
【出演】
西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラ、渡辺真起子、渡部篤郎、尾上寛之、中村麻美、堀部圭亮、板尾創路、岩松了、吹越満、洞口依子
【原案・脚本・監督】
園子温
クリスチャンの家庭に生まれた高校生の本田悠(ユウ)は、優しい神父の父テツと2人で幸せな生活を送っていた。
幼くして亡くした母親の「いつかマリア様のような人を見つけないさい」という言葉を忘れずに。
そんなある日、愛人のカオリができ、聖職者でありながらもカオリに没落していく父。
しかし、そのカオリも僅か三ヶ月で去り、ショックのためか父の性格は一変する。
ユウは毎日、毎日「懺悔」を強要される。
「今日の罪は?」
「ありません」
「そんなはずはない。考えろ。罪は?」
罪を何も思い出せず、父との繋がりを失いたくない思いから、無理矢理に色々な罪作りに励む。
やがて不良グループとつるむようにもなり、数々の悪事にも手を染めるユウ。
全てを「許す」父も、ひとつだけ、許されることのないキリストの教えに反する罪があった……それは、女性の股間ばかりを狙う‘盗撮’。
ユウは「ヘンタイ」と殴られるが、これこそが愛だと感じる。
「もっと殴ってください!」
ユウは盗撮の技術を身につけていき……遂に父から懺悔を拒否されるに至った。

父への執着心を愛と感じ取る感性が、ユウを盗撮のプロに仕上げていくが、それでも彼は全く性欲を感じなかった。
「僕は勃○したことがない。心の底から勃○したい」
が、転機が訪れた!ユウが探し続けていた「マリア」との出逢いだ!

その女性は、ユウの目の前で、不良少年たちの大群をカンフーで叩きのめしていた、女子高校生の尾沢洋子(ヨーコ)。

それを目にしたユウは、生まれて初めて恋に落ちた。

友人たちとの罰ゲームで‘女装’していた彼は、思わず加勢し……。
「ありがとうございました!あのぉ、お名前は?」
「名前?……え、ええと……サソリ、サソリよ」
そして、いきなりヨーコにキスを……とその瞬間、彼の股間に異変が!
「じゃ、じゃあ、またね」
ヨーコも、不良少年たちと戦ってくれたサソリに恋をしてしまう。
こうして2人は初めて恋心を知ったのだった。
ユウはヨーコを想うと勃○が止まらない。
「生まれて初めて勃○した!」
ヨーコもサソリを想えば胸が痛くなり、初めて自慰を覚えた。
「この気持ちは何?」

ヨーコは父親の虐待のトラウマで、‘男’に対して激しい恨みを抱いている。
「カート・コバーン以外の世の中の男どもはキライだ。大キライだ。わたしはサソリが好き。もしかして、わたしはレズなのか……ヘンタイなの?」
そんな時、ユウのクラスに転入生が……なんとそれはヨーコ!

どうしても親しくなりたいユウは、必死にアプローチをするも……ユウが恋するサソリだと知る由もないヨーコは相手にもしない。

「キモいんだよ!付き纏うんじゃねえよ!」
一方、テツはカオリと再会し「一緒に暮らし、神父をやめて結婚する」と語るが、そのカオリには連れ子があり……それがヨーコだった!
ユウとヨーコは‘兄妹’として、同じ屋根の下で暮らすことになってしまう。
ヨーコはユウの正体が恋するサソリだとは気づかず、毛嫌いしている。
そしてサソリに電話をし、
「あんな奴、サイテー。ストーカーみたいな奴なんです。あんなヘンタイと兄妹なんて我慢できない!」
ユウはショックを受けるが、サソリとしてこう諭す。
「‘お兄さん’と呼び、優しく接して上げなさい。約束よ」
ヨーコは作り笑顔で、
「お兄ちゃん!」
‘たまらなく嫌だけど、これもサソリさんとの約束だ……’

ヨーコに真実を告げられないユウの混乱は加速度を増し、その想いを押し殺すようにして盗撮を続けていく。
その頃、膨大な会員数を誇り、営利を貪って高層ビルまでを所持する悪の教団‘ゼロ教会’という謎の新興宗教団体が世間を賑わせていた。
教祖の右腕の女・コイケは何を企んでいるのか、ユウとユウの家族に近づき始める。

そんな彼女にも暗い過去があった。
父親に虐待され、レイプされ続けた過去が。
そんな鬼畜な父親に、凄まじすぎるくらい凄まじい報復をしていたコイケ。
コイケはある計画を胸にユウとヨーコのクラスに転入生としてやって来る。
その計画とは、ヨーコに自分がサソリだと思わせ、それを機に家族丸ごと洗脳すること。
いつしかヨーコの家に入り浸るようになり、家族の信頼を得……逆にユウを追い出しにかかる画策を。
その画策とは……ユウの盗撮を暴露すること。
盗撮がバレたユウは退学になり、ヨーコからは罵倒され、激怒した父からは家を追い出されてしまう。
それから程なくして……家族は‘ゼロ教会’に入信して姿を消す。

怒りに燃えるユウは、ヨーコを奪還するため‘ゼロ教会’に戦いを挑む決意を!
そして、ここから‘愛のむきだし’のストーリーが始まる……。

コイケは、父親からの虐待と復讐の過去から、愛を足りずして取る行動は……学校での流血を伴う暴虐であった。
ヨーコは浮気性の父親への嫌悪感が原因の男性不信に陥っていた。

二人とも、その衝動から懐かしい家族の風景を自らの手で壊していたのだ。
ユウは洗脳されたヨーコの心を取り戻すべく全身全霊を傾け、命を賭けて‘ゼロ教会’に潜入するが……。

237分とかなり長い作品ですが、その長さを全く感じさせない面白さ!
‘園子温ワールド’全開の大傑作中の大傑作!!
重く暗い展開も、光明が感じられるラストが心地良い。
満島ひかりの天才的演技にド肝を抜かれる!
この女優、凄いとしか言いようがない!
それに負けていないのが安藤サクラ。
彼女の演技も見る者を惹きつける魅力で溢れています。
この二人の濃厚なキス&ベッドで戯れるシーンは、かなり煽情的でありながらも美しい。
『愛のむきだし』最高







