エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて -42ページ目

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『管制塔』


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【出演】
山崎賢人、橋本愛、松田美由紀、利重剛


【監督】
三木孝浩




“ふたりの未来を見守る場所……管制塔”




日本の最北端の最果ての街・稚内に生まれ育ち、どこにも自分の居場所を見つけられずにいた孤独な中学生の藤田駈、15歳。

クラスメイトたちには高い壁を作り、いつも‘無音’のイヤホンを耳にあて自分の世界に閉じこもっている。

「また今日も変わらない毎日の始まり……のはずだった」


そんな彼の前に、『ムーミン』のミィのような転校生・滝本瑞穂が現れる。


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彼女も駈と同様にクラスメイトには全く馴染もうとはせず、自分の世界に閉じこもっているが……。

ミィが転校してきた理由は、父親の借金のため。それが原因で日本各地を転々としているらしいことが分かり、ミィを快く思っていない女子たちのイジメの対象になってしまう。


そんなある時、誰もいない講堂でピアノを弾くミィを目にした駈。

「君はスヌスムムリクみたいだね」
「何それ?」


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孤独な二人はやがて心を通わせるようになる。


「音楽好きなんでしょ?」
「君は好きじゃないのかい?」
「う~ん、まぁ、別に……」
「スヌスムムリクのくせに?」


そして駆が家で古いアコースティックギターを見つけたことがきっかけで、
「バンド、バンドやるよ!」
「え?」

こうして、ミィの提案でバンドを結成することになり……音楽の練習や曲作りを通して二人の絆は深まっていく。


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そんな二人をいつも見守っていたのは……


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「ね、あれ何?管制塔?」
「この街を一望できる展望台」
「展望台かぁ、でもやっぱり管制塔に見えるよ。旅人の未来を見守る管制塔。この場所にまた戻ってこれるかな……」


しかし二人の幸せな日々は、長くは続かなかった……ずっと続くと思っていた毎日は……。


「僕は本当に無力な15歳で、今、ミィの為に出来ることといったら、目印をつける事と歌い続ける事しか思いつかなかった」


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北海道の稚内を舞台に、中学生の男の子が転校生の少女と出会い、音楽を通して自分の居場所を見つけていく姿を綴る青春ストーリー。


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共に孤独だった駆とミィだが、家庭環境は真逆。

いつも笑みを絶やさない優しい父親、あっけらかんとしていて明るい性格の母親、素直で真面目なな弟と……裕福な暮らしで幸せな家族を持つ駆。
しかし彼はそんな家庭にも学校にも居場所を見つけられず、悶々とした毎日を送っている。

一方のミィは借金に追われる父親との二人暮らしで転校を繰り返している。
古ぼけた借家住まいで、生活は決して楽ではないようだ。
詳しくは語られていないが、以前は裕福な暮らしをしていたものの父親の事業の失敗で(それが原因で両親は離婚?)生活が一変してしまったことが想像できる。


そんなミィが駆の家の夕食に招待されるシーンが印象的。

ミィと知り合ったことがきっかけで徐々に家族にも溶け込むようになってきた駆。
鍋を囲んでの夕食は笑顔が弾け、賑やかで楽しい駆の家族。
ミィはしばらく味わったことがない一家団欒の和やかな光景に身を置き、とても嬉しそうな笑顔を浮かべるも、その裏には羨ましさと淋しさが見え隠れしているように映る。


音楽を通じて友人になり、バンドのパートナーになり、やがて淡い恋心へと発展していく二人の関係ですが、ある事情から突然、ミィは学校へも練習へも来なくなり……駆に黙って稚内を去ってしまう。

‘たいへんよくできました’の褒め言葉を残して……。



真冬の稚内の風景が透明感溢れる映像で映し出され、雪景色と光のコントラストが美しく、67分の中編とコンパクトにまとめられているあたりも観やすい。


ミィが去ってしまった後に、駆が泣きながらギターの弾き語りで歌う曲は「管制塔」。
この歌詞とストーリーとが見事にリンクしており、ジーンときました。


ところで……三木監督は意識したというワケではないのでしょうが、作品全体に流れるイメージが何となく‘岩井俊二’風。
(特に手持ちカメラや光の使い方など)

あとどことなく『ハルフウェイ』っぽい雰囲気も漂ってます。


主演の橋本愛が好演。
微妙な感情表現が上手い!そして可愛い!


それから駆の両親役の松田美由紀と利重剛が、いい味を出しています。



ちなみに、駆が似てると言われた‘スヌスムムリク’とは……『ムーミン』のスナフキンの本名だったんですね。
知らなかったあせるあせる

MOVIXにて『一命』を鑑賞。


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【出演】
市川海老蔵、瑛太、満島ひかり、役所広司、竹中直人、青木崇高、新井浩文、波岡一喜、笹野高史、中村梅雀


【監督】
三池崇史




“いのちを懸けて、問う。なぜ男は、切腹を願い出たのか……”


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江戸時代初頭。

井伊家の大名屋敷に津雲半次郎という初老の浪人が現れ「切腹のため庭先を貸して欲しい」と願い出る。

それを聞いた井伊家家老の斎藤勘解由は、顔を曇らす。
「またか……」
「どうせまた‘狂言切腹’でございましょう」


時は合戦もなくなった泰平の世。

しかし、その下では大名の御家取り潰しが相次ぎ、仕事も家もなくし生活に困って食い詰めた浪人たちが大名屋敷で切腹を申し出、面倒を避けたい屋敷側から金品や士官の口をせしめる‘狂言切腹’が流行していたのである。

つまりは都合のいいゆすり、たかりである。

「追い返しますか?」
「よい、通せ」


勘解由は、二ヶ月前にも同じように訪ねてきた若浪人のことを半四郎に話す。

「つい二ヶ月前に、千々岩求女なる若い武士が‘切腹をさせてくれ’と訪ねてきてな。どうやらそなたと同じ藩のようだが、ご存知かな?」
「……いえ、存じません」

こうして勘解由は、求女の狂言切腹の顛末を語り始める。

武士の命である刀を竹光に変え、恥も外聞もなく切腹を願い出た求女の無様な最期を……。


沢潟彦九郎が介錯人、松崎隼人と川辺右馬助が立会人を務め、その周りを大勢の武士が取り囲む中でいざ切腹となった時、求女はいきなり……


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「お願いでございます!一日だけ、一日だけ猶予を!用件を済ませたら、必ず戻って参り切腹致します。ですから一日の猶予を!」

しかし勘解由は、冷たく言い放つ。

「これはまた妙なことを言う。そなたが切腹させてくれと申し出たから、こちらは受けたのじゃ。当家では‘狂言切腹’は通用せん。武士に二言なし!潔くせい!」
「では三両を……病に臥せる妻子のために三両を承りたい!」
「切腹するなら自分の刀がよかろう」

差し出された求女の刀は、なんと竹光であった。
竹光などで腹が斬れるわけがない……が、覚悟を決めた求女は、半ば自棄になって竹光を腹に突き刺す!
苦悶の表情を浮かべ、抜いては刺し、抜いては刺し……何度も何度も力任せに竹光を突き立てる!

「早く斬れ!まだまだ!もっと斬れ!」
と刀を構えた沢潟の非情な声が響く。

求女は、全体重をかけて竹光を腹に突き刺す!

「まだまだ!まだまだだ!引っ掻き回せ!引っ掻き回して掻っ捌いてみろ!」

死ぬ間際まで徹底的に苦しめてやろうとする沢潟のあまりにも冷酷な振る舞いに、勘解由もさすがにこれは見ていられず……求女の首を斬り落として介錯し……彼は壮絶すぎる最期を遂げるのだった。


この話の後に早速、半四郎の切腹の準備に取り掛かるが、切腹する直前に半四郎は介錯人として沢潟を指名する。


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「武士の最後の願い。腕が立つと名高い沢潟殿に是非、介錯をお願いしたい」

ところが、沢潟は出仕しておらず、それどころか昨晩から行方が分からないという。

「ならば、矢崎殿か川辺殿にお願いできれば」

が、この両名も沢潟と同じく、昨晩から行方が分からないと聞かされる勘解由。

これは、おかしい。何かある!

「貴様、何をした!?何を企んでおる!」

その瞬間、刀を抜いた武士たちが一斉に半四郎を取り囲むも……彼は全く動ぜず、
「私の話はまだ終わってはおらん。最後まで聞いてからでも遅くはなかろう」


そして半四郎の口から語られたのは、衝撃的な真実であった。


求女は、実は半四郎の娘婿だった。
藩が取り潰しになり、主人の追い腹を切った盟友の遺児を幼少時に引き取り息子同然に育て……その後、娘・美保の婿にしたのである。


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やがて二人の間には息子が生まれ、貧しくとも幸せな日々が続いていた。


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半四郎も初孫の顔を見ることが何よりの楽しみであった。


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ところが……やがて美保は病を患い、床に臥せる日が多くなる。


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求女は薬代を作るために質屋通いをするが、遂には何も売る物がなくなり……武士の命である刀までをも売り払って金に換える。

そんなある日、まだ幼い息子が病気で高熱を出した。

しかし、医者に診せるには三両もかかるが、そんな金などあるはずもない。

その時、求女が半四郎に言う。

「心当たりがあります。夕刻までには戻ります」

そうして出て行った後姿が、生きている彼の最後の姿であった。


「求女は何をしておる……なぜ戻らぬ」

いくら待っても戻ってこけない求女、だんだん容態が悪化してきた息子は、とうとう息を引き取る。

悲しみに暮れる半四郎と美保に追い打ちをかけるようにして……そこに無惨に変わり果てた姿になった求女が井伊家の使者によって運ばれてくる。

「これは、せめてものお印です」
と三両の銭を差し出す。

「これは……これはどういうことだ!聞かせてくれ!詳しい話を聞かせてくれ!」

慌てて使者の後を追う半四郎。
しばらくして戻ると……美保は求女の傍らで血まみれになって自死していた。

こうして半四郎は、大切な三人の家族を一遍に失ったのである。


半四郎は勘解由に問う。

「武士が恥も外聞もかなぐり捨てて猶予を乞うたというのに、なぜ応えてくれなかったのか。武士の情けというのもあるのではないか」

「たわけたことを。武士というものは、潔くあらねばならん」

すると半四郎は、懐から三両を取り出し、
「これはお返し申す……いかん、忘れておった。こちらもお返しせねば。これは沢潟殿、こちらは松崎殿に川辺殿のもの」

無造作に放り投げた‘それ’は……三人の髷であった!

「三名が姿をくらましているのは、この髷がなくなったためであろう。髷をなくして体裁が悪く、こそこそ隠れるなどして、それのどこが武士か!武家の社会を重んじる精神のかけらもない上っ面だけの見せ掛けではないか!」


もはやこの男、生かしてはおけぬ……。

「……斬り捨てい」


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なぜ、その男は自ら切腹を願い出たのか。武士の面目を捨ててまで、守りたかったものとは一体何なのか。
武士の誇りと家族愛、命を懸けて何かを守る男の姿を描いた本格派時代劇。


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時代劇初の3Dというのがひとつの‘売り’になっていますが、3Dにする意味があったのかどうか微妙な感も?

派手なシーンはラストの立ち回りくらいで、あとは地味で静かな内容だからです。(ただ奥行きを表現するシーンでは3Dが効果を発揮しているが)


もしかしたら三池監督だけに、求女の切腹場面で血がドバッー、内臓がピューと迫ってくる……なんて3D映像に相応しいド派手なスプラッター的描写を繰り出すのかと思いきや、そこまではせずに意外とおとなしめ(?)の演出。

でも、超リアルでもろに痛さが伝わってくる壮絶としか言いようがない切腹シーンになっている。

この時の瑛太の演技は凄い!
目を血走らせ、脂汗を流し、コメカミには青筋が浮き出て……断末魔の叫び声を上げながら狂ったように竹光をグサグサと腹に突き刺す!
最後には折れてささくれ立った竹光で強引に腹に穴をこじ開ける姿には、観ている側まで痛みが伝わってきて思わず「わかったから、もうやめてくれ」と言いたくなるくらい凄まじい。 (このシーンだけでも観る価値あり!)



小林正樹監督の名作『切腹』のリメイク版でもある訳ですが、どうしてもオリジナル版と比較しながら観てしまった。
基本的なストーリー、人物設定はほぼ同じ。

ただ、重要なシーンのエピソードを多少変えている部分も有り、特にラストを若干変更してしまったのは残念な気も。
(ラストの半四郎の死に様はオリジナルの方が断然いい)


他に違っていた点を少し上げてみよう。

オリジナルでは、冷酷非道の悪役だった勘解由だが(三國連太郎)リメイク版の勘解由も(役所広司)悪役ながら、血が通った人間らしき部分も僅かに垣間見せる。
(なかなか死にきれない求女を不憫に思い、自ら介錯をしたことにも表れている)

また半四郎の悲惨な話を聞き終えた際のリアクションも微妙に違う。

オリジナルでは憎々しげに「斬り捨てい!」と吐き捨てるが、リメイクでは躊躇いすら感じさせる弱々しい声で「斬り捨てい」とポツリと呟く。

半四郎の告白に少なからずのの同情と、己の良心の呵責に苛まれているようにすら映る。
(ちなみに片足が不自由なのは、リメイクのみの設定)


それから半四郎が沢潟ら三人を襲うシーン。
オリジナルでは別々に片を付けるが、リメイクでは三人一遍に意外にあっさりと片を付ける。

オリジナルでの半四郎と沢潟(丹波哲郎)との一騎打ちは見応え満点の迫力ある殺陣で、最大の見せ場だったのですが。

ところがリメイクの沢潟は(演じるはゴテツこと青木崇高だ!)結構、呆気なくやられてしまい、剣の達人の割には些か弱い?

逆に言うと半四郎の驚異的な強さを強調することによって、クライマックスでの立ち回りにリアリティをもたらす結果にはなっている。

そのクライマックスの殺陣シーンでは決定的に違うところがある。

大勢の武士に囲まれた半四郎が‘真剣’でひたすら斬りまくるのがオリジナル。

ところがリメイクでは、半四郎が抜いた刀は……なんと求女の形見である‘竹光’なのだ!

竹光で日本刀に勝てるはずなどない……と思いきや、もちろん相手を殺せはしないが(なぜか殺める気はないようだ)頭や腰、脛などの急所を的確に捉えては戦意喪失に追い込んでいく。

半四郎の剣の腕前、その威圧感たっぷりの佇まいと迫力に、腰が退けてしまい思いきって斬りかかれない武士たち。

だが結局は多勢に無勢。
倒しても倒しても次々に向かってくる相手に疲労困憊でフラフラに。

そして遂に半四郎は最期の時を迎える。

この最期の姿もオリジナルとリメイクでは異なり……どちらがいいかは意見が別れるところか?!


それと根底に流れるテーマにも相違点が。

武士社会の体面や偽善に痛烈な批判を込めた復讐劇といった趣のオリジナルに対し、今作は半四郎の家族の貧窮ぶりや病苦との戦いを克明に描くことで家族の大切さ、命の尊さなどに焦点を当てているように感じた。


しかし両作品とも大半が回想形式で表現され、息が詰まるほどの緊張感は全編まったく緩まず、ラストまでグイグイ引きずり込まれてゆくのは、変わらない!

オリジナルに敬意を表してか、いつもの‘三池ワールド’は封印し(?)‘静’に徹して重厚感あふれる人間ドラマの部分を強調しています。


ちなみにあまりに切ない‘饅頭’のエピソードはリメイクのみ。
血にまみれた饅頭を口に運ぶ美穂の姿は、悲しすぎる。

求女は屋敷で出されたこの饅頭を手にした時、何とも嬉しそうな表情を浮かべていたが、自分では食べずに妻子のお土産として大切に懐に入れていたんですね。



ところで狂言切腹とは情けなく、同情の余地はないようにさえ思える話。
しかも求女は自ら切腹を申し出てきたのだから。(妻子を救うためにどうしても三両が必要だったとはいえ)
が、求女の妻子の窮状をたっぷりと見せつけられた後では、それも納得できる気持ちへと変わってしまう。

半四郎も同じ気持ちだったのだろう。
武士の恥を忍んでまで窮状を明かしたのにもかかわらず竹光での切腹を強要する非道さに「なぜ武士である前に人としての情を持てなかったのか」と、怒り心頭で乗り込んでいった。

武士としての筋を通そうとする勘解由と、武士としての情を請う半四郎。

どちらが正当か……タイトル通り「一命」を懸けて対峙するのです。


半四郎は力尽き、物語は幕を閉じる……その前に切腹を要求される男たちがいる。
髷を斬り落とされて姿をくらまし、武士の面目を失っただけでなく、由緒ある井伊家にも泥を塗る形となった沢潟、松崎、川辺の三名だ。

勘解由は彼らを切腹で処分することによって、武士と井伊家の体面を保ち、無理矢理にでも一件落着を果たそうとするのである。



半四郎役の市川海老蔵の感情を抑制した静かな演技は(クライマックスではその抑えていた感情を一気に爆発させる)見応えがあるものの、オリジナル版の仲代達矢が素晴らしすぎただけに、割りを食った感も無きにしもあらず?

ただ、所作の美しさや殺陣のキレは、さすが歌舞伎役者。

仲代達矢はオリジナル当時まだ29歳!
一方の海老蔵、33歳。

半四郎は初老の侍という設定なので、二人とも実年齢とはだいぶ掛け離れた役柄を演じているのだけれど、老成した凄みが感じられて年齢的違和感は全くなし。


他の役者陣も、切腹シーンを見事に演じた瑛太、悪役がハマっていた役所広司、健気な妻を好演の満島ひかり、地味な演技に徹しつつも存在感抜群の竹中直人、非情さが憎々しい青木崇高など、みな素晴らしい。



『十三人の刺客』『切腹』と時代劇の名作をリメイクした三池監督。

果たしてリメイク時代劇シリーズ第三弾はあるのか?
もしあるとしたら『股旅』か『三匹の侍』なんていいかも?

今夜からスタートした『謎解きはディナーの後で』。


木南晴夏がなんと死体役で登場!

しかもその木南晴夏を殺した犯人役が伴杏里!


スゲー、伴杏里が木南晴夏の首を絞めてる( ̄□ ̄;)


木南晴夏と伴杏里……これはまさに夢の共演だ!?
二人とも、大好きな女優なので(^^;


それにしても主演の北川景子ではなくゲスト女優の方に食いつく自分て……(笑)。