『星守る犬』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

某シネコンにて『星守る犬』を鑑賞。


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【出演】
西田敏行、玉山鉄二、川島海荷、余貴美子、温水洋一、濱田マリ、塩見三省、中村獅童、岸本加世子、藤竜也、三浦友和


【監督】
瀧本智行




“望みつづけるその先に、きっと希望があると思う”


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北海道の山中に放置されたワゴン車から、死後半年経った身元不明の男性の白骨死体と、死後一カ月の犬の遺体が見つかる。


「飼い主が死んでからも、その場を離れなかったのか。目を覚ますのを待ってたのかな……」


市役所の福祉課に勤務する奥津京介は、
「どんな人生も報告書にすれば図書館に並ぶ本と同じ」
が口癖で、自分の殻に閉じ込もった人生を歩んでいた。

しかし、車中で死んだこの男の人生に強く興味を持ち、持ち物だったと思われるレシートを頼りに、男の最期を辿る旅に出る……。


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オンボロ車に乗って、まずは男の出発地点の東京へ。


その東京で……北海道からタレントオーディションを受けに来ていた少女・川村有希と偶然に出会う。


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京介の車のナンバープレートを見た有希は、強引に……
「帰りの交通費がなくて……旭川まで乗せてって」


こうしてふたりの旅は、東京から北上し……。


旅を進めるにつれ、その男……おじさんが病気、失業、離婚、一家離散の挙げ句に家までをも失い……唯一、傍にいてくれた愛犬・ハッピーと共にワゴン車で旅に出たことが明らかになっていく。


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ある旅館の女将は……ハメを外したおじさんとハッピーに、酷い目に遭ったと語る。

「迷惑かけられっぱなしだったわよ」


いわきのコンビニでは……ワケあり風の万引き少年に優しく接したにも関わらず、全財産を持ち逃げされていた。

「だから関わるなって言ったんだけどな」
とコンビニの店長。


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遠野のリサイクルショップでは……病気になったハッピーのため、所持品を売り払っていた。

「勘弁してくださいよって言ったんですけどね。気の毒で10万円で買ってあげましたよ」
と、リサイクルショップの主人。


弘前では……別れた妻と娘の家を訪ねていた。
しかし、結局は遠くから見つめるだけで声すらかけることが出来なかった。

かつては、とても幸せだった家族……。


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石狩では……レストランのオーナーにハッピーを譲り、別れようとしていたが……別れられなかった。

「あの時、やはり引き止めるべきでした」


時に可笑しく、時に哀しく、旅の途中で出会った人々に、忘れられない数々の思い出を残していたおじさんとハッピー。


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京介は、これまでの自身の孤独な人生に想いを馳せ、おじさんとハッピーに、自分とかつての愛犬クロとを重ね合わせてゆく。


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旅の終着点で知る「星守る犬」という言葉にこめられた願いとは……。

おじさんとハッピーは、どのような最期を迎えたのか……。


「人はみんな、星守る犬なのかもしれない」


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おじさんとハッピーの旅を通して、人生の夢と挫折、老いと孤独、不況、リストラ、熟年離婚、無縁死など……現代に孕む問題に鋭く斬り込みながら、人と人の絆、人と動物に育まれた愛情を描いた人間ドラマ。



幼い頃に両親を亡くし、育ててくれた祖父母、そして最後に残った愛犬クロまでをも亡くし……以来、頑なに心を閉ざして生きてきた京介。

彼は見知らぬ男の孤独死を目撃したことから、生き方を見つめ直す旅に出る。


少年らしい夢を見ようという年頃に両親を亡くし、生きる目標を持てずに大人になってしまった。

そんな京介に、
「人生なんて無駄ばかりだ。何もしないでただやり過ごすだけの人生よりも、高望みをして生きる‘星守る犬’の方がいい」
と、祖父は教えます。



単におじさんと犬の‘可哀相な物語’ではなく、日本社会が抱える暗い問題の間にキーワードとして犬を置き、人間の絆の脆さと対比させる演出となっているあたりが良い。



おじさんとハッピーのロードムービーであると同時に、それぞれが悩みや苦しみを抱える京介と有希のロードムービーでもある。


ふたりは、おじさんとハッピーの足跡を辿る旅を通して成長し、新たな人生を歩み出す決意を固めるのです。



作品の出来云々はともかくとして、やはり泣ける映画でした。

ハッピーの健気すぎる姿を見たら……犬を飼っている人、以前に犬を飼っていた人、とにかく犬が大好きだという人なら、嫌でも泣いてしまうのでは!?


それから西田敏行の悲哀感たっぷりの演技にも泣かされた!

でも『釣りバカ』の浜ちゃんを彷彿とさせるようなコミカルなシーンも、ちゃんと用意されており、そこはかなり笑えます。



ちなみに映画を観た後、本屋で原作のコミックをチラッと立ち読みしたのですが、原作の方がもっと泣けそうな雰囲気も無きにしもあらず?



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