
【出演】
藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介、野波麻帆、中村ゆり、キムラ緑子、石橋蓮司、三浦誠己
【監督・脚本】
行定勲
「上辺だけの付き合い、それくらいが丁度いい」

都内の2LDKマンションに暮らす男女四人の若者達。

毎晩のジョギングを欠かさない健康オタクの映画会社勤務・伊原直輝。
28歳。この部屋に最初から居る住人。最年長で相談役として慕われている。親知らずが痛むため抜歯を予定。
「何でもかんでも、みんな俺に頼ってきやがる」
おかまバーに通う深酒気味のイラストレーター兼雑貨屋店員・相馬未来。
24歳。酔っぱらいの烙印を押されつつも鋭い意見を言うこともしばしば。大切にしている“あるシーンを編集したビデオテープ”は落ち込んだときの特効薬。
「バスキアとウォーホル、好き?」
若手人気俳優の丸山と秘密の逢瀬を続ける無職・大河内琴美。
23歳。一日中リビングで丸山の出演するテレビドラマを眺めている。月に一回程度の丸山とのデート以外は部屋着のスエットで生活。
「私、妊娠した」
先輩の彼女に恋をした大学生の杉本良介。
21歳。H大学経済学部3年。大学の先輩の彼女に恋をしており、告白する勇気が出ず悩んでいる。下北沢のメキシコ料理店でバイト中だが、面倒臭くてよく休む。
「好きになったのが、先輩の彼女ですよ。どうすりゃいいんですか?」
それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。

ある日、そこに男娼の正体不明の少年・小窪サトルが加わる。
18歳。自称‘夜のオシゴト’に勤務。新宿二丁目で酔っ払った未来に絡まれた流れで、そのまま部屋に住みつく。
「あんた誰?」
「サトルです」
「良介の後輩じゃなかったの?」
「俺、知らないですよ」
「未来さんに」
「え?」
「酔っ払った未来さんに、無理矢理連れて来られました。覚えてないんですか?」
「全然、記憶にない……」
サトルが一緒に住むようになってから……なぜか、街では女性ばかりを狙った連続暴行事件が起こり始める!

未来は直輝に、
「サトルがウチに暮らし始めてからだよね、事件が頻発してるのって」
「お前、サトルを疑ってんのか?もとはと言えば、お前がサトルを連れて来たんだろ」
そして彼らの日常に、小さな波紋が拡がり始めて……。
ルームシェアという不思議な関係性で‘居場所’を見出している若者たちと社会の根源的な亀裂をあからさまに描く青春群像劇。

共同生活を送る、何の接点もない‘外部’を持つ5人は、シンプルな合理性を超えた不思議な関係性で‘居場所’を見出している。
サトルはこの関係に最初は疑問を感じ、琴美にこう訊く。
「他人と生活しててウザクないの?」
「別に。ここってさ、インターネットのチャットや掲示板みたいなもの。居たければ笑っていればいいし、嫌なら出て行けばいい」
「じゃあ、上辺だけの付き合いなんだ。そうじゃないと、壊れちゃうもんね」
そして連続暴行事件の真犯人は……。
「どうするんだよ、みんなに言うのか?」
「もうみんな知ってるんじゃないの?」
「知ってる?」
「たぶん、知ってるよ……」
しょっちゅうタバコをプカプカ吹かしている気怠そうな雰囲気の未来を演じた香里奈が好演!
レイプシーンを編集したビデオテープを見ることを心の拠り所にしていて……
「それを見てると不思議と落ち着くの。だんだん自分の中の不安が麻痺してくる」
デート以外の時は、ダサいスエット姿で過ごしている琴美役の貫地谷しほりも魅力的。

「隣の部屋では絶対、売春やってるよ。あのエロダコも常連なんだ。私がお金出すからさ、潜入して確かめてきなよ」
そう琴美に唆された良介は期待感を持って潜入するも……その部屋で行われていたのは……。
吉田修一の原作も面白かったですが、映画も観応え十分の内容になっています。