「人形館の殺人」 綾辻行人 講談社 ★★★★ | 水底の本棚

水底の本棚

しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

亡父が残した京都の「人形館」に飛龍想一が移り住んだその時から、驚倒のドラマが開始した。

館には父の遺産というべき妖しい人形たちが陣取り、近所では通り魔殺人が続発する。

やがて想一自身にも姿なき殺人者がしのび寄る。

名探偵島田潔と謎の建築家中村青司との組合せが生む館シリーズ最大の戦慄。


人形館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)


※ねたばらしありですので、ご注意を。







この殺人の動機はある意味、ミッシングリンクのようなもので面白い。



「囁きシリーズ」でのパターンを踏襲している感じで、


過去の因果が殺人の動機になっており、それが小出しに出されていくというものだ。


多重人格というのは本来、アンフェアなものになってしまいがちだが、


それを逆手に取るような形でギリギリうまく利用している。


本物の「島田潔」が登場し、


被害者=犯人=探偵役という図式が明らかになるシーンは少なからず衝撃的なものだ。