轢き逃げ 最高の最悪な日

 

〈スタッフ〉

監督・脚本 … 水谷豊

音楽 … 佐藤準

主題歌 … 手嶌葵「こころをこめて」

 

〈キャスト〉

宗方秀一 … 中山麻聖

森田輝 … 石田法嗣

白河早苗 … 小林涼子

前田俊 … 毎熊克哉

時山光央 … 水谷豊

時山千鶴子 … 檀ふみ

柳公三郎 … 岸部一徳

 

〈あらすじ〉

とある地方都市で発生した轢き逃げを巡り、加害者、被害者遺族、刑事たちの人間模様が交錯する。ある出来事からこの轢き逃げの裏に隠されたやるせない衝撃の真実が浮かび上がる…。その先に待つものは、再生か、崩壊か…?

 

〈レビュー〉

星5段階評価 … ★★★★☆

鑑賞手段 … WOWOWシネマ「W座からの招待状」

鑑賞日 … 2020年7月5日

 

※内容にネタバレを含みます。

 

加害者、被害者遺族の視点の切り替えが鮮やかでした。

どの立場の描き方も公平かつ真摯な眼差しで見つめられており、

水谷豊監督の演出手腕が見事だなと思いました。
 

前半は加害者側の焦燥が描かれ、

いつ逮捕されるか分からないというスリルがありました。

このままラストまで、逃げ切るか捕まるかの緊迫した加害者の様子が

描かれるのかなぁ、と思いきや、あっさりと逮捕されてしまいました…。
 

ここから何を描いていくのか気になりながら観ていると、

視点が被害者の父親に変わり、娘の死に疑問を感じて

独自に調べていく父親の捜査劇が展開されました。

物語の様相が変化し、ミステリーの風味が現れ、

意外な真相が明かされたりと、

さすが刑事ドラマや2時間サスペンスに多く出演している水谷監督らしい

どんでん返しだなと思いました。

加害者の贖罪、遺族の悲しみ…。

虚しい事件の真実により、元々一筋縄でいかない問題が、

余計に痛みを伴って、突きつけられて来たように感じました。
壊れるのは一瞬。その後に待っているものは再生なのか、

それともさらなる崩壊なのか…?

だが、どれほど残酷な出来事が降り掛かろうと、

生きていかなくてはならない…。
 

もしかすると、彼らに待っているのは、生き地獄なのかもしれない…。

両者が、一生消えることの無い痛みを抱えたまま、

何に光を見出だせば良いのか?

心が重くなったところで、ラストシーンに救われたような気がしました。

番組ナビゲーターの小山薫堂と信濃八太郎の

エピローグ・トークでも言及されていましたが、

亡くなった娘の誕生日を祝った母親が泣き崩れるシーンに泣かされました。
それまで悲しみに暮れること無く過ごしている様子だったので、

「娘が死んだのに、こんなもんなんかな?」と違和感を覚えてしまいましたが、

誕生日を祝ったことで、もう永遠に歳を取ることがない娘の死を実感し、

堪えていたものが決壊したのかもなと考えると、涙が止まりませんでした。

【余談】
真相を探るために、加害者の住居に不法侵入までした被害者の父親でしたが、

おとがめ無しのような感じだったのが釈然としませんでした。

結果的にそれが犯人再逮捕に繋がったから、不問とされたのでしょうか?

だけど、あの特命係の変人警部なら、絶対に許さないだろうなぁ~(笑)

少年H

 

〈スタッフ〉

監督 … 降旗康男

脚本 … 古沢良太

原作 … 妹尾河童

音楽 … 池頼広

 

〈キャスト〉

妹尾盛夫 … 水谷豊

妹尾敏子 … 伊藤蘭

妹尾肇 … 吉岡竜輝

妹尾好子 … 花田優里音

うどん屋の兄ちゃん … 小栗旬

下山幸吉(オトコ姉ちゃん) … 早乙女太一

田森教官 … 原田泰造

久門教官 … 佐々木蔵之介

吉村さん … 國村準

柴田さん … 岸部一徳

 

〈あらすじ〉

昭和初期の神戸。名前のイニシャルから「H(エッチ)」と呼ばれる少年・肇は、好奇心と正義感が強く、厳しい軍事統制下で誰もが口をつぐむ中でも、おかしなことには疑問を呈していく。Hはリベラルな父・盛夫と博愛精神に溢れる母・敏子に見守られ成長していくが、ある日、ついに神戸が大空襲に見舞われ…。

 

〈レビュー〉

星5段階評価 … ★★★★☆

鑑賞手段 … 日曜洋画劇場

          WOWOWシネマ

鑑賞日 … 2014年8月17日

         2020年7月5日

 

太平洋戦争を子供の視点で描いていることに、

本作の大きな存在意義があるように感じました。

戦争の残酷さや当時の市民生活の厳しさが、

余計に際立って来るようでした…。

理不尽で納得のいかない出来事ばかりが周りに溢れていて、

主人公・H少年の頭は疑問だらけ。

しかし、その疑問は飲み込んで

胸の奥にしまっておかなければならない世相…。

それも彼にとっては「なんでなん?」と疑問に感じるわけで…。
 

そんな彼を優しく見守る水谷豊・伊藤蘭の実生活でも夫婦な両親。

時勢の割にはリベラルで開明的な考え方を持っている父親が、

Hを正しく導くために優しく語り掛ける言葉の数々に、

涙が止まりませんでした。

彼のような姿勢を貫くのが困難な時代に、

強い意思を持つことのどれだけ尊いことか…。

大変な状況に陥ったときこそ、

時勢や周囲に簡単に流されてしまうのではなく、

しっかりと自分の頭で考えて、

物事の真実を見極め、決して己の信念を失ってはならない…。

レディ・プレイヤー1

 

〈スタッフ〉

監督 … スティーブン・スピルバーグ

脚本 … アーネスト・クライン、ザック・ペン

原作 … アーネスト・クライン「ゲーム・ウォーズ」(SB文庫)

撮影 … ヤヌス・カミンスキー

音楽 … アラン・シルベストリ

主題歌 … ヴァン・ヘイレン「Jump」

 

〈キャスト〉

ウェイド/パーシヴァル … タイ・シェリダン

サマンサ/アルテミス … オリヴィア・クック

ノーラン・ソレント … ベン・メンデルスゾーン

ヘレン/エイチ … リナ・ウェイス

オグデン・モロー … サイモン・ペッグ

ジェームズ・ハリデー … マーク・ライランス

ゾウ/ショウ … フィリップ・チャオ

トシロウ/ダイトウ … 森崎ウィン

 

〈あらすじ〉

2045年。荒廃した世界で生きる人類は、「オアシス」と呼ばれるVR空間に入り浸ることで、現実逃避していた。その「オアシス」では、先日死去した創始者ハリデーの遺言により、ゲーム内の3つの鍵を手にした者に、「オアシス」の経営権と彼の遺産5000憶ドルが授けられるという「アノラック・ゲーム」が開催されていた。スラムで暮らすウェイド/パーシヴァルはゲームをクリアするために奮闘していたが、やがて「オアシス」を支配することを企むノーラン・ソレントの陰謀に立ち向かうことになり…。

 

〈レビュー〉

星5段階評価 … ★★★★★

鑑賞手段 … Blu-ray

          金曜ロードSHOW!

鑑賞日 … 2018年9月17日

         2020年7月3日

 

これぞ、オタクが精魂込めてつくり上げた、

オタク文化への愛が溢れんばかりに詰まった、

まさにオタクによるオタクのための映画!!!

映画館で観られなかったことが悔やまれる…。

今やオタクの購買意欲が経済を支えていると言っても、

決して過言では無い…。そんなオタクの底力を知る上で、

本作はゼッタイに外せない一本!

オタクにだって世界を救えるんだぁ~!

「80年代ポップカルチャーを愛する者よ、集まれ!」
的なテンションのとっても楽しい作品でございました(笑)
 

スティーブン・スピルバーグ監督は、やっぱり偉大なクリエイターやなぁ…。

大分お歳なのに、こんな若々しいテンションの映画を撮れるなんて…。

ふんだんに盛り込まれたオタクの琴線に触れて来る小ネタの数々、

ボーイ・ミーツ・ガールな王道ストーリー、

VR空間を舞台にした息も吐かせぬアクション…。

どれを取っても、映画の楽しさに満ち溢れていました!

最初から最後まで無条件にたぎりまくりでした。
 

スピルバーグ作品ならではと言える、

子供視点の描写が本作の魅力のひとつだなと思いました。

エイチの工房はある種の秘密基地でしたし、

大人の汚い陰謀に巻き込まれ、仲間たちと力を合わせて立ち向かう姿は

どこかしら「E.T.」のエリオットたちと重なるところがありました。

仮想空間内での交流を通して、現実世界でも苦難を共にし、

真の友情で結ばれていく様は、時代を象徴しているような印象を受けました。

とにかくオアシスで遊びたい!(笑)
「BTTF」のデロリアンと「AKIRA」の金田のバイクのレースが観られるなんて!

キングコングに「ジュラシック・パーク」のティラノサウルス・レックス、

アイアン・ジャイアントまで出て来るとは! 目を凝らせば他にもゾロゾロ…。
 

ガンダムとメカゴジラという男の子なら興奮必至であろう夢の対決カード!

「俺はガンダムで行く」―名ゼリフに認定!(笑)

 

特撮オタクの視点で呟くと…

ここに登場するメカゴジラは、「ゴジラVSメカゴジラ」のポスターに描かれた、

生頼範義先生のデザインを元にしております。

原作では「ゴジラ×メカゴジラ」の機龍が登場しているそうですが、

映画本編では実現せず…。それにしたってチョイスがマニアック!!!

フィンガーミサイルを発射するポーズは昭和メカゴジラそのものだし、

オタク心を敏感に刺激して来る演出がやっぱりたまらんぜ!!!

それはさておき…
生き辛い現実から逃避するためにつくった仮想現実が、

逆に現実の良さを実感させられるキッカケとなった…。
どれだけしんどくても、どれだけ悲しくても、

頑張って現実で生きていこうよ…ってことやねぇ~(^o^)

あぁ、なんて素敵で贅沢な映画なんだ!!!