
【キャスト】
エイドリアン・ブロディ、フォレスト・ウィテカー、キャム・ギガンデット、クリフトン・コリンズJr.、マギー・グレイス
【監督・脚本】
ポール・シェアリング
“わずか6日で中止になった実在の心理実験”
平和主義者でデモに参加するトラヴィスは職を失ったばかり。
恋人とインドへ旅行するため、日給1,000ドルで14日間ある実験に参加すれば高額報酬がもらえるという被験者募集の広告をみて選考に参加することに。
温厚で人当たりの良いバリス、冴えないグラフィック・ノベル・ライターのベンジー、女好きのチェイスら個性的な24人の男たちがトラヴィスとともに選ばれた。

その実験は単純なものだった。
刑務所と同じ環境で‘看守役’と‘囚人役’に分かれ、ルールに沿って過ごすこと……それだけだ。

但し、途中で脱落した者やルールを破った者、暴力を振るった者がひとりでも出た時は、その時点で実験は中止。且つ、連帯責任で報酬は支払われない。

始まりはただの役割に過ぎなかったが、2日目には崩壊。
対立する囚人役のトラヴィスと看守役のバリス。

日ごとに極限状態に置かれていく彼ら。
実験が進むうち、看守役たちは囚人役たちに暴力を振るうようになる!

やがて、理性が狂っていき事件が起きる!
それを見守る多数の監視カメラ。
いったい何が起こったのか?

『es [エス]』の元ネタにもなった1971年にアメリカのスタンフォード大学で実際に行われた「スタンフォード監獄実験」を題材にしたサスペンス・スリラー。
被験者が刑務所と同じ環境で看守役と囚人役に分かれ、14日間を過ごす心理実験の結末が描かれる。
特殊な環境に置かれた場合、人間はどうなっていくのか……という非人道的な実験。
まったく普通の人なのに、服装を皮切りに、場所や設定をそれなりにすると、やがては支配する者、される者の人間関係がその通りになってくる恐ろしさ。
普通の人、善良な人、小心者などがその環境下では、まるっきり変わっていき、直接的な暴力がNGでも、その代わりに屈辱を与えたり恐怖を与えたりして支配者が被支配者を操ることができることも判明する。
普段、抑圧された生活を送っている人間が、看守という囚人を抑圧する側に回ったことで‘規律を守るため’という名目のもと、冷酷な行ないを平気でするようになっていく姿は衝撃的。
看守役として凄まじい演技を見せるフォレスト・ウィテカーの物語前半、中盤、最後の表情のコントラストに注目を。
別人のような変貌ぶりです。
ドラマ『ピースボート』にも影響を与えた(ていうかパクりまくってた)この作品、といっても元をただせばこれも『es』に誘発されて作られた作品なワケですが……。
それにしても‘フライング・マン’を殺してしまった看守役の連中は、お咎めなしだったのかな?