
【出演】
林遣都、北乃きい、桜井幸子、波岡一喜、藤村聖子、鳥羽潤、大沢たかお
【監督】
成島出
いじめられっ子の立花稔は、ケンカがめっぽう強い幼なじみの西村亜紀にずっと助けられてきた。
「わたしが稔ちゃんを守るんや!」

高校生になり、容姿端麗・成績優秀な亜紀が学校のアイドル的存在となった今も、その関係は変わらない。
絡まれている稔のもとに駆け付け、回し蹴りの連発で不良たちをあっさりKO!
「稔ちゃんをいじめる奴は、この西村亜紀が許さんのじゃ!」


「またいじめられとったんか。しっかりしいや」
亜紀にバカにされ続けてきた稔は、彼女より強くなって劣等感を克服しようと決心し、内緒でボクシングジムの門を叩く!
そんな時、恭子から告白され、成り行きで付き合い始めた稔。
「ボクシング始めたんは、亜紀に勝って自由になりたいんや」
「わたし、応援するわ」
ジムを経営する元日本王者・大木の熱心な指導で、ボクシング修行に励むが……。


恭子がポロッとボクシングの話を亜紀にしてしまい……
「ボクシングてなんよ?」
「俺、知らん、知らんで!」
「ふ~~ん、そうなんや」
稔の嫌な予感が的中し、ジムに現れた亜紀。
そんな彼女もボクシングに魅せら、
「決めた!わたしもボクシングやる!」
「はあ?」
稔は徐々にレベルを上げていき、大木を相手に初のスパーリングを行うも……どうしても顔面を打つことができない。
「稔ちゃん、何やっとんねん!どつきや!」
稔が人をどつくことができない理由とは?
「俺がどつかれへんのは、お前のパンツのせいや。お前が回し蹴りする度にパンツが見えるやろ。それで心臓がバクバクして、どつかれへんようになったんや。俺、しんどいんや!お前がいるだけで、しんどいんや!」
「わたしのパンツのせいでどつかれへん?アホらし……このヘタレ!」
亜紀は大木とのスパーリングで完全に子供扱いされ、
「一発も当たらへん」
「よう頑張った。今日はこれくらいにしといたるわ」
「……」
持ち前の負けん気から、より激しい特訓に励む亜紀。
そんなある日、大木はテレビ局からこんな依頼を受ける。
「映画の宣伝のため、人気俳優とスパーリングをしてほしい。そして派手に負けてもらいたい」
「八百長せいってことですか?」
思い悩む大木だったが、経営難のジムを立て直すため、それを受け入れる……みんなには秘密にして……。
そしてスパーリング当日。
鼻持ちならない人気俳優にノーガードでパンチを浴びせさせ、八百長を知らない亜紀たちは、
「何しとんねん、会長!そんな奴、どついたれ!」
しかしボコボコになってのKO負けを演じる大木。
「何や、このオッサン、アホちゃうか?弱すぎるわ」
ここで亜紀の怒りが爆発し、ファイティングポーズを取るが……大木は、
「やめとき。大事な拳をあんな奴に使うたらあかん」
と……亜紀は、強烈な飛び蹴りを!

「会長のことをバカにしたら、この西村亜紀が許さんのじゃ!」
その夜、亜紀は稔のいる前で大木に……
「会長とキスしたい」
「稔、ええんか?」
「……」
大木はいきなり唇を奪い……亜紀は涙を流して去っていく。

瞬間、稔はようやく気付く。
‘俺は、亜紀のことが……’
「亜紀に謝れ!あいつ泣いとった!初めて泣いたんや!会長、何であんなことしたんや!」
恭子に別れを告げた稔は亜紀と会い……。
「俺はお前といるのが欝陶しかったんや!自由になりたかったんや!でも……」
「ほっといたやんか!会長にキスされた時、わたしのことほっといたやんか!」
「……」
「わたし、ずっと楽しかった。弱虫の稔ちゃんを守るのが快感やった。でも……でもな、会長とキスした時、守って欲しかった!わたしと勝負してよ。もう必要ないって思わせてよ!」
ふたりは制服のままグローブを付け、校庭で対峙する。
どつきどつかれ……お互い血を流し合う激しい対決!
「どつけるやんか。ええパンチやった。わたし……もう稔ちゃんのこと守らんでええんやな」
稔は亜紀を抱きしめ……
「何すんねん」
「消毒や。血の味するな」

いじめられっ子と、彼を守るために強くなってしまった女の子の姿を描いたピュアでパワフルな青春ラブストーリー。

ボクシング・シーンのために、主演コンビは5ヶ月の特訓を積んだとか。
どんどん様になっていく二人のボクシングと真剣な表情は、演技を超えた迫力!
とにかく北乃きいが凄い!
ミドル~回し蹴り~ハイキックの見事なコンビネーション、華麗なシャドーボクシング&フットワーク、ド迫力のミット打ち、激しいスパーリング、そしてチョークスリーパーやアームロックなど総合の技まで披露。
プロ顔負けの‘超絶縄跳び’も圧巻の一言です!
(アクションは吹き替えなしで全て演じたらしい)
このコ、見た目と違って抜群の運動神経の持ち主?
(『武士道シックスティーン』での剣道も様になっていたし)
格闘シーン以外でも北乃きいは体当たりの演技を見せる。
年齢差20歳以上の大沢たかおとの長い長いディープキス&ラストの林遣都とのキス。
そして……公衆の面前でいきなりスカートをめくり上げ、パンツ丸出しで……
「パンツが何よ!パンツくらいでどつかれへんようになるなんて、稔ちゃん、ヘタレすぎや!」
北乃きいの女優魂に感服!
『ラブ・ファイト』は、女子高生版『どついたるねん』とも呼べる作品だ!
ちなみにボクシングファンには涙モノのシーンも。
ジムの壁にはあのエディ・タウンゼントさんの大きなパネルが飾られており、大木のこんな台詞も。
「昔、伝説のトレーナーがこう言ってた。‘ボクシングは喧嘩じゃない。スポーツでもない。この世で一番美しい会話や’」
エディさんに対するリスペクトが感じられ、ジーンときます。
‘この世で一番美しい会話’
この言葉が校庭での亜紀と稔のボクシング対決に集約されています。
愛を確かめるようにしてのパンチの応酬で、最後には足を止めてノーガードで打ち合い、口から血を吐く!
それが激しくも……爽やかで美しく……。