「ストーカーとの700日戦争」 内澤旬子 文藝春秋 ★★★ | 水底の本棚

水底の本棚

しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

ネットで知り合った男性との交際から8カ月―ありふれた別れ話から、恋人はストーカーに豹変した。誰にでも起こり得る、SNS時代のストーカー犯罪の実体験がここに。

 

 

すげえ、どこにでもあるハナシ。

 

日本のどこかで今日も間違いなく、起こっているであろうありふれたハナシ。

 

しかも、別段、ストーカ-に何かをされたわけじゃないし。

 

別れる時にちょっとごねて、しつこくメールしちゃうなんていうのは本当によくある話だし。

 

相手がストーカー化するようなダメ人間であるならば別れ方を考えなきゃいけないのに、下手過ぎる。恋愛初心者か。

 

掲示板にあることないこと書かれたのはさすがに可哀想だけれども、それは相手の行動がエスカレートした果てのことで、初手か二手目くらいまでで修正できていればそこまでいくことも無かったのに。

 

しつっこいくらいに怖い怖い言ってるし折り畳みナイフまで装備して対策しているけど、アンタ、実際は何もされていないよね。暴力の「ぼ」の字も無かったよね?

 

 

……と、読んでいて思った。

 

僕がそう思うこと自体がこの「ストーカー問題」の本質であるような気がする。

 

その行為を「ストーキング」であるかどうかを認定するのはストーキングする側の人間ではなく、被害者であるべきだ。

 

ヒドイことをされたと思うか、そんなのたいしたことないじゃんと思うかは、周りではなく、被害者が決めること。被害者が怖いと思ったら、それは怖いのだ。

 

それを「たいしたことないじゃん」と思ってしまったらストーカー被害はなくならない。

 

それを強く思った。