
【出演】
藤竜也、河合美智子、永瀬正敏、鈴木吉和、坂上忍、原日出子、桑名将大、木之元亮、財津一郎、村上弘明、寺田農、伊武雅刀、前田武彦、ケーシー高峰、倍賞美津子
【監督】
相米慎二
“キブンは最高、心はハイ”

夏休みのある日。

ジョジョ、辞書、ブルースの三人の中学生は、ガキ大将のデブナガにいつもいじめられており、「今日こそはやっつけてやろう」と決心をする。
ところが、そのデブナガが三人の眼の前で何者かに誘拐されてしまった!
彼の父が覚醒剤をタレ流していることに腹を立てた横浜のヤクザ・極龍会の報復だ。
誘拐したのは極龍会のチンピラ組員、山と政。
一方、三人の中学生は横浜に向かい、そこで極龍会の組員で山と政の二人を連れ戻すように命令を受けている中年ヤクザ・厳兵と出会う。

「一緒にデブナガを救出しよう!」
こうして彼らの熱海から名古屋へと……デブナガ救出の旅が始まる……。

暴力団のいざこざに巻き込まれていく中学生たちの姿を描いた青春キッズムービー。
大人たちの論理に翻弄されながらも、仲間を奪回するために奮闘する様を元気いっぱいに綴る子どもたちの冒険譚。
ムダに長いことも多い相米監督お得意の長回し。
この過激ともいえるワンカット長回し撮影の連続が良くも悪くも印象に残ってしまう。
(演劇的な雰囲気でもある)
演じている者ですら、自分たちが一体何をやっているのかわからなくなっているほどの描写は、ある意味でスペクタクル的効果を生んでおり、観ている側も全くワケがわからないまま、ひたすら圧倒され続けてしまいます。
俯瞰の映像なので表情も読み取れず、完全に想像力の世界。
また、歌やダンスへの執着も他の相米作品と同様に使われています。
(この作品ではマッチの「ふられてBANZAI」を一心に歌い踊る)
主役トリオの河合美智子、永瀬正敏、坂上忍が若さ溢れるイキのいい演技を見せてくれます。
ボーイッシュでハツラツとした少女を演じた河合美智子。(ちなみに役名もそのまま河合美智子)
子供でも大人でもない……その時の一瞬のきらめきが感じられ、強烈な印象を残します。
そして、ラストでは短い髪をさらに短く切った姿での登場。
これは『セーラー服と機関銃』に於ける薬師丸ひろ子を彷彿とさせるものが。
当時はまだ16歳くらいで、これが映画デビュー作の永瀬正敏。(当たり前ながら超若い!)
全力で自転車を漕ぎ、走るトラックの荷台に乗り移るという危険なスタントを吹き替えなしで演じています。
相米監督はその他にも、かなり高い橋の上から川に飛び込ませたり、燃えさかる火のすぐ真ん前で演技をさせたり、ボートから縄を伝って脱出させたり……など、役者陣に結構危ないことをやらせている。
それにしても、80年代の相米作品は『セーラー服と機関銃』『翔んだカップル』『台風クラブ』そしてこの『ションベン・ライダー』と傑作揃いだ!