『今度は愛妻家』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

『今度は愛妻家』


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【出演】
豊川悦司、薬師丸ひろ子、水川あさみ、濱田岳、城田優、津田寛治、奥貫薫、井川遙、石橋蓮司


【監督】
行定勲



“写真撮ってよ、離婚記念の……”




北見俊介は、かつて売れっ子カメラマンだったが、今では1枚の写真も撮る事ができず、仕事もせずにプータロー同然のオキラクでグウタラな生活を送っている。


妻のさくらは、そんな俊介に文句を言いつつも、何かと世話を焼くのだった。


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そのさくらは、大の健康マニア。
健康に関する新聞のスクラップ集めに、毎日注がれるニンジン茶、そして子作り旅行にせっつかれる日々。


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「体に気をつけて長生きしなきゃ」
「俺は長生きなんてしたくない」


‘ああ、妻が居なければ……’


そんなある日、さくらは一人で旅行に行くという。

これはチャンス到来と、女優志望の蘭子を家に連れ込む俊介。

彼女の目的は、オーディション用の写真を一流カメラマンである俊介に撮ってもらうことだった。

棚に飾ってあるさくらの写真を見て、
「綺麗な人ですね、誰ですか?」
「う~ん、昔のちょっとした知り合い」
「私もこんな写真を撮ってもらいたいんです」
と、いきなり服を脱ぎ始めるが……。

「俺はそんなつもりはないよ。実はこの写真はカミさんなんだ。でも死んでしまった……それ以来、写真が撮れなくなった」
「え」
「君はどことなくカミさんに似ている……だから気になる存在になった」

そして二人は抱き合い、いい雰囲気となり……蘭子はシャワーを浴びにバスルームに。

「フフフ、こういうのはムードが大切だからね~」
と、ほくそ笑む俊介。

するとそこに、
「なに、女を連れ込んでんのよ!また浮気!?」
「お前、何で戻って来たんだよ?」
「忘れ物」
「さっさと出かけろよ」
「私さあ、もう限界なんだよね。子供作る限界。もし子供がいて二十歳になったら、私は幾つになってると思う?下手したら死んでるよ!」
「……」
「子供作る気ないなら別れて。浮気する、子供作らない、仕事しないって、サイテーじゃない!」

そう言い残すと、彼女は愛想を尽かし旅行へと出て行く。


俊介は蘭子に、
「エッチは中止!カミさんにバレた」
「え?死んだんじゃないの?」


その後、しばらくは独身気分を満喫していた俊介だったが、なかなか家に帰ってこないさくらに苛立ちを覚え始め……。

「あいつ、いつになったら帰ってくるんだよ!」


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そして二週間が経ち、やっと帰ってきたさくらだったが……。

「私、好きな人がいるの。ごめんなさい」
「好きな男が出来たくらいで別れんなよ」
「そんなのが原因じゃないよ。終わってたんだよ、私たち。1年以上前にとっくに」


1年前のクリスマス直前……俊介は、さくらの希望で沖縄旅行に行ったのだった。


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しかし、その日を境にさくらと俊介に微妙な変化が訪れる。


さくらは俊介に愛想を尽かしたかのような態度。俊介は何故だか写真が撮れなくなり、自堕落な生活に。


何かが少し変、でもいつもと大して変わりのない生活のはず!?


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そんなある日、俊介はカメラに残された一枚の写真を見つける。

それは、走って去って行くさくらの小さくなった後ろ姿……。


俊介は‘何か’を少しずつ理解し始めるのだった……そして、それにはある事実が!





ダメな夫婦が織り成す、カラッと笑えてホロッと泣ける……ラブ・ファンタジー。



ぐうたらで愛情表現の下手な夫と、明るく世話焼きな妻。
そんな二人が結婚10年目にして迎えたある局面を時にコミカルに、時に切なく描き出していきます。


俊介とさくらの会話は非常にテンポがよく、そのやりとりを聞いているだけでも楽しい。

また、その楽しさの間にペーソスを挟みこみ日常の幸せを浮かび上がらせている。


仕事もしない、家事もしない、妻への愛情も希薄なダメダメ夫を演じる豊川悦司。

健康オタクでおっちょこちょい、だけど夫を献身的に支える妻を演じる薬師丸ひろ子。

それぞれのキャラクターを生き生きと表現した二人の演技が素晴らしい。


それからオカマの“文さん”役の石橋蓮司には泣かされました。



物語の後半近くで、ずっと漂っていた微妙な違和感……さくらの真実が明らかになります。


観た後にもう一度確認して観たくなること間違いなし!?