『あしたのジョー』 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

某シネコンにて『あしたのジョー』を鑑賞。


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【出演】
山下智久、伊勢谷友介、香里奈、香川照之、勝矢、虎牙光揮、モロ師岡、西田尚美、杉本哲太、倍賞美津子、浜田剛史、加藤浩次、津川雅彦


【監督】
曽利文彦




※超ネタバレなので、ご注意ください。



‘あしたは どっちだ’



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昭和40年代、東京・下町のドヤ街。

喧嘩に明け暮れ、殺伐とした生活を送る少年がいた。
その名は、矢吹丈。


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ある時、ボクサーくずれの丹下段平は、ジョーの天性の身のこなしに惚れ込み、
「拳闘をやってみねえか?おめえはボクサーとしての才能がある!俺とあしたを掴まねえか!?」
「そんなもん興味ねえよ」


そして数々の事件を起こしたことから、ジョーは少年院へと送られてしまい……。

そこで西(マンモス西)と出会い、永遠のライバルとなる力石徹との運命的な出会いも果たす!


段平から送られてくる一枚のハガキがキッカケで……ジョーは次第にボクシングの虜になっていき……と同時に、一発でぶっ倒れされたプロボクサー・力石に勝つために執念を燃やす。

‘あしたのために (その1)ジャブ・内角を狙いえぐりこむように打つべし’


‘どうしても倒したい男が現れた。どんどんハガキを送れ’

「ジョーの野郎、ボクシングをやる気になりやがった!」
と嬉しさを隠せない段平。


‘あしたのために (その2)右ストレート’


そんなある日、白木財閥の令嬢であり、白木ボクシングジムの実質的経営者・白木葉子が少年院を訪れ、所長らにボクシングの試合を提案する。


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「お前らの宣伝に使われるなんてごめんだ」
と拒否するジョーに対して、
「力石君との試合よ」
「…………!!」


ジョーとの対戦を組むように葉子に頼んだのは力石だった!

「どうして彼なんかと?あなたは世界も狙えるボクサーなのよ」
「このままじゃ、気が済まないんですよ。それにあいつのジャブは、プロ並みでした。ジャブだけは……」


一方、段平は身体を張って、ジョーにある秘策を授ける。
‘肉を斬らせて骨を絶つ!’……‘あしたのために(その3)’の秘策を。


そして……いよいよ院内での‘ジョー対力石’因縁の試合!

ここでセコンドの段平は、レフェリーに驚くべき要望を。

「これはアマチュアルールか?」
「当然ですよ。1ラウンドに3度ダウンした時点でKO負けです」
「冗談じゃねえ!1ラウンドに何度ダウンしようが、どちらかが完全にくたばるまでやらせてほしい!」
「無茶ですよ!」
「無茶?それならこの試合自体が無茶だ!力石はフェザー級、ジョーはどう見てもその下の下だ。こんなに階級が違う試合なんだぞ!」
「しかし……」

「俺は構わないよ。どうせ1ラウンドでKOだ」
自信満々の力石。

「ありがてえ。決まりだ!」
「驚いたな、おっつぁん。あのパンチはそんなに何度もあの野郎をぶっ倒せるのかい?」
「何度もぶっ倒されるのは、おめえの方だよ」


ダウン無制限のルールで、遂にゴングが鳴る!

勢いよくコーナーを飛び出すジョーだったが……先制のストレートを浴びてしまい、いきなりのダウン。

力石は面白いようにパンチを浴びせ続け、顔面を腫らし、血を吐き、ダウン、またダウンのジョー。
しかし、その度に立ち上がり……1ラウンドが終了。

1ラウンドKOの公約が果たせなかった力石の怒りが爆発し、2ラウンドも強烈なパンチの嵐を浴びせるが……隙をついてジョーのジャブ&ストレートが遂にヒットし、力石の顔色が変わる。

再びパンチの連続で、ジョーは万事休すかと思いきや……突然、ノーガードで立つ!
ここぞとばかりに力石がトドメの左ストレートを繰り出した瞬間、ジョーは右ストレートを放ち……必殺のクロスカウンターが炸裂!

こうして二人の対決は、両者KOの引き分けとなる。


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そして時は流れ……ジョーの出所の日。

段平に連れられて去っていくジョーの後ろ姿を見送る看守たちは、
「いればいれで厄介だけど、いなくなると変に淋しいですね」
「不思議な男だよ……」


ジョーは、橋の下のオンボロジム‘丹下拳闘クラブ’で西と共にプロボクサーとしての道を歩むことに。

ジョーは一足先に少年院を出る力石にこう言葉を投げ掛けられていた。
「待ってるぜ」

お互いを認め合い、永遠のライバルとして惹かれ合う二人。


段平は橋の上で、
「ここがなんで泪橋っていうか分かるか?行く当てのない連中が泪を流しながらこの橋を渡ってドヤ街に辿り着くから泪橋っていうんだ。ジョー、おめえはこの橋を逆に渡れ。あしたに向かって逆に渡るんだ」


力石は、近代的な白木ジムに所属し、葉子の支援による恵まれた環境のなか破竹の連戦連勝を続けていた。その圧倒的な強さでエリート街道をひた走る。


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一方のジョーは、段平と二人三脚の特訓をし、プロボクサー試験にも合格。

そして遂にプロデビュー戦の日!

トップロープを飛び越えて颯爽とリングインするジョー。

ゴングが鳴るや次々にパンチをヒットさせ楽勝かと思ったところ……なんといきなりノーガードの‘両手ダラリ’戦法。

「何しとるんじゃ!ちゃんとガードせんかい!」

わざと相手のパンチを受けるジョー。

「あいつ、誘ってやがる」

と、必殺のクロスカウンターが炸裂し、1ラウンドKO勝利!

クロスカウンターを武器に、連続KO勝利を続けるジョーに対し、力石は世界タイトルに手が届くところまで上り詰めていた。

だが、世界戦の前にジョーとの決着を望み、葉子を困惑させる。

「奴と決着をつけないと先に進めないんですよ」

ジョーも自分がプロボクサーになったのは‘力石と戦うため’だと、段平に力石戦実現を強く求める。

しかし、二人の間には、そのキャリア、実力の差もさることながら、ボクシングでは決定的となる体重の差もあった。対決を妨げる壁は、厚く、高かったが実力を認め合うあう両者は、命を削りこれを乗り越えようとする。


葉子は白木ジムの精鋭、ウルフ金串を丈の対戦相手に推薦。
実力者のウルフにジョーを倒させることにより、力石に対戦を諦めさせようという魂胆であった。

ウルフ陣営は徹底的にクロスカウンターを研究して試合に臨む。


力石と葉子が見守る中、‘ジョー対ウルフ’戦のゴングが鳴る!

一進一退の攻防……そしてジョーのノーガードからのクロスカウンターが炸裂……が、ダウンしたのは……ジョーだった。

クロスカウンターを攻略するダブルクロスカウンターだ!

試合は進み、またもやダブルクロスカウンターでダウンしたジョー。
すると客席にいた力石がエプロンサイドまで駆け寄り、
「立て!立て、矢吹!俺との決着をつけるまで負けるな!」

夢遊病者のように立ち上がったジョーは、両手をダラリ。
すかさずパンチを繰り出しウルフ……と、深々とマットに沈んだのはウルフの方だった。

ダブルクロスの上を行くトリプルクロスカウンター!


遂にプロのリングでの‘ジョー対力石’の試合が実現決定!


力石はフェザーからバンタム級に落とすという過酷な減量に挑む。

サウナスーツを着ての激しい練習、いくつものストーブを焚いた部屋に鍵を掛けて閉じこもり大量の汗を流す。

「力石君、そこまでする必要があるの?あなたはフェザー級でも厳しい体格なのよ」
と苦言を呈する葉子に力石は、
「矢吹は俺と戦いたくて、あの体格なのにわざわざバンタム級で試合をしているんです。それに応える意味でも減量しなければならないんです」

一滴の水すら口にせず、日に日に痩せ細っていく力石だったが……ある夜。

「水……水……」
喉の渇きに我慢出来ず、水道へ……ところが蛇口は針金で縛られていた。

「何だ、これは?……水……水を飲ませてくれ……」

シャワールームも同じ状況で蛇口をひねることが出来ない。
そこに葉子が……
「私がやったの。急に冷たい水を飲むと体を壊すから」
と、コップに白湯を注ぎ手渡す。

力石はコップを手にするが……全部を床に零し捨て、
「ありがとう、お嬢さん。その気持ちだけ飲ませて頂きます……おやすみなさい」
「……力石君」


葉子はジョーの元を訪れ、試合を中止するよう懇願。

「あのままでは力石君は危ないわ。お願いです。試合するのをやめてください!」
「力石も俺も、戦うことを宿命づけられてるんだよ。中止になんか出来ない」


そして前日計量。
力石が裸になった瞬間、どよめきが起きる。
限界を通り越した減量の結果、彼の身体は恐ろしいくらいに痩せ細っていたからだ。

「力石徹、バンタム級リミット、OK!」


遂に運命の日……場所はボクシングの聖地・後楽園ホール。
超満員の観衆の中、二人は宿命のリングに上がる!

「青コーナー、117パウンド2分の1、矢吹丈!」
「赤コーナー、118パウンド、力石徹!」


ゴングが鳴ると同時に力石はアッパーの連続。


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「クロスカウンター封じのアッパーだ!」

掠っただけでジョーの頬が切り裂かれるほどの強烈すぎるアッパー。

ジョーは間隙をついてパンチをヒットさせるが、力石も返す。


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力石優勢で攻防は進み……迎えた第6ラウンド。

完璧に入ったパンチでマットに沈むジョー。


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「立て!立つんだ、ジョー!!」

もはや気力だけで立ち上がり……と、起死回生のフックがテンプルにヒットし、ダウンする力石。
その瞬間、サードロープに激しく後頭部を打ち付ける!

頭を振りながら起き上がる力石……すると……なんとノーガード戦法を!
すかさずジョーもノーガードで対抗し、緊迫感溢れる睨み合いが続く。

最終ラウンド。
撃ち合おうとしない両者に観客から野次が飛ぶ。

「いつまで睨み合ってんだよ!」

先に動いたのはジョーだった!

「バカ野郎!手を出すんじゃねえ!」
危険を察知した段平が叫ぶ。

ジョーの右ストレートをブロックした力石の身体が一瞬沈み……そこに渾身の力を込めたアッパーカットが炸裂!

ジョーの身体は宙に浮くや、マットに沈み……立ち上がれなかった。

「終わった……何もかも」

力石のKO勝利!
どうにか立ち上がったジョーは力石に歩み寄る。

「さすがだ。まいったぜ」
と手を差し出す。

力石はニヤリと笑うとその手を握り返そうとするが……。




矢吹丈と丹下段平との出会いから、力石徹との壮絶な死闘、そして彼の死までを描いた人気漫画の実写化。


子供の頃から大好きな……そして、ボクシングファンになるキッカケにもなった原作の映画化なので、超楽しみにしていた作品!


かなり省略して描かれていたので、原作ファンとしては若干の物足りなさを感じたものの……これは致し方ないところか。

全てのエピソードを網羅しようとしたら、2部作か3部作にするしかないでしょうし。


ただ少年院のエピソードには、もう少し時間を割いて欲しかったかも。
このくだりがあるからこそ、後の話が活きてくるとも言えるワケで。


でも原作の一場面をそのまんま忠実に再現した部分は(クロスカウンターが決まった瞬間や、握手しようとした力石がスッーと倒れ込むところ等々)鳥肌が立つくらい、たまらないものが!



次のブログで、映画『あしたのジョー』を徹底検証したいと思います。