
【出演】
田中麗奈、清水真実、葵若菜、真野きりな、久積絵夢、中嶋朋子、松尾政寿、白竜、森山良子、松尾れい子、大杉漣、徳井優、神戸浩、下元史朗、小日向文世、ベンガル
【監督・脚本】
磯村一路
“この思い出のすべてが、あなたの力になっている”
1976年、春……四国、松山。
伊予東高校入学を控えた15才の篠村悦子は、不器用で勉強も苦手。新しく始まる高校生活を目前にしても、心底打ち込めるものが見つけられずにいた。

ある日、夕方の海で逆光にきらめくボートを見てその美しい風景に感動した悦子は、入学しボート部に入ることを決意するが……女子部がないことを知る。
しかし、どうしても諦めきれず……
「そうか!ないんじゃったら、作ったらええんじゃ!」
こうして顧問の先生に直談判して女子ボート部を作ってしまう。
男子部員に混ぜてもらい練習を始めた悦子だったが……やがて何とかメンバーを揃えることに成功!

女子部員の5人は……
悦子(悦ネエ)。
進学校に入学するも、学校でも家でも何となく落ちこぼれているように感じている。しかし、一旦思い込んだら何が何でも直進する情熱家。(整調担当)
敦子(ヒメ)。
気が優しくておっとりしている。寂しがり屋で、みんなといるのが一番好き。悦子のクラスメートでもある。(2番担当)
利絵(リー)。
5人の中ではお姉さん的存在。クールな皮肉屋を装っているが、実はかなりの負けず嫌い。(3番担当)
多恵子(ダッコ)。
小柄で可愛いくとろいところもあるが、意外と度胸が据わっている。(コックス担当)
真由美(イモッチ)。
ミーハーでお調子者。メンバーを明るくするムードメーカー。(バウ担当)
ところが全員が運動部未経験でボートを海まで運ぶことさえおぼつかない始末。

試合に出ても惨敗。

そんな彼女たちの前に、元日本選手権メンバーという経歴だけは立派だが全くやる気のないコーチ・晶子が現れ……。

「わたし、ボートがないと何にもないんです」
ボート初心者の女子高生たちが、3年間ボート部に打ち込む姿や、彼女たちの友情、心情を綴る青春映画。

ボートに乗ったどころか触れたことすらなかった5人。
最初は「新人戦が終わったら辞める」という約束で始めたボート部でしたが……その新人戦で‘ドベ’になり、「このままでは終われん!」と奮起。
やがて彼女たちは次第にボートの魅力に取りつかれてゆくのです。
ボートのオールが水を切る動きや「キャッチ・ロー!」の掛け声、「東高!がんばっていきまっ~~しょい!」と自分たちを鼓舞する掛け声も清々しく……心地良い雰囲気を醸し出している。
また1970年代という背景もノスタルジックさに溢れ、瀬戸内海の風景もとても美しい。
5人だけで行う夏の合宿のシーンが印象的。
砂浜で線香花火をしながらの‘告白タイム’。
そして……疲れているはずなのになかなか寝付けない彼女たちは、布団の中で静かに語り合う。
「みんなでこうやって合宿するのって楽しいな」
「でもこれが最後の合宿じゃな」
「10年後はどうなってんのやろな?」
「想像もでけへんわ」
「今が、ずっと続いたらええのにな……」
13年前、これがデビュー作の田中麗奈が何とも初々しく、田舎の女子高生役が見事にハマっている。
必死な表情でオールを漕ぐ姿も凛々しくて一生懸命さがリアルに伝わってきます。
(今となっては絶対に見れないであろうブルマ姿はレア映像?)
まさにタイトル通りに‘がんばっていきまっしょい’という気分にさせてくれる、瑞々しくて後味も爽やかな青春映画の傑作でした!
ちなみに本作のプロデューサーチームは後に『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』と……これまた大傑作の青春映画を製作することになるのですね。