~松田優作・創作ノート『つねひごろのことのぶるうす』より~
信じてもらっていないという事は、ハナッから自分が信じていなかったって事かなあ。
おたがいの劣等意識が対抗意識へとつづく時、すでに、それまでの見せかけの親しさみたいな、浅くて、だらだらやたらと長いつながりは、ほとんど切れっちまうんだなあ。
いいかげんだなと自分にも相手にも感じてしまう時の、なぜかみじめったらしさみたいなふわふわしたものってのは、たべてもたべどころのない綿菓子みたいなものかもしれないなあ。
何となくただ、甘さみたいな余韻がしり切れとんぼのように、のこるだけだね。
割り切っちゃあいけないんだよ、そんな時でも。
じゃあ、どうするって開き直ってもなおいけない。
これはボクが敬愛してやまない松田優作が、生前書き残したもので、遺品の中から見つかったノートに記されていたそうだ。
優作の抱えていた苦悩、或いは心象風景がリアルに伝わってくるような文章だ。