紳士協定 | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

書籍には販売協定品というものがあります。
有名なところだと角川書店の電撃文庫なんかですね。


出版社の指定した日にちまで販売をしてはいけませんよ、という本のことですね。


発売日を統一することで不利益を被る書店をなくすための、いわば紳士協定です。

破ったからと言って具体的に罰則が決められているわけではないのですが、次から配本が少なくなるとか……そんな噂がまことしやかに流布しておりますな。


これがあるおかげで、村上春樹さんの「1Q84」やハリポタシリーズなどのように、発売前からベストセラーになることが確定的な書籍は、首都圏だろうが地方だろうがすべての書店で同日発売するわけです。


(逆に言えばそのせいで、「1Q84」を日付の変わる深夜0時にカウントダウントともに売り出すというような馬鹿騒ぎになるわけです。ボジョレーヌーボーか)


それはさておき。

ウチの場合、新刊はほとんどが発売日前日の午後に入荷してきます。

おかげで発売日の朝にはちゃんと新刊が並んでいるという状況がつくれるわけですね。

地方の書店なんかだと、そうもいかないところもあるらしく、それに関しては助かるなあと思うわけですが。


今月、講談社文庫の発売日は14日でした。
すなわち、ウチの書店では13日の午後に入荷するわけですね。


今月は伊坂幸太郎さんの「モダンタイムス」と五木寛之さんの「親鸞」が目玉。
特に、伊坂さんの文庫新刊は、昨年12月の「ゴールデンスランバー」(新潮社)以来なので楽しみにしていたお客さんも多いはず。

そういう本は店頭に並べるのも楽しいものです。





……が、しかし!!


まあ、前フリの段階で皆さんお気づきだと思うのですが。


講談社文庫って販売協定品なんだって!


知らんかったわ、そんなもん。


て、言うか、今まで毎月フツーに前日から店に出してたしな。


それを誰もツッコミもしなかったしな。


なのに、なぜか今回に限っては他店から「○○書店は協定品を前日に売ってる」という密告が出版社に入り。
出版社から取次を経由して、「今すぐ戻したまえ」という指令が。


でも先月だって、ウチは講談社文庫、前日から出してたぞ。

先月なんてミヤベさんの新刊があったんだぞ。
そっちは放置で、伊坂さんのときはツッコむのか?



……いいんだけどさ。別に。


たぶん、来月もうっかり前日に出しちゃうしな(笑)

わざとなら確信犯だけど、おそらく本当に忘れて出しちゃいそうなんだよな、ウチの店(笑)