Brandyeというと、勘違いしてしまいそうになるけれど、90年代に活躍したAfrican-American R&B Singer、SomgwriterはBrandy（Brandy Rayana Norwood）である。本日ご紹介するBrandyeは主に70年代にBacking Vocalで活躍した女性3人組である。Brandyeといえば、なんといってもMillie Jackson姐御の70年代半ば～後半の作品には欠かせないChorus隊であった。76年作『Lovingly Yours』、77年作『Feelin' Bitchy』、78年の『Get It Out'cha System』、79年作『A Moment's Pleasure』やLive Album『Live And Uncensored』といったMillieの全盛期の南部録音のアルバムは勿論、Albert Kingの77年作『King Albert』やDennis Coffeyの“Our Love Goes On Forever”、同年のJames Brownの“It's Too Funky In Here”といった作品でのBrandyeの参加は好き嫌いは別にして、SoulfulなChorusでこの時代らしい雰囲気を存分に醸し出していた。 BrandyeはFunkadelicに参加していたDonna Davis、Tony Orlando率いるVocal/Pop Group のDawn出身のPam Vincent、そしてCynthia Douglas,という実力派3人組であった。本日ご紹介するのは彼女たちがMiamiの T.K. Records傘下のKayvetteに唯一残したアルバム。ProduceはMiamiの顔役Brad Shapiroで、彼女たちは、上述のMillie JacksonなどShapiro絡みの仕事を結構こなしている。そして、なんといってもHornやStringsのArrangementを担当しているのがMarvin GayeやThe Temptations、The Four Tops、The Jackson 5、Stevie WonderといったMotown勢を手掛けてきたMaestro David Van DePitteというのがキモである。また、NashvileでCountry系を手掛けるSheldon KurlandもＳｔｒｉｎｇｓとHornのArrangementを担当しているのが興味深い。さらに鍵盤がBarry Beckett、Randy McCormick,、ベースにDavid Hood、ドラムスのRoger HawkinsといったMuscle Shoals Rhythm Sectionの面々にPercussionにTom Roady、ギターにSteppenwolfで後にFunky Communication Committeeを結成する名手Larry Byromが参加している。
『Crossover To Brandye』はBrandyeが78年にKayvetteからリリースしたアルバム。
アルバム1発目は“Crossover Acappella”。さすが実力派、いきなりの堂々たるA Cappellaで実力のほどを披露。短すぎるけれど。
“You Accuse Me”も見事なA Cappellaで始まり、じっくり聴かせる雰囲気タップリの必殺のBallad。Stringsやバックの演奏もお見事。後半のFunkyな展開もイイ感じ。泣きのギターが炸裂したりして面白い。 Flying Lotusの祖母Marilyn McLeodとPam SawyerというMotownでお馴染みの名コンビ作。
Funkyなギターのカッティングで始まる“I Love The Way You Love”は妖しいFunky Discotique。この曲も後半にSlide Guitarが炸裂したりして面白い。英国出身のSongwriter Nigel Martinez作。
“How Long”もイントロからギターが唸るもFunk。躍動感に満ち溢れたリズム隊にJazzyに弾きまくるギターも良し。Grey And Hanks作。
“Mr. Mystery”は浮遊感のあるSpacy Discotique。VocalもChorusもエロいっすなあ。PercussionとClavinett、Wah Guittarがイイ味を出している。
“Rhythm Of Love”は優美なStringsが舞うMellowなDiscotique。途中で挟まれるFunkyな展開が、これまたイイ感じ。
“Curiosity”はThe MarvelettesやThe Dramatics、The Dellsらへの楽曲提供で知られるTony Hester作。ウネるベースがイイ感じ。
“One Woman's Trash”は南部感覚に満ちたイナタいBallad。
最後をシメるのはチョイとbr棚Ballad“I Can Weigh My Love”。
（Hit-C Fiore）