「京成杯・G3」(17日、中山11R)
 急坂でのたたき合いを制した。1番人気のエイシンフラッシュが、逃げ込みを図るアドマイヤテンクウに鼻差で競り勝って重賞初制覇。横山典は16年連続となる重賞Vを決めた。次戦は未定だが、牡馬クラシック戦線へ向けて大きく夢が広がった。2着は3番人気のアドマイヤテンクウで、3着には直線で脚を伸ばした2番人気のレッドスパークルが入った。
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 寒空の下、繰り広げられた熱い戦い。中山名物の最後の急坂、横山典を背にしたエイシンフラッシュの漆黒の馬体がひと追いごとに伸びた。逃げ粘るアドマイヤテンクウを鼻差かわして、先頭でフィニッシュ。着差以上の強さを感じさせる内容で、初めての重賞挑戦で見事に勝利をつかんだ。
 11日の中山4Rでの落馬事故で、騎乗予定だった内田博が骨折。急きょ回ってきた手綱だった。横山典は「イメージ通りのいい馬だったよ」と笑顔。ただ、レースの流れはイメージとは違っていた。「行く馬がいなければ“行っちゃおう”と思っていたのに、まさか安藤さん(安藤勝=アドマイヤテンクウ)が前にいるとは」と振り返る。
 それでも、この勝利が16年連続の重賞制覇となったベテランは少しもあわてなかった。「まじめ過ぎて引っ張るのが大変だったけど、ゴーサインを出せばいつでもはじけそうな感じだった。厩舎スタッフがちゃんと調教してくれているし、ウッチー(内田博)もレースを教えてくれていたからね」。2度の勝利に導いている前任者、そして周囲への感謝を口にする。
 藤原英師も同じ思いだ。「きょうはノリに感謝。ウチの厩舎の馬のことをよく理解して乗ってくれる。それにノリを譲ってくれた、ほかの調教師の理解もあった。みんなに感謝やな」。信頼関係が実を結び、Gタイトル獲得へとつながった。
 次走は未定だが、もちろん皐月賞(4月18日・中山)、ダービー(5月30日・東京)が大きな目標になる。「まだまだ成長途上。しっかりしてくれば、ラストももっと力強くなるはず」と指揮官は伸びしろを強調。春にはさらに成長した姿で、牡馬クラシックの舞台に立っているはずだ。