『グミ・チョコレート・パイン』【2】 | エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて

ただの戯れ言?!またはエッセイのようなもの。
そしてボクは時をかける。

エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-s~04.jpg


美甘子と一緒にオールナイトを観たものの、それ以上進展する気配はなく……いつしかまた疎遠になってしまい……そのうち何故だか学校に来なくなる美甘子。


すると、しばらくして……生徒たちが騒然となるあっと驚く出来事が勃発。

美甘子のヌード写真がスコラに掲載され、しかも‘大林森監督’の映画で、いきなりの主演デビューを飾るらしいのだ!
学校内はこの話題で持ち切りとなる。


「高校生がヌードになるとは、由々しき問題!」

教師に呼び出された美甘子は退学を通告され……淋しく学校を去っていく。

‘ジョン・カーペンターと『ロッキー・ホラーショー』と『狂い咲きサンダーロード』が大好きで「人生はグミ・チョコレート・パインみたいなもの」と言っていた彼女は学校を出ていった’


いてもたってもいられない賢三は授業を抜け出し、必死に美甘子を追いかけて……8ミリフィルムを手渡す。

「何これ?何が映ってるの?」
「たいしたものじゃないけど、暇な時にでも見てよ」
「分かった……て、よく分かんないけど」
「…………」
「どうしてわたしを追いかけてきたの?」
「どうしてって……」
「何か言いたいことがあるんじゃない?」
「山口に差を付けられて、負けっぱなしだよ。悔しいんだよ。人生がグミ・チョコレート・パインなら、チョコを連発していつかは追い抜いてやるぞ……そう思ってたんだよ」
「そっか……そう思ってたんだ……山口のことが好きだとか言ってくれるのかと思ってた……じゃあね」
「…………」


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-s~03.jpg


‘それが俺が見た最後のナマ山口だった’


賢三は見つかったら恥ずかしいモノをバッグに積め……土の中に埋める。

それは山口美甘子との決別も意味していた。


そして……37歳になった賢三は、ライヴを行った懐かしのライヴハウスを訪れる。

と、そこにはギターを抱えた暗い雰囲気の男が。

「もしかして……」
「久しぶりだな、大橋」

なんとバンド仲間だった山之上だ!

するといきなり彼は……
「お前に謝らなければならないことがある。すまん!許してくれ!」
「???……いや、ワケ分からないんだけど」

ここから山之上の告白が始まる。

美甘子が亡くなる一週間前、山之上は見舞いに訪れていた。
その際、美甘子から賢三宛ての手紙を託されていたのだ。
しかし彼は、その手紙を読んでしまった。そしてその内容に嫉妬を覚え、3枚のうちの2枚を抜き取っていた。

「じゃあ、俺が読んだのは最後の1枚だけ?」
「俺は山口が好きだった。だから高校の時、お前が羨ましくて仕方なかった。ずっと嫉妬してたんだよ。すまない……」

そう言うと2枚の便箋を手渡す。


家に帰った賢三は、美甘子からの手紙の全文を読む。

‘あの時、あそこで好きだって言ってくれてたらどんな未来が待ってたんだろう。変わらないかもしれないけど、でもどうしても考えてしまいます。つい最近、整理をしていたらあの8ミリが出てきて、やっと見たよ。20年以上も見ないでいたんだけど’

その8ミリには、ブルマで体操をする美甘子の姿を追った映像が……眩しいくらいに輝く笑顔の美甘子が映っていた。

‘嬉しかった。凄く嬉しかった。ありがとう!わたしの人生の10万分の1くらいの幸せは……’


‘あなたのせいなのだから’


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-es~09.jpg


楽屋でメイク中の1986年の美甘子。

「美甘子ちゃんはデートしたことあるの?」
「ないです、ないです……あ!あれはデートなのかなぁ?」
「あるんじゃない!」
「いや……デートっていうか、保護者として付き添ってもらったって感じです」
「保護者?」

そこにアシスタントが、
「美甘子さんに頼まれた飲み物、持って来ました」
「ありがとうございます」
「え?おしるこ?なんで?」
「好きなんです!」


最後は賢三のこの言葉で物語の幕は閉じます。


エルドラド 「時をかける言魂」 『時かけ』と仲里依紗に魅せられて-es~04.jpg

「人生、七転八倒!」




アングラなロックと映画に傾倒することをアイデンティティとしている少年の恋とバンドに試行錯誤する姿を描く、大槻ケンヂ原作の青春ストーリー。


笑えて泣けて切なくて……青春映画の大傑作!


80年代のカルチャー&小ネタが満載でノスタルジックな気分にも浸れます。

雑誌のGORO、スコラ。
賢三が着ている‘コムサ’のバックプリントが入ったスタジャン。
おニャン子クラブに国生さゆりの「バレンタイン・キッス」。
『エイリアン』のチラシ、『地球に落ちてきた男』『ニューヨーク1997』等のポスター。
adidasのスポーツバッグ。
貸しレコード。
宇宙企画の‘青木琴美’。
聖子ちゃんカット。
女子高生の踝までの白ソックス。

等など~~その他にも80年代テイストがテンコ盛り!



美甘子役の黒川芽以がメチャメチャいいビックリマークビックリマークビックリマーク

こんなコが同じクラスにいたら、絶対に惚れますなっ。


美甘子がいきなりの映画主演デビューを飾る作品の監督が‘大林森’監督(笑)。

「必然性があるなら裸になることも辞さない」
と雑誌にコメントしている美甘子。
数々の新人女優を裸にしてきた‘あの監督’をモチーフにしているだけあり、リアリティがあるコメント!?