『さざなみのよる』木皿泉
木皿泉は夫婦作家だ。
もとい、夫婦作家になった方たちだ。
元々仕事上のパートナーだったお2人は、ご主人が脳梗塞で倒れ、後遺症を負ったのを機に夫婦になった。『昨日のカレー、明日のパン』以来5年ぶりの著作となれば読まずにいられない。
読みはじめて40数ページ。
もう3回も泣いてしまった。
あっちからもこっちからも幸せという名のものが溢れてきて、慌てて両手を差し出してみても、抱えきれずにこぼれ落ちていく。
あぁ、自分はこんなにも幸せなんだと思わされる。
大切な人を失うかもしれなかった悲しみと、生きていてくれることのありがたみを知る2人だから書ける1冊。
さあ、存分に泣いてください。