宿から出ると、太陽はもう十分に昇っている。
幅の狭い道を、酒場の方を目指してすすむと大通りにでた。
そこからはハンターの長老が住む、ギルドの本部とも言える大老殿が見え、馬車が通り、見たことも無いような装備を身につけているハンターが行き交う。
活気に溢れた通りだ。
「そういえば工房には行ったことがないな・・・」
そういえば都についた時に、入り口の大門のそばに工房があったような。
自分が住んでいた村で揃えた装備だと、どうしても心もとない。
大門を目指して進もう、そう思い歩き出そうとしたが、ふと道の端に、なにやら人だかりができているのが見えた。
人間の心理だろうか、ついついそういう所には行きたくなる。
無意識のうちに、そっちの方に寄っていってしまっていた。
みると、大きな掲示板にある張り紙に集まっているようだ。
普段、この掲示板には例えば火山にランゴスタが大量発生だとか、クエスト関連の情報が掲示してある。
しかし、注目されているのはどうやら違うもののようだ。
「・・・しっかし、ハンターズギルドから追われるなんてどんな人間だろうなぁ?」
「さぁてなぁ。大方、クエストに同行した仲間を誤って殺しただとか・・・そういうもんじゃねぇのか?」
ハンターズギルドから追われる・・・?
そんな話は今まで聞いたことがないが・・・
「噂だと大老殿から機密情報を持ち出したとかだぜ?」
「へぇ、今時、大老殿にそんな旨い情報があると思えないがなぁ」
掲示されている張り紙には似顔絵が描いてあるようだ。
しかし、顔の顎から鼻までを黒い布で覆っている絵で、本人を見ても見当がつかないだろう。
「名前とかは載ってないのか?」
「さぁなぁ、どこにも載ってないな」
「名前も分からない、似顔絵も分かりづらいものしかないんじゃギルドの連中も追うに追えんだろ」
「ちがぃねぇ」
周りの人の話が本当なら、少なくともこの人は大老殿に忍び込んだことになる。
それか、大老殿に入ることを許可されているハンターか・・・
どちらにせよ、そんな人物が追われているのなら、ハンターズギルドにとって都合の悪いことが起きているのだろう。
ふと我に帰ると、話し合っていたハンターは消え、掲示板の周りにはクエスト情報を見に来ている人がちらちらといるだけだった。
あぁ、そうだ、工房に行こうとしていたんだ・・・。
僕はまた、大門のほうに向けて歩き始めた。