漆の学校
静岡浅間神社で開催された『漆の学校』に参加してきました。
現在静岡浅間神社では20年かけて行われている平成令和の大修理の期間中で現在大拝殿の修復を5年かけて行っている最中。
この大修理のメインは漆の塗り替え。
2年前にも工事現場見学会に参加して漆についていろいろ教えてもらったので、ざっくりとは分かってはいたけど、今回は大拝殿の2階部分も見られる貴重な機会。
漆について説明すると
漆は植樹してから15年くらいで原料となる樹液が取れるようになる。
1本の木から取れる量は大体200cc程度
1kgで15万円位する
数年前に塗り終えた楼門で1tの漆を使用した
国内で取れる量では足りないので中国産の漆を混ぜて使っている
そんなわけで現在オクシズ(静岡市の北部の山間部をそう呼ぶ)で漆の植樹を進めて市内の久能山東照宮や静岡浅間神社で使う漆を賄おうという活動があり、その活動を知らしめるため、今回の漆の学校もその一環として開かれたもの。
上の写真のパンフレットの上にあるものは植樹された漆の木で作られた猪の目で参加者に配られたもの
静岡浅間神社は、本殿の向かって右側の神部神社、左側の浅間神社など7社56柱の総称
今川の人質時代に徳川家康がココで元服するなど縁が深く徳川幕府からも保護されてきた。
江戸時代中頃に火災で消失し、ちょうど大河ドラマべらぼうの蔦重が亡くなる位の時期から60年かけて幕末に再建。
大拝殿は神社建築では珍しい2階建で漆塗の神社建築としては日本一の高さを誇る
今回の見学会は写真は撮ってもいいけどSNSの掲載は禁止ということなのですが、清水南高校の芸術科が見学した様子をXにアップしてて、こんな感じで修復作業などを間近で見られました
工事が終われば高い位置に戻され見上げるだけですからね、滅多にない貴重な機会です
美術専攻です。3年生が静岡浅間神社の保存修復を見学させていただきました。浅間神社の歴史や、普段は見ることができない漆塗や彩色、装潢修理など、文化財の修復について、間近で学ぶ貴重な機会となりました。ありがとうございました。#清水南芸術科美術専攻 pic.twitter.com/F7HRTs3A7g
— 【公式】清水南高等学校芸術科 (@s_minami_h_art) 2025年12月12日
天井画は狩野栄信、狩野寛信によって描かれたとので美術品としての価値は高いものの、天井画となると建物の一部とみなされてしまう。今回修理予定ではなかったものの傷みが進んでいるため外して修復することになった。1枚当たり1000万円かかるらしく10枚で1億円
彫刻は諏訪地方の立川流という一派によるもので、この流れが明治時代になって先週行った見付学校の隣の淡海国魂神社など遠州地方の神社や屋台の彫刻の流れとなっているのだそう
そして今回は足場からですが2階部分に上がれました。大拝殿は富士山を模した作りで1階と2階の間に雲の彫刻が彫られ、2階部分はいわば神様の領域。こんな機会がなければ上がることなどできない場所です。
さらに大拝殿の後ろにある本殿も普段は一部しか見られないけど、今回は宮司の宇佐美さんに説明してもらいながら全景を拝むことができました
今回の講師は静岡文化芸術大の新妻淳子准教授で先週の見付学校の講師も勤めた方
中世から近代の建築に詳しくまた保存活動にも尽力され学生さん達と歴史建造物に興味が持てるようにと関わった建築物を静岡名建築カードとして作成配布してます。現在5枚あって先週の見付学校に続いて八千戈神社カード貰いました
浅間神社には今年の正月以来に来たんだけど、大河ドラマ館としても利用された旧静岡市文化財資料館が取り壊されてて、中にあった駿府城公園にある徳川家康像の元になった塑像も壊されたそう。もったいない気もするけど、劣化してたしデカすぎて移設する場所もないから仕方ない



