This Time For Real/Betty Wright | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Betty Wrightは、いつ聴いても高揚感や爽快感を与えてくれるから好きだ。Betty Wrightといえば、どうしてもパクリ芸で知られる日本の二人組の片割れが例によってNo Creditで頂戴してしまった”Clean Up Woman”という大ヒット曲が思い浮かんでしまう人も多いことだろう。Bettyは決して一発屋ではないし、彼女が17歳の時にリリースした同曲は確かに、R&B/Soul SingerのBetty Wrightを代表する名曲であることは認めるにしても、もっと他にも沢山の名作があり、多くの人に知ってほしいと思うのである。それくらい、Bettyの音楽はいつの時代も光り輝いている。同曲がリリースされた70年代前半のBettyも素晴らしいけれど、続くEpic時代も良い作品があるし、80年代以降自らのLabel Ms.B Recordsを設立してからのBettyのアルバムなんか聴いていると、この時期こそがBettyが最も脂の乗り切ったSingerとしての絶頂期なのではと思ってしまうほどだ。Florida州Miamiに7人兄弟の末っ子として生まれたBettyは、2歳の時に兄弟たちとGospel Groupを結成していたというから驚きだ。Group解散後も地元のTalent Showで歌い続けたBettyだが、GospelからR&BへとStyleは変わっても、そのSoulfulな歌声は、その才能を見いだされるのに時間がかからなかった。66年12歳の時にDeep City Recordsと契約してSingleをリリースして地元Miamiで評判を呼んだ。そして67年には設立されたばかりのがAlston Recordsと契約を結び、上述の71年の大ヒット曲が誕生する。本作はジャケットからも感じとれるけれど少女歌手から成長したBettyの魅力にあふれている。大人の女性としての深みのある包容力に満ちた歌いっぷりが冴えわたっている。なにより、これまでのClarence Reidらの曲に加えてBetty本人の手による魅力的な自作曲を提供してSongwriterとしての才能が発揮されてきているのは特筆すべきである。

 

 『This Time For Real』はBetty WrightAlston Recordsから77年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は小気味よいギターStrings、そしてHorn隊で始まる自作曲"That Man Of Mine"。もうBett Wrightの鬼のパターンともいえるこのイントロから惹きこまれ、高揚感を覚えずにはいられない

続いても自作の"Wonderful Baby"キレの良いリズム隊にのってSoulfulで凛としたBettyのVocalがたまらない。

Clarence Reid作の"If You Abuse My Love (You'll Lose My Love)"は大人の女性SingerとしてのBettyの魅力を感じる。憂いを湛えながらSoulfulに歌い上げる表現力に富んだVocalに感服。

Gospelの香り漂うWillie Clarke作のBallad"IfYou Can't See For Lookin'"でのBettyの深みのある包容力に満ちた歌いっぷりは、これまでになかったものだ。Falsettoもまじえながら堂々としたLady Soulを体現している。

B面も大人のBalladから始まる"A Sometime Kind Of Thing"。寄り添うStringsとエレピもRomanticで、甘く切なく歌い上げるBettyを盛り立てている。

Bettyが共作した"Brick Grits"もSweetでMellowなナンバーでBettyの大人の女性を感じさせる色っぽいVocalにメロメロ。

イントロのギターのRiffウネるベース切れ込むHorn隊が最高にご機嫌な"Sweet"。こういうFunkでも時に囁くように歌ったりShoutしたりBettyのSoulfulなVocalは絶品。文句なし。アルバムで一番好きなナンバー。この曲もBettyの共作曲。

イントロのHorn隊がカッコイイClarence Reid作のFunk Number"Give Me More, More, More"。

アルバム最後をシメるのはBettyの自作曲"Room At The Top"。このめくるめくような高揚感、コレっすなあ。

(Hit-C Fiore)