慎重にご賞味を。
ネコvs.ネコvs.飼い主の推理戦は、前代未聞の結末へ。
「極上のキャットフードを作りたい」
化けネコ・プルートは人肉ミンチの生産に乗り出した。
コテージに見せかけた人間カンヅメ工場に誘(おび)き寄せられた四人の若者。
が、その中に人間に化けた黒ネコ・ウィリーが混ざっていた。
化けネコどうしの殺傷はご法度。一体どいつがネコなんだ? 食われたくないなら、頭を絞れ!
なんだろうなあ……こういう設定を思いつくアタマってのはどういうものなんだろう?
作者に訊いてみたいなあ。
ルールが決められたデスゲームは嫌いじゃないです。
いやむしろ積極的に好き。
このゲームのルールは、猫の世界で設定された法律で、ここで適用されるのはみっつ。
ひとつ。猫は罪もない猫を殺してはいけない。
ふたつ。猫が人間を殺すことは何の問題もない。
みっつ。猫が野良ではなく飼い猫の場合、その飼い主を殺してはいけない。
このルールに基づいて、化け猫チームVS人間3人+化け猫のバトルが展開される。
化け猫チームは、相手チームの、人間に化けている化け猫(ややこしいな)を殺さないように、人間だけを殺したい。
つまり、猫が化けている人間は誰かを探し当てたい。
人間チームに混じっている化け猫としては、仲間の人間を殺されないように、島を脱出したいのだけれど、あからさまに脱出を促すと、「あいつが化け猫か?」とバレてしまう。
「暴こう」という意思と「守ろう」という意思がぶつかり合う頭脳戦が面白い。
人間である名探偵、三途川が途中から加わるのだがなぜか化け猫チームに参戦。いや待てよ、お前そっちの味方かよ。
読み手には誰が化け猫ウィリーが化けている人間かはわかっているので、
化け猫チームがあれこれ仕掛けてウィリーをあぶりだそうとする罠と、それをウィリーがどう回避していくかが見どころ。
倒叙物のフーダニットといったところか。
「終幕」の会話は初めは訳がわからずに二度読み。
そこでウィリーが彼を連れてきたとわかって一旦はスッキリするものの、
最後にどうやってウィリーが彼を連れて来たのか、物理的に無理だろうという気がするところが、ちょっともやもや。