消費者金融で働く新米社員・諸星雄太が延滞者を訪ねると、男は行方不明になっていた。
家には男の妻と娘が残されていたが、返済は待ってほしいと言うばかりだ。
取り立てに通ううち、雄太は奇妙な色気を滲ませるその人妻に搦めとられてゆく。
やがて周囲の人間が、一人、また一人と変死を遂げてゆき…。
衝撃の結末に凍りつく、一気読み必至の傑作ホラーサスペンス!
解説の春日武彦氏(精神科医)が、貴志祐介の「黒い家」を比較として挙げているが、
「『黒い家』とこの凡作を並べて語るなよ。おこがましいわ」と言いたい。
「黒い家」が描くのは「人間の怖さ」である。
それも、オカルティックな怖さではない、現実世界という地平にしっかりと足を着けた上で描く「サイコパスの恐怖」である。
貴志祐介はその「サイコパス」が住まう家を「黒い家」として表現した。
特段、何か変わったことがあるわけでもない、にもかかわらず見るものをぞっとさせるような恐怖を与える「家」を見事に描写していた。
一方、本作は「家に顔がある」と書き出し、タイトルも「亡者の家」とされているにもかかわらず、その「家」の「顔」などまったく見えてこない。
そこに住まう債務者たちにも何の存在感もなく、ホラー小説どころか、まるで「闇金ウシジマくん」の出来損ないのようなノワール小説でしかない。
かと思えば、ラストは唐突に、何の伏線も説得力もないオカルティックなオチで物語がぶった切られる。バカにしてんのかこれ。
オビの「衝撃の結末に、あなたはきっと凍りつく」はある意味嘘じゃない。
確かに凍りつくわ。
寒くてね。




