『上島ジェーン』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『上島ジェーン』


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【出演】
上島竜兵、有吉弘行、清宮佑美、渡辺奈緒子、南まりか


【監督】
マッコイ斉藤




“夏の海に愛された男”




千葉県・志田下。
日本でも有数のサーフスポットに、一人の男が真のサーファーを目指し降り立った。


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その男の名は、上島竜兵47歳。職業・芸人。

「地球を感じたい」

その心から湧き出た一言は、無機質な冷たい都会で何かに追われるように毎日を過ごすうちに芽生えた素直な感情だった。


「自分は何のために生まれ、何のために死んでゆくのか?それを確かめたいからサーフィンをやるんだよ!」

日々の暮らしの中で自分という存在意義を求め、この現状から脱却するためサーフィンに挑戦しようと決意する上島がいた。

「単にモテたいだけなんでしょ?」
「違うよ!モテたくなんかないよ!」


そんな上島の心意気を後輩芸人である有吉は感じとり(?)ともにサーフィンに挑戦することになる。


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手探りでサーフィンを始める二人に待っていたのは……優しく、時には厳しい志田下の波と、地元サーファーとのふれあいや友情、次々と巻き起こる事件と衝突。


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そして、上島の人生を大きく変える出来事が起こる……それは恋。


冴えないオッサンが迎えた人生2度目の思春期が、上島にほんの少しの勇気をくれた。




自分の存在意義を求めてサーフィンに挑戦する上島の姿を追いかける……最高の波と甘くて切ない夏の恋が織り成すサーフ・ドキュメンタリー。


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ワーゲンに乗って海を目指す上島と有吉の姿で映画は始まる。

これからサーフィンに行くというのに、二人とも黒の帽子、スーツにサングラスとブルース・ブラザーズ風の場違いすぎるスタイル。

「『エンドレス・サマー』を観てサーフィンに憧れた」
と上島。

そして二人は千葉の海に到着するも……
「波が高いなぁ。今日はやめとくか。明日にしよう」
「そうっすね」

こうして上島と有吉のサーフィンに明け暮れる(?)一ヶ月が幕を開ける!


しかしサーフィンの‘サ’の字も知らない超ど素人コンビは‘セックス・ワックス’と表示されているワックスを見て喧々囂々。

「これ、あれじゃねえか、セックスの時に使うイヤラしいワックスじゃねえか?」
「そんな訳ないでしょ!ボードに塗るワックスですよ」
「じゃあ、何でセックスって書いてあんだよ?」
「知らないですよ」
「ちょっとお前、あそこに塗ってみろよ」
「いやですよ!」
と言いつつ、あそこにワックスを塗る有吉は……
「イテテテ、ダメっすよ、痛くて。やっぱボードに塗るやつじゃないっすか!」
「そうなの?」

このあまりにもくだらないオバカすぎるやり取りに大爆笑。


翌日、地元のサーファーたちと知り合い、用具もバッチリ揃え、彼らの指導で上島はいざ海へ……とは……ならない(笑)。


徐々にサーフィンにのめり込んでいき一生懸命になる有吉に対して、上島は「今日の波はダメだ」などとイロイロ難癖をつけて一向に海に入ろうとはしないのだ。


その後の展開は……
有吉が上島をおちょくる→上島が地元サーファーに失礼なことをする→有吉がたしなめる→上島がキレる→それに有吉もキレる→ケンカ……しつこいくらいこの繰り返し。

「何で海に入らないんすか?全然、サーフィンする気ないじゃないっすか?陸サーファーかよ!むかっ
「うるせーな!入りたい時に入るよ!むかっ
「入りたい時に入るって、風呂じゃねえんだよ!むかっ
「何だ!先輩に向かって、この野郎!むかっ
「うるせー!殺すぞ!むかっむかっむかっ

竜兵のダメダメぶりに遂にキレる有吉。

この子供みたいなお約束バトルが超可笑しい。


しかも有吉のサーフィン技術にダメだしまでする始末。

「全然、ダメだな。下手すぎるよ」
「あんたに言われたくないよ!」
「お前にはヒッチハイクの才能しかねえんだよ!いいからヒッチハイクでもしてろ!」
「テメー、殺すぞ!むかっむかっむかっ



人の話を全く聞かない、落ち着きがない、可愛いサーファーに色目を使う、工場のボードを折ってしまい「俺は悪くない」と逆ギレ、挙げ句の果てにはジェットスキーでサーファーの間を暴走し大顰蹙を買うなど、やりたい放題の傍若無人ぶりに人として問題大有り……まるで幼稚園児並みの精神年齢しか持たない上島。

その度に有吉は、宥めすかし(あの有吉が真人間にすら見えてくる)……最後にはぶちキレて……「殺すぞ!むかっむかっむかっ」(笑)。



ラストのオチは切なく哀しいはずなのに(?)なぜだかスッキリします(笑)。


それから、夏の海だというのにいつも曇り空ばかりなのはどうして!?


あくまでドキュメンタリー形式でのフィクション映画なのですが、途中から演技なのか素なのか、その境界線が曖昧のように感じてきてしまい、そのモヤモヤ感が面白い。



どうしようもないオバカなオッサンが繰り広げる人間失格物語。
上島ワールド炸裂の超くだらない作品だけれど、かなり笑えます。



ちなみに、桑田佳祐監督の『稲村ジェーン』や北野武監督の『あの夏、いちばん静かな海』にオマージュを捧げた映画……ではない(笑)。