『めぐみ-引き裂かれた家族の30年』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『めぐみ-引き裂かれた家族の30年』


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【監督】
クリス・シェリダン、パティ・キム


【製作総指揮】
ジェーン・カンピオン




“拉致という国家的陰謀に巻き込まれてしまった普通の家族。
それから30年……娘を取り戻したい強い思いが、人を、国を、世界を動かしていく”




1977年11月15日、新潟に住む13歳の中学生・横田めぐみさんが、下校途中に忽然と姿を消した。


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誘拐や家出の可能性を含めた警察の捜査が始まり、めぐみさんの両親である横田滋さん、早紀江さんも、テレビ番組などの公開捜索に参加するなど、ありとあらゆる手段でめぐみさんを捜し続けるが、その行方はようとして知れなかった。


事件から2年が過ぎた頃、日本海側で頻発したアベック失踪事件の新聞記事が早紀江さんの目に留まる。

北朝鮮が関与した拉致事件……その疑いは、さらに20年後の1997年、北朝鮮から脱北した元工作員の証言によって、ようやく立証されることになる。

めぐみさんは北朝鮮によって拉致されたのだ!


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横田さん夫妻を中心に‘拉致被害者家族会’が発足され、その活動が始まるが、政府の対応は冷たい。

拉致問題解決への動きは遅々として進まず、その間に被害者家族たちの高齢化ばかりが進んでゆく。

鹿児島で拉致された増元るみ子さんの父、増元正一さんや、福井で拉致された地村保志さんの母親など、再会を果たせぬまま亡くなる家族達に、横田さん夫妻の心は揺れる。


そんな中、実現した小泉純一郎総理の初訪朝に、新たな希望を見出す横田さん夫妻ら家族会の人々。

そこで北朝鮮は初めて拉致の事実を認め……拉致被害者13名のうち、5名生存、8名死亡という家族会の明暗をわける結果を発表。


めぐみさんは、27歳で自殺死亡!?

しかし死亡の明確な証拠は示されないことに一縷の望みを託し、横田さん夫妻の救出活動は続いていく。

依然として続く政府の経済援助、心無い人々の中傷、ニセ遺骨問題や孫娘キム・へギョンさんを使った北朝鮮による揺さぶり……そんな中で、
「もう一度、娘を抱きしめたい!」
という気持ちだけが、供に70歳を越えた夫妻を支えていた。


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北朝鮮による横田めぐみさん拉致事件を追ったドキュメンタリー。



まるで神隠しにあったように忽然と姿を消してしまっためぐみさん。

生きているかどうかもわからないままの長い年月、横田さん夫妻は、ありとあらゆる方法でめぐみさんを探し続ける。

やがて、日本中で起きていた奇異な失踪事件の数々が線となって繋がり、失踪事件の全貌が明らかに……その真相は「めぐみさんは北朝鮮工作員によって拉致された」という驚愕の事実。
それは家族にとって、更なる悲劇の始まりでもあった。

めぐみさんの生存を心から喜び、そして娘を取り戻すため、ほんの些細な手掛かりでも希望としてつないでいく横田さん夫妻。
他の拉致被害者の家族と一緒に拉致問題解決に向けた運動を本格化していくが、真相に近づけば近づくほど、個人ではどうにもできない場所へと押し流されてしまうのです。

拉致事件の存在すら認めようとしない政治家たち、無関心な大衆、個人の存在を無視して駆け引きを続ける国家、偽装やウソの情報しか提供しない北朝鮮。
そのすべてに翻弄され、数々の妥協を強いられる、家族たち。


横田さん夫妻は、小柄で非常に穏やかで、見た目には弱々しくさえ映るものの、娘との再会を信じるその気持ちは、どんな困難に遭おうとも決して折れることなく、その精神は信じられないくらいに力強い!


映画は、拉致問題解決に奔走する横田さん夫妻に完全密着するとともに、報道や記録資料、関係者の証言によって、その30年という歳月をドラマチックな演出を加えることなくありのままに紡いでゆく。


中でも脱北した北朝鮮の元工作員、アン・ミョンジンの証言は、かなりショッキング。
拉致実行犯から聞いたという、めぐみさんの拉致の理由。
「ただ単に目に入ったから拉致した。日本人なら誰でもよかった」

生々しい輸送船内での状況。
「‘お母さん、お母さん’と泣き叫び、脱出しようと壁を引っ掻いたため生爪が剥がれて血だらけになり、船酔いで嘔吐し、見るに耐えない状態だった」

そして自身の……平壌でのめぐみさんの目撃証言。
「めぐみさんは死んでなどいません。生きています」


めぐみさんが帰国するその日まで、横田さん夫妻の壮絶な戦いは終わらない……。