所へウネリと共に道具が流れ落ちていった。移動していて良かったですね」とのこと。
釣友たちも大きな被害はなかったものの、濡れたりバッカンを流されるなどしていた。
悔やんでみても仕方ないし、「道具が身代わりになってくれた。うん10万円で自分の命が助かったんだから安いもんたい」と本気半分負け惜しみ半分の強がりを言った。
その後1年半位は、釣行回数を減らし道具揃えに苦労させられた。
磯釣りをされる方は私の二の舞にならないように、まずここまで上げる?と思うくらいの場所に道具を置くことをお勧めし、安全に釣行をされるよう祈って筆をおきます。
お土産は無くてもいいんです 貴方の笑顔が一番のお土産です