『洋菓子店コアンドル』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

某シネコンにて『洋菓子店コアンドル』を鑑賞。


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【出演】
江口洋介、蒼井優、江口のりこ、尾上寛之、粟田麗、ネイサン・バーグ、嶋田久作、加賀まりこ、鈴木瑞穂、佐々木すみ江、戸田恵子


【監督】
深川栄洋




‘幸せのひとくちに心温まる、ビター&スイートな物語’


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タルト、ショートケーキ、ミルフィーユ……ショーケースを彩る艶やかなケーキたち。

東京・中目黒にある評判の洋菓子店‘パティスリー・コアンドル’は、今日も沢山のお客さんの笑顔で溢れていた。

厨房では、オーナーでシェフパティシエの依子と夫のジュリアン、そしてマリコの三人がテキパキと働いている。


時折、その店を訪れる十村遼太郎は、洋菓子専門学校の講師をしながら、ガイドブックも複数出版しているスイーツ評論家だ。


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「お店、あなたに手伝ってもらえると助かるんだけど」

そんな依子の言葉を聞き流し、十村は奥のテラス席で一人ケーキを食べ始める。


すると……大きな荷物を持った女の子が店を訪れ……。

「あの~、海くんいますか?」

鹿児島の方言丸出しの臼場なつめは、東京でパティシエ修業中の恋人・海 千尋を探してこの店に辿り着いたのだった。

「あの子ならもういないよ。下働きは嫌だってすぐに辞めたから」
「え?どこにいるか分かりませんか?」
「知らないわ。あなたは彼の昔の女なんだ?」
「昔じゃありません!いいなずけって言うか……」
「ふぅん」

依子に軽くあしらわれるが、海に会えるまで田舎には帰れない……けど行く場所もない。


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途方に暮れたなつめは……
「私をここで働かせてもらえませんかね?!海くんを見つけるまで」
「素人には無理ね」
「素人じゃありません。私、ケーキ屋の娘なんです!私が店のケーキを全部作ってるんです!」

雇ってもらいたいなつめは、ケーキを作って猛アピールするが……その味を依子と十村に厳しく評価されてしまう。

「ウチはね、街頭で売っているようなケーキは作ってないの。これ食べたら、帰りなさい」

なつめは十村に、
「私のケーキはどこがダメですか?」
「仕事が遅い。クリームがユルい。シロップがムラ」
「…………」

なつめは、依子に差し出されたコアンドルのケーキを食べてみると……今まで味わったことのない幸せな味がした。

「美味しい……」


本物の味に心を打たれたなつめは必死に依子に頼みこみ、何とかコアンドルの一員となる。


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お店の2階にある事務所に泊まり込み働き始めたなつめ。

常連の芳川さんとの出会い、人生初の給料、クレームパティシエール作りも、焼き菓子作りも大失敗し、依子とマリコに怒られながらも懸命に仕事に励む日々。


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マリコは何故かいつもなつめに厳しく当たり……
「英語が話せるからって、威張んなよ……ムカつく」


そして休日は、海を探してケーキ店を巡るが、全く情報が掴めず意気消沈。


そんなある夜、なつめは事務所で一枚の写真を見つける。そこには依子とジュリアン、そして十村が写っていた。

「あれ?この人」
「その人は、伝説のパティシエ、十村遼太郎。10 年前まではトップパティシエだったの。国際コンクールで何度も優勝してるのよ」
「何でパテイシエを辞めたんですか?」
「……さあね」

依子は真相を明かしてはくれなかった。


とある高級パティスリー。
外国人オーナーと話す十村の姿が。

「事故のことを聞いて心配していたんだ」

彼は十村の恩師であり、再び彼をパティシエとして自分の店に招こうとする。

「私はもう厨房には立てません」

現状に満足をしていないものの、その話を断るのだった。


コアンドルでは今日もなつめとマリコが喧嘩をしている。

その拍子にマリコから海の居所を聞いたなつめは……
「知ってたのに隠してたんですか!?信じらんない!」
と思わず店を飛び出してしまう。


とうとう海を見つけ出し、「鹿児島に一緒に帰ってお店をやろう」と説得するが……。

「え?俺たち別れたじゃん。手紙にも書いたし」
「そんな……それに結婚の約束も!」
「はあ?それって幼稚園の時の話でしょ?それに俺は海外に留学して修業するから」
「え~そんなの無理だって!絶対、無理!」
「何でそう決め付けるんだよ!そういうところが嫌だったんだよ!」
「でもさ、無理なもんは無理だもん」

と、そこに海の新しい彼女が現れ……。


その夜、ベロベロに酔っぱらって帰ったなつめ。

「フラれました~~!私、決めました。仕事を選びます!絶対超有名なパティシエールになります!」

泣きじゃくりながら依子に新たな決意を示す!


心機一転、なつめは仕事に打ち込む。

芳川さんに食べてもらった試作品のカシスフロマージュの評価はイマイチで、少し落ち込んだりもしたけれど……目標に向かって充実した毎日を送っていた。

そんななつめの必死な姿を見て、十村も少しずつ心が動き始めて……。


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ある日、なつめは依子から十村がパティシエを辞めた理由を聞かされる。それはあまりにも悲しい出来事だった。


「どうして十村さんは伝説なんですか?」
「あの人のケーキは人を幸せにするから。どんな人でも笑顔に変えるから」


足早に過ぎていく日々の中で、まだ自分の居場所を見つけられずにいる十村。

自分の未来のために突き進むなつめ。

一方、コアンドルも依子の頑張りで晩餐会の契約という大きなチャンスを手にする。
だが、その帰り道……依子は突然めまいに襲われ階段から転げ落ちて、全治二ヶ月の大ケガを負ってしまう!

「お店を休業するしかないわね。晩餐会もキャンセルするわ。あなたたちだけじゃ無理だし」
「新しいシェフを雇えば?」
「味が変わってしまう」


こうしてコアンドルは休業に追い込まれて……。

そんな時、なつめは休業前に最後のケーキの配達を頼まれ、足を運ぶと……そこは芳川さんのお宅だった!

応対に出た芳川さんの夫は、
「妻は重い病気で手術するんですよ。食欲はないんですが、あなたのケーキがどうしても食べたいって」
「え?」

隣室で寝ている彼女のところにケーキを差し出す夫。
その会話に耳を傾けるなつめ。

「美味しい!あのコ、腕を上げたわねぇ。ホント美味しい!」


この瞬間、なつめはある決意を固める!


十村の自宅まで赴き、
「どうしてパテイシエを辞めたんですか?」
「意味がない……俺にはケーキを作る意味がない」
「コアンドルを助けてください!お願いします!」
「鹿児島に帰れ!」
「帰りません!私は逃げない!十村さんはまた逃げるんですか!?十村さんのケーキは、人を幸せにするんでしょ!食べた人を笑顔に変えるんでしょ!」
「…………」


果たして晩餐会はどうなってしまうのか?
突然、迎えたお店のピンチを乗り越えられるのか?
十村が出した‘答え’とは?
洋菓子店コアンドルが再び笑顔で溢れる日は来るのだろうか?


「最後にお客さんを笑顔にするのは……俺たちだ」


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ケーキ作りをやめた元・天才パティシエと、恋人を追って上京したケーキ屋の娘。
二人が偶然、出会ったお店は、美味しいケーキとたくさんの人生で溢れていた。

悲しい時も、落ち込んだ時も、美味しいケーキが幸せを運んでくれる。
どんな人でも‘笑顔’に変えてくれる洋菓子店を舞台に、スイーツを通して出会った人々の挫折と再生を描いたハートフルストーリー。



悲しみを乗り越えること、夢を諦めないこと、そして人生を楽しむこと。
その大切さを瑞々しく描いており、とても優しくて温かい作品でした。


伝説のパティシエと呼ばれながら、ある理由をキッカケにスイーツ界から身を引いた十村は、決して忘れる事ができない過去が原因で心に大きな闇を抱えている。

一方、恋人を追って上京してきたなつめは、依子や仲間たち、常連客に支えられながら、もがきにもがいて一生懸命に自分の居場所を見つけようとする。

そんな彼女の姿に十村の心は動かされ、少しずつ過去と向き合い始めていきます。


そして‘コアンドル’で働く人やお客さんも、何かを背負い抱えて生きている。

人生は決して甘いものではないけれど、それを一瞬でも忘れさせてくれたり、元気を与えてくれる小さな奇跡が、美味しいスイーツには詰まっている!

その一口がもたらす笑顔に会いたくて……「ありがとう」という言葉が聞きたくて……なつめたちは心を込めてスイーツを作るのです。




蒼井優がメチャメチャいい!
気が強くて、ちょっと天然気味で、こうと決めたら一直線の女の子、なつめを生き生きと演じています。

鹿児島弁も可愛い!



涙腺のツボにハマりまくり、中盤くらいから泣きっぱなし状態になってしまった。


『洋菓子店コアンドル』は、観た人を幸せにする映画、笑顔に変えてくれる映画ですビックリマークビックリマークビックリマーク




ちなみに……客は自分ひとり。
スクリーンを貸し切りの~~超贅沢なプライベートシアター状態での鑑賞でございました(笑)。