
【出演】
水野美紀、冨樫真、神楽坂恵、児嶋一哉、二階堂智、小林竜樹、五辻真吾、深水元基、内田慈、町田マリー、岩松了、大方斐紗子、大高洋夫、津田寛治
【監督・脚本】
園子温
“ようこそ、愛の地獄へ”

1990年代、渋谷区円山町のラブホテル街で起きた実在の殺人事件からインスパイアされた、禁断の世界。

殺人課の刑事・吉田和子は、ラブホテルで浮気相手との情事の最中に呼び出され、渋谷区円山町の殺人現場に向かう。

どしゃぶりの雨が降りしきる中、ラブホテル街の片隅にある廃墟のアパートの一室で死体が発見されたのだ。
そこにあったのは、マネキンと接合された無惨な女性の死体。

「顔と脚はマネキンですが、上半身は人間の死体です。それとクリ○○スがえぐり取られています」
しかも壁には血でなぐり書きされた‘城’の文字が。
どういう意味なのか?
彼女は私的な興味を覚えながら、捜査を進めていくが……。

清楚で献身的な専業主婦の菊池いずみは、夫がベストセラーの人気作家で、安定した静かな生活を送りながらも、寂しさと虚しさを感じていた。

病的なほど潔癖な夫に支配され、清楚な妻を演じながらも、
「夫はピュアすぎて刺激が足りない」
夫が身体を求めてこないことも不満だった。

そんな空虚な心を満たすため、近くのスーパーでアルバイトを始めるいずみ。
「ソーセージはいかがですか。美味しいですよ」
慣れない仕事に戸惑う彼女……とそこにスーツ姿の女性が話しかけてきて……。
「あなた、凄く可愛いのにこんなところで仕事してるなんてもったいない。モデルやってみない?」
好奇心からモデルを承諾したいずみは、撮影現場へと足を運ぶ。
はじめは普通の衣装を着ての撮影だったが、それは衣装替え毎に肌を露出した物へと変わっていき、最後には水着へ。
しかし、実はここからが本番だった!
「いずみちゃん、次は脱いでみようか?」
「え……」
騙されたと思う間もなく、裸の男優がのしかかってきて絡みシーンのAV撮影へとなだれ込む。
大勢のスタッフに囲まれ、カメラが回る中でのセックスに異様な快感を覚えるいずみ。
こうして彼女は、いつしかその虜になり、アダルトビデオの世界に引きずり込まれる羽目となる。
抑圧された息苦しい生活から脱皮し、性の快楽の泥沼に足を突っ込んだいずみ。
そんな時、ひょんなことから渋谷の円山町で年増の娼婦・尾沢美津子と出会う。
彼女は毎夜、ラブホ街で‘立ちんぼ’をし、5000円で客を取っては、廃墟のアパートの一室でセックスに明け暮れていた。
その美津子の表の顔は、一流大学の助教授。
だが、大学の中でも学生から金を取って売春をしていたのである。

「愛がないセックスには必ず金を取れ。値段なんかいくらでもいい。セックスに金を懐柔させることが大切なんだ」
そう教育されてしまういずみは、次第に美津子に惹かれていき、行動を共にするようになる。
「いいか……オマエは、きちっと堕ちてこい!私のいるところまで堕ちてこい!」
「はい!」
いずみは、徐々に自らの欲望を解放する術を身に着けていくのだった。

果たして、二人はいかにして猟奇殺人に関わっていくのか?
誰が殺され、誰が殺したのか?
一方、事件を追う和子も、歪んだ裏の顔を持っていた。

優しい夫と可愛い一人娘がいる幸せな家庭がありながら、夫の後輩であり、サド気質の変質的な愛人と逢瀬を重ねては精神のバランスを保つ女であった。

そんな和子は、やがていずみと美津子の驚くべき秘密に触れ、引きこまれていく。
そして事件の果てに辿り着く境地とは?
事件の裏に浮かび上がる真実とは?
3人の女たちの行き着く果て、誰も観たことのない愛の地獄が始まる……。
