塩の街を返してっ! | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

有川浩さんの「塩の街」が角川文庫で文庫落ちしました。


でも、この「塩の街」、二度目の文庫化なんですよ。


もともと本作は、第十回電撃ゲーム小説大賞大賞受賞作として、電撃文庫で発売されました。


にもかかわらず、その後出版された「空の中」「海の底」はフツーに角川書店から単行本で出たもんだから、いわゆる「陸海空自衛隊三部作」のうち、「陸」の「塩の街」だけが、角川で揃わないというキモチ悪い形に。


出版社もキモチ悪かったんでしょうねー。


その後、「塩の街」はスピンオフ短編を加えて、改めて単行本として角川書店から出版されました。


今回、文庫に落ちたのは、その単行本。


というわけで、この作品は、文庫→単行本→文庫という奇妙な流れで出版されることになったのです。

あんまり聞いたことないですよね、こんなパターン。



でもね。


「塩の街」の数奇な運命はこれだけに留まらなかったのです。


発売初日、文庫担当が必死に文庫新刊の平台を整え終わった頃、出版社から一枚のファックスが。




有川浩さんの「塩の街」は乱丁が発見されたため、即時返品願います。



荒れる文庫担当。


「ファックス見なかったことにして売っちゃうか」


いや待て。


気持はわかるが、お客様の迷惑も考えろ。


「だってどこが乱丁がわかんないんだもん。ウチにきた本は平気だったんだよきっと」


だから待てって。


せっかく平台作った後に、売れセンの商品を回収される悲しさはよくわかるが、たぶん泣きたいのはお前以上に角川サンだろう。

こっから全部刷り直しするんだぞ。


「それは自業自得だし。第一、もう何冊か売れちゃってるし」


だからダメだって。

キモチはわかるけど、ゴネてないでとっとと回収してきなさい。



…とりあえず早く新しい本送ってください。角川さん。


早くしないとお客様が待てません。


ちなみに僕は待てなかったので回収前に一冊買ってしまいました。

もし乱丁だったとしても、それはまあそれで何かの記念だしな。

(おいまて)