ばあちゃんに、

「ひまわりの種、買って来て」

と頼まれました。

なぜ?と思い、聞いてみると、

裏庭にリスが遊びにくるそうで、

そのリスにあげるエサだそうです。

うわぁ〜、ばあちゃん、リスを餌付けしてるなんて、すごい!

リスは毎日来るのか、それとも数日おきに来るのかわかりませんが、

エサを置いておくと、

なくなっているそうです。


ひまわりの種がなくなっているか、見に行くと種はなくなっていて、少し離れた所に頬を膨らませたリスを見かけるそう。


ある時からリスは、よりたくさんほっぺにエサを頬張って帰るようになって、

「きっと、こっこ(赤ちゃん)ができたんだわ」

と、ばあちゃんが嬉しそうに

教えてくれました。


その次の年だったか、夫が自宅の脇にひまわりを植え、種がたくさん取れて、

ばあちゃんの餌付けのお役にたてたりしたのも懐かしいです。


リスが来なくなったと、ばあちゃんに聞いたのは、それからどのくらい後だったか。


「キツネに喰われたんだわ、おそらく。」

と、ばあちゃんは寂しそうでした。


私は、ばあちゃんがリスにエサをあげている姿を一度も見たことはありません。

きっとばあちゃんも、リスを抱いたり、触ったりしたこともないのでしょう。

そんなことが目的でもないのですね。


ばあちゃんが置いたひまわりの種を、リスがおいしそうに食べている。

そして裏庭の少し離れたところから、優しい目でリスを眺めているばあちゃんの姿を、

とてもキラキラと思い描くことができる気がします。