『時をかける少女』DVDに収録されている‘スタッフオーディオコメンタリー’。
谷口監督、プロデューサー、カメラマンの3人による解説を聴きながらの2時間2分。
これが面白すぎ!
あっと驚く裏話や、初めて知るエピソード等々……『時かけ』ファンには涙モノの話の連発です。
その中から特に興味深かった話……。
◎ボートシーン
撮影の合間、仲さんと安田さんが「時間かかりますね~」とこぼしていた会話がピンマイクを通してスタッフに丸聞こえだったらしい(笑)。
◎弓道シーン
弓矢をポロッと落として、あかりは思わず‘アチャー!’。
これはNGシーンのはずだったのが、あかりの表情があまりにも可愛かったため採用したそうです。(本来は飛んだ弓矢が的まで届かず……という設定だった)
ということは、あの表情は仲さんのアドリブ!
◎ゴロちゃん
嬉しそうに和子に会いに来た吾朗。
未だ独身の設定で36年間、和子に片思いのまま……。
◎あかりが教科書の整理をしている時に出てくる掛け時計。
これは映画用に作った一点モノで美術さん渾身の作。
カモメの鳴き声が時刻を知らせていましたが、このカモメが……タイムリープシーンのカモメと繋がると!
しかも同じ鳴き声で!
◎アルバムの写真
これは仲さんの赤ちゃんの頃の写真を実家から取り寄せてそのまま使用。
和子があかりを抱いている写真は、仲さんのお母さんの顔の部分だけを安田成美と入れ換えて合成。
◎ゴテツこと長谷川政道の役名
ゴジこと長谷川和彦監督のイメージから借りた。
(74年は、ゴジ監督がちょうど脚光を浴び始めた時代ですね)
◎タイムリープシーン
薬を飲んだ後、グスッと笑うあかり。
この笑いは、脚本にはなかったのを仲さんが「こういう時ってきっと笑いますよね?」とのアイディアを出し、急遽入れたらしい。
◎涼太のイメージ
涼太の髪型や服装は70年代の中村雅俊がモデル。(『俺たちの旅』?)
ちなみに涼太は『2001年宇宙の旅』を崇拝しているんだとか。
◎駄菓子屋
撮影時はあの前は空地だった!
今は家が建っています。
実際に行った時、あんな狭いところでよく撮ったな~子供の野球シーンは合成?……かと思っていたら、広い空地だったのか!
◎あかりの赤いマフラー
あれは和子からの誕生日&合格祝いプレゼントだった!
ボートシーンでそのくだりを撮影したもののカットしてしまったらしい。
◎ゴテツ登場シーン
前張りなしで本当に素っ裸だった!
仲さんのドギマギリアクションはマジ!?
◎純喫茶
和子はソーダ水が大好きで、あかりは和子を真似てソーダ水を注文した……という設定。
そしてソーダ水の中に入っていたチェリー。
これが冒頭の研究シーンでのチェリーと繋がっている!
◎雨の音羽橋駅
雨の中、あかりの帰りを待つ涼太。
このシチュエーションのモチーフは『男はつらいよ・寅次郎相合い傘』だった!
確かに……雨降る中、寅さんがリリーを柴又駅に迎えに来るシーンと似ている。
◎涼太が食べていたモノ
お互いの家族の話をしながらあかりはポッキーとピーナッツをポリポリ。
では涼太が食べていたのは?
あれは秋田名産のお菓子らしい。(実家から送られてきた設定?)
◎深町探しに関する作戦
あかりが紙に書いた深町探しに関する作戦。
あれは仲さん直筆。
しかも全て仲さんが考えて書いたもの!
(ストップしてチェックしてみてください。かなり笑えます)
◎伝説の‘足芝居’
コタツで互い違いに寝ながら会話をするあかりと涼太。
「足で芝居をしてください」と言われた仲さん、それを見事に表現!
(ビミョーな足の動きに、あかりの涼太に対する切ない思いが集約されている名場面でした)
◎引っ越し
涼太がゴテツにカメラを借りに来るシーン。
あの時のゴテツは、アメリカ留学のために引っ越しの準備をしていた!
(そう言われてみるとそんな感じ)
◎長回し
あかりと涼太、二人だけのシーンはワンカット、長回しを多用。
◎シルエット
深町があかりに未来人だと告白するシーンはシルエットで撮られていますが、このモチーフは『ウルトラセブン』の最終回!
ダンがアンヌに「自分はウルトラセブンだ」と告白するシーンをイメージ。
◎あかりの笑い
深町の本名を聞いたあかりが「ソゴル?」とちょっと笑うところ。
これは仲さんのアドリブ。
◎あかりの涙
「帰ってきたら……もうわたしはいないんだ」
この後のあかりの溢れ出る涙……予想を遥かに超えた仲さんの演技にスタッフ全員が思わずビックリしたらしい。
演技であれだけ大粒の涙を流せる仲さん……もう凄いとしか言いようがない!(有り得ないくらいの涙の零し方だったから、もしかして目薬?……とも思っていたけど、正真正銘本物の涙!)
◎地下街
あかりと吾朗が偶然、会う地下街は渋谷の設定。
(新宿なのかと思ってた)
てことは……あかりは、渋谷から新宿まで走った?!
◎監督こだわりのシーン
2010年に戻ってきたあかりが水を一気に飲み干すシーン。
長すぎるという意見も出たらしいのですが、谷口監督は飲み干すところまでどうしても入れたいとこだわったんだとか。
走りに走り……「涼太!」と叫び、泣き続けたあかり。
目覚めた時、記憶は消えていても身体は覚えていて喉がカラカラに……というところを見事に表現したシーンでした!
※上映時間の関係上、カットせざるを得なかったシーンがかなりあるという話も。
『時をかける少女・ディレクターズカット完全版』が観てみたい!!
是非、お願いします……スタイルジャムさん!