「本棚探偵最後の挨拶」 喜国雅彦 双葉社 ★★★☆ | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

「蒐めた本は墓場まで持っていけない! 」

ある日そのことに気づいた著者が、厳選に厳選を重ねトランク一つ分に本を詰めたり、遂に私家版「暗黒館の殺人」の製作に着手したり……。
本を愛してやまない本棚探偵シリーズ、待望の第4弾。


本棚探偵最後の挨拶




僕には古書の蒐集癖はないけれど、


心から本を愛する者の一人として、


書痴の生態をつぶさに知ることができるこのシリーズは、


もはやバイブルと呼んでもいいと思う。



本で部屋をひとつ埋め尽くし、


それでも置ききれない本は実家に送り込み、


家人と両親の両方から、


「床が抜ける」と責め続けられている身としては、


本書に掲載されている怪物たちの部屋の様子を写した写真は、


本当に心の拠り所になっている。



「見ろ! 世の中には上には上がいるんだ!」


と主張したところで、


家人には「よそはよそ。うちはうち」と一蹴されるだけなのだが。



そういえば、最初に「本棚探偵の冒険」を手に取ったときはまだ書店員ではなかったなあ。


四冊に渡る、長い長い本棚探偵の冒険も本作をもって終了。



長かった……けど、面白かった。本当に楽しませてもらった。



完結だからと言って、さびしいとはあまり思わない。


キクニさんが古書蒐集をやめるはずもなく(やめられるはずもなく)、


であれば、必ず面白おかしいエピソードは必然として溜まっていくわけで、


それをキクニさんが書かないわけもない。



そう遠くない将来、いつか必ず「本棚探偵の事件簿」で再会できる。


そう確信している。