Jards Macalé/Jards Macalé | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Jards Macalé4枚組Boxが出ると聞いた時は、このRio de Janeiro生まれの一筋縄ではいかない鬼才の70年代の未発表音源も含まれていることもあって躊躇なく手に入れることにしたのであった。Jards Macaléとの出会いは77年作『Contrastes』であった。Wagner TisoやRobertinho Silva、Luiz AlvesといったMinas一派にPaulo MouraやNeco、Laércio De Freitasといった豪華な演奏陣が参加した洗練されてはいるがAbstractExperimentalな側面も顔を出し、Macaléの多彩な音楽性が発揮されたアルバムであった。2013年にJards Macalé生誕70周年ということで、デビュー・アルバム前の70年にリリースされた4曲入りの7"Só Morto』に10曲の未発表音源が追加されてリリースされた時には驚かされた。そこには、Psychedelic妖しく蠢くMacaléの無骨音楽混沌として提示されていたのだ。自らのバンドGrupo Somaを率いてPrimitiveBluesyなMacaléの心の叫びが無造作に投げ出された音楽は『Contrastes』の完成度の高い心地良くて一風変わった音楽とは確かにかけ離れたものではされたものではあった。しかし、その激動の70年代初頭らしい荒削りRock魂に満ちたMacaléの佇まいには心を動かされずにはいられない。その混沌としたエネルギーに満ちた音楽が徹底的に無駄をそぎ落とした完成度を高めた作品として仕上げられた本作はデビュー・アルバムにして名盤である。Caetano VelosoやGal Costa、 Gilberto Gil, Torquato Neto, Os Mutantes e Tom ZéらのTropicáliaに共鳴した男だけのことはある、革新的男らしく独自の世界を持った音楽はたまらなく魅力的だ。

 

 『Jards Macalé』はJards Macalé72年にリリースしたデビュー・アルバム。Macaléは、ベースとギターを担当したLanny GordinとドラムのTutty Moreno3人だけの躍動感に満ちたImaginativeな演奏独自の世界を描き出す。Maria BethâniaやJoyce、Nara Leãoに楽曲を提供してきたMacaléは作曲家としても才能に満ちたMusicianではあるが、ここではSimpleでJam Session風なTrioの演奏Magicalな旋律を見事に浮かび上げることに成功している。Tropicáliaにおいて重要な役割を果たしたLanny GordinJoyceのPartnerとなる名手Tutty Moreno変幻自在の素晴らしいリズム隊に感服する。

アルバム1曲目“Farinha Do Desprez”はFunkyかつJazzyなイントロのギターが激カッコイイ。切れ味抜群のリズム隊にのってMacaléがMagicalな旋律を歌い出すと、その魅力にあっという間に弾きこまれてしまう。

Revendo Amigos”もGordinの心地良くうねるベースが印象的。Macaléらしい脱力した飄々としたVocalもイイ感じ。

Bluesyな“Mal Secreto”は気怠く歌うMacaléのVocalが素晴らしい。

優美で夢見心地のイントロから惹きこまれる“78 Rotações”はMacaléのMellowで洗練された音楽性が発揮されている。

弾き語りの“Movimento Dos Barcos”はMacaléの美しく哀感に満ちた旋律を歌い上げるVocalも情感タップリ

Meu Amor Me Agarra E Geme E Treme E Chora E Mata”も切ない哀愁の旋律がグッとくる。

Let's Play That”はTropicáliaの重要人物Torquato Netoが歌詞を書いた激カッコイイJazz Rock

“Farrapo Humano / A Morte”はLuiz Melodiaの“Farrapo Humano”とGilberto Gilの“A Morte”のMedley

アルバム最後をシメるのは弾き語りであっという間に終わる哀愁の“Hotel Das Estrelas”。

Let's Play That/Jards Macalé

(Hit-C Fiore)