「うらぁぁぁぁぁぁ!!」
パンプさんが駆け出す。
大きな狩猟笛をもっているのにかなりのスピードだ。
イヤンクックが大きな翼を広げ洞窟の中に降り立つ。
そして走ってくるパンプさんに気づいた瞬間だった。
「だぁ!!」
パンプさんが笛を振り下ろす。
それは見事なまでに右目の辺りに当たり、ガッっと音が響いた。
しかし頭の甲殻の硬さは高いらしく、一瞬ひるんだクックだったがすぐに持ち直した。
「クェェェェェェ!!」
翼を広げ、仁王立ちの構えに入ると、口から火玉を吐き出す。
「ぬおぉっ」
パンプさんは体をひねり、火玉をかわした。
「ちっ、流石に硬いか・・・スキッパー、合図を送ったらさっきのを」
「あ・・・分かりました!」
ふぅ、っと軽く息を吐くと、パンプさんは再度突撃をかける。
体をかがませ、一気に間合いを詰めていった。
クックもそれを見て大きなクチバシを振り上げ攻撃態勢に入る。
僕も音爆弾が届く範囲まで間を詰めた。
クックがクチバシを振り下ろす。
直撃したら、いくら防具があるとはいえひとたまりもないだろう。
「うおぉぉぉ!!」
振り下ろされるクチバシ。
それを間一髪でかわし、懐に入った。
「ぬん!!」
横から振り抜いた狩猟笛は体にモロに当たった。
クァァ・・・と、クックが苦しそうな声を出す。
「スキッパー、今だ!」
その声を聞き、僕はすぐさま音爆弾を投げた。
クックの耳の、約1mの辺りで音爆弾が破裂する。
キーン、とい音が響き、洞窟内でこだまする。
パンプさんはクックと距離を置いた。
「スキッパー!弓をつがえな!耳を狙うんだ!」
そういうとパンプさんは口を笛に当てた。
僕もすぐさま弓をつがえる。
クックは音爆弾の音を聞いたせいで、フラフラとしている。
平衡感覚がなくなっているのか、足元が生まれたての馬や牛のようになっている。
パンプさんの笛から、激しい曲が流れてきた。
前に聞いたときとは違い、心の底から力があふれるような。
一瞬だけだが、空気の流れが変わった。
「今だ!!」
パンプさんの声が響く。
僕は冷静に矢を放った。
自由になった矢は風を切ってクックへ向かう。
そしてフラフラになっているクックの耳を貫いた。
「どぉぉらぁぁぁぁぁ!!」
パンプさんが一気に頭を叩きつけた。
ずぅん・・・と、笛は頭ごと地面に落ちる。
「・・・ん、息をしてないね。よし!スキッパー。討伐完了!」
倒した・・・。
小さな獲物の狩じゃなくてこんなに大きな敵を・・・!
まぁほとんどパンプさんの手柄だけど・・・。
「よし!それじゃ帰るとするかね。」
一歩踏み出し、急に止まってクルリと振り向いた。
「おっと!忘れてた。こいつの耳は素材価値が高いからね。これだけ持っていこう」
パンプさんは腰から小さなナイフを取り出し、起用に耳を剥いでいく。
僕はそれをただただ見ていた。
すると、パンプさんは
「ん?何見てんの~あんたも剥がないと!」
「え!僕がですか!?」
モンスターから素材を剥いだことなんて一回もない。
しかしこれも、ある意味ハンターの仕事なのだ。
とはいえ今まで狩なんて全然できてなかったからな・・・
「仕方ないね~、じゃぁ今からやるから見てな?」
多くの素材を手に入れ街に戻ってきた。
帰りはキャンプにつないでいた馬車から戻ってきた。
「さぁて、飲むのは明日にして・・・今日は寝ておくかい?」
その言葉で一気に疲れがおそってきた。
狩の緊張と興奮、その余韻だけで疲れなんて忘れていた。
「あ、はい・・そうしましょう」
「んん、それじゃ宿に戻りますかい。」
パンプさんは相変わらずのニコニコ顔だった。
今日が特別な日になった・・・明日からクエストが始まる。
そして夜はふけていった。