「オロロ畑でつかまえて」 荻原浩 集英社 ★★★☆ | 水底の本棚

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人口わずか三百人。主な産物はカンピョウ、ヘラチョンペ、オロロ豆。超過疎化にあえぐ日本の秘境・大牛郡牛穴村が、村の起死回生を賭けて立ち上がった! ところが手を組んだ相手は倒産寸前のプロダクション、ユニバーサル広告社。この最弱タッグによる、やぶれかぶれの村おこし大作戦が今始まる。


オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)


作者は元コピーライター。


本作の主人公たちが活躍する舞台は広告代理店だから、


その仕事内容は相通ずるところがあるのだろう。


人口300人の山奥のど田舎の村おこしを手伝うことになったユニバーサル広告社。


業界でも弱小の部類に入る彼らが出したアイディアは、村の湖に恐竜を出現させるという奇策。



いやあ、現実にもありそうですよね、こういう話。


さすがにここまで犯罪チックな手口は使えないでしょうが、


過剰広告なんていうのは、村おこしという大義の前には小事なのでしょう。


村人たちの奇想天外なキャラクターに苦笑しつつ読み進めると、


ストーリーはあちらこちらに迷走。



それをラストできっちりと収束させる意外性のあるオチがついて大団円ということになるのですが、


分量も適当だし、キャラクターもしっかりと描けていてマル。


ドタバタ劇に終始した物語というのもリラックスして読めて、たまには悪くないなと思いました。