2022.04.24
コストプッシュ型インフレとデフレギャップ
テーマ:★つ・ぶ・や・き★
カテゴリ:政治経済
予想通り、コアコアCPIのマイナス幅が縮小しました。食料・エネルギー価格を除いているとはいえ、運送費などを経由し、輸入物価上昇はコアコアCPIにも影響を与えます。
3月のCPIは単前年比+1.2%、コアCPIが+0.8%、コアコアCPIが▲1.6%。CPIとコアコアCPIの乖離は2.8%と、二十一世紀最大に達しています。
2008年の資源バブルの時でさえ、乖離は2.1%でした。
資源バブルのころとは異なり、今回はエネルギーに加え食料の輸入価格も高騰しています。輸入物価が食料、エネルギー価格を押し上げ、CPIをプラスかさせて行っているわけです。(間接的影響で、コアコアCPIもマイナス幅が小さくなってきましたが)
【日本の消費者物価指数の推移(対前年比%)】
http://mtdata.jp/data_79.html#CPI
輸入物価が上昇したところで、国民の所得が増えるわけではありません。上昇分の所得は外国に向かいます。
日本国民は「所得が上昇しない状況で、支出が増える」わけで、可処分所得が減ります。可処分所得減少は「次の支出」を減らすため、経済はデフレ化します。
自民党政調の財政政策検討本部で、第一回目の講師のおひとりだった永濱利廣氏が、
「デフレ脱却はインフレ率のみならず、デフレギャップなども参考に総合的に判断するべき」
と、仰っていたのは、まさに輸入物価上昇によるコストプッシュ型インフレを想定していたためでしょう。
『所得の海外流出額、なぜ度肝を抜くレベルに?需給ギャップ、2年以上マイナスの可能性
永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト
◇ウクライナ戦争以前と以降で異なる景気
昨年5月から始まった景気の低迷は、ウクライナ戦争以前とそれ以降ではまったく局面が異なる。ウクライナ戦争以前とは、今年の2月までである。当時の景気下押し要因は、新型コロナウイルスの感染拡大によって行動制限が相次いで発出され、個人消費が急減したことであった。こうした中、世界的な半導体をはじめとした部品不足などの外的ショックが 追い打ちをかけた。
これに対して、ウクライナ戦争以降とは、ロシアへの経済制裁の影響が表れ始めた今年3月以降である。それまでも上昇していた原油価格が急激に上昇し、穀物価格も既往ピークの2008年の水準に近づくなど、今後の厳しさがさらに警戒される状況となっている。
このように、ウクライナ戦争以前は国内の行動制限による景気低迷に対し、ウクライナ戦争以降は交易条件の悪化に伴う景気低迷が予想される。(後略)』
記事タイトル: コストプッシュ型インフレとデフレギャップ
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