
【キャスト】
クリスチャン・ベイル、ジェニファー・ジェイソン・リー、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ジョン・シャリアン、マイケル・アイアンサイド、ラリー・ギリアード
【監督】
ブラッド・アンダーソン
“すでに365日寝ていない”

工場で平凡な機械工として働くトレバーは、原因不明の極度の不眠症ですでに365日眠っていない。

それでも彼は毎日単調な仕事に向かい、真面目に働いていた。
そんなある日、自宅の冷蔵庫に不気味な張り紙が貼られているのを見つける。
一体、誰が?何のために貼ったのか?

その後、工場にアイバンという名前の新しい同僚がやってくる。
それと前後して起こる数々の不可解な出来事。
同僚ミラーの片腕切断事故、遊園地の妖しい乗り物、ルート666で体験した奇妙な感覚。自分の後をつきまとうように姿を現すナンバープレート743CRNの赤い車。
「誰かが陰謀をはりめぐらせ、自分を落とし入れようとしている?」

そう直感するトレバーは、必死で事件の真相を解明しようとする。
そして、冷蔵庫に貼られたハングマン・ゲームの最後の文字が判明した時……すべての事件と謎が恐ろしいひとつの真実を浮かび上がらせ……。

365日眠っていない男の366日目から起こる謎を描いたサイコ・スリラー。
主人公のトレバーが1年間365日、眠っていないという極限の状態から始まる。
工場の機械工として平凡な生活を送っていたはずの彼は、今では原因不明の極度の不眠症に陥り、食欲を失い、誰もがその存在を怪しむほどに痩せ細っていた。
そんなある日、彼は冷蔵庫に貼られた不気味なハングマン・ゲームの張り紙を見つけるのだ。
誰が何のために貼ったのか?
そして、トレバーの前に新しい同僚のアイバンが現れるが、なぜか工場の他の者は誰もアイバンの存在を認めない。
それ以降、トレバーの身の回りで次々に奇妙な出来事が起こり始める。
工場では同僚が突発事故で腕を失い、トレバー自身も命の危険にさらされる。
これは何かの陰謀かと思ったトレバーは事件の真相を探り始めるが……最後にはあっと驚く結末が待っています。
ダークで全く先が読めない不可思議なストーリー展開に、グイグイ引き込まれる。
その雰囲気はヒッチコック風でもあり、カフカ風でもあり?!
トレバーに次々と意味不明なことが起き、物語がまったく噛み合わなくなる。
それらの話は、実は彼が錯乱して想像していたことだった……というのが徐々に判明してくる。
子供をひき逃げして死に至らしめてしまった罪悪感から、それを記憶の奥深くに閉じ込めたものの、それが原因で極度の不眠症に陥り、次第に精神にも支障をきたしていき、やがて自分でも気づかないうちに恐ろしい幻覚や幻想が脳内を支配していて奇行に走っていたのです。
ただ、かなり複雑な展開なので、どれが本当のことで、どれが想像の中だけのことなのかが観ている方も混乱してしまう。
まるで骸骨のように痩せ細り、死が目前に迫るほどに追い詰められた男を演じたクリスチャン・ベイルが鬼気迫る怪演。
異常なほどの激ヤセぶりで、裸になったその姿は……人間ってここまで痩せれるのかと唖然となるくらい凄い。
当初、製作者側はリアルな肉体で表現するのは不可能だと、CGか着ぐるみを使ってトレバーの痩せた肉体を表現するつもりだったらしい。
ところがクリスチャン・ベイルは、驚異のダイエットを重ねて、約30キロも体重を落として……まさに外見も内面も役になりきり、その心の葛藤を見事に表現してみせてくれます。
特典のメイキング映像で「どうやって体重を落としたのか?」と聞かれたベイルは、あっさりとこう答えていた。
「簡単だよ。絶食しただけさ」
そして、こうも……
「本当はもっと痩せたかったんだけど、これ以上は危険すぎるってみんなからとめられた。でも、足の筋肉も全くなかったから走る姿なんかも滑稽でよかっただろ?リアルにヨレヨレしてたから」
しかもだ!ベイルはこの撮影後、たった4ヶ月で体重を戻し、今度は別人のようなマッチョ体型になって『バットマン』を演じていた。
しかもしかもだ!『ザ・ファイター』ではまたまた大減量しての痩せた姿に。(それだけでなく歯まで抜いていた)
恐るべき、役者魂!