「蒐めた本は墓場まで持っていけない! 」
ある日そのことに気づいた著者が、厳選に厳選を重ねトランク一つ分に本を詰めたり、遂に私家版「暗黒館の殺人」の製作に着手したり……。
本を愛してやまない本棚探偵シリーズ、待望の第4弾。
僕には古書の蒐集癖はないけれど、
心から本を愛する者の一人として、
書痴の生態をつぶさに知ることができるこのシリーズは、
もはやバイブルと呼んでもいいと思う。
本で部屋をひとつ埋め尽くし、
それでも置ききれない本は実家に送り込み、
家人と両親の両方から、
「床が抜ける」と責め続けられている身としては、
本書に掲載されている怪物たちの部屋の様子を写した写真は、
本当に心の拠り所になっている。
「見ろ! 世の中には上には上がいるんだ!」
と主張したところで、
家人には「よそはよそ。うちはうち」と一蹴されるだけなのだが。
そういえば、最初に「本棚探偵の冒険」を手に取ったときはまだ書店員ではなかったなあ。
四冊に渡る、長い長い本棚探偵の冒険も本作をもって終了。
長かった……けど、面白かった。本当に楽しませてもらった。
完結だからと言って、さびしいとはあまり思わない。
キクニさんが古書蒐集をやめるはずもなく(やめられるはずもなく)、
であれば、必ず面白おかしいエピソードは必然として溜まっていくわけで、
それをキクニさんが書かないわけもない。
そう遠くない将来、いつか必ず「本棚探偵の事件簿」で再会できる。
そう確信している。