自動車整備 という仕事
私の生業-いっぷう変わった雇用創出事業については既に記しましたが、あまたある職業のなかでも、恒常的な求人ニーズが実感される職種がいくつか特定できそうです。
そのひとつが、自動車整備に関するものです。
求人依頼を頂くのは、国産車/輸入車問わず、ディーラーと呼ばれる事業者です。
自動車整備士とその上席のポストにあたるフロント/工場長に関する求人依頼は、このご時世にも関わらず、あちこちから頂きます。結論は、「手に職をつけると強い」という話ですが、私の興味とはほど遠かったこの業界を知るにつけ、単純にそれだけの話では終わらない裏事情にも明るくなりました。
自動車整備士は、通常この職業になるための専門学校を経て上記の事業者に就職する訳ですが、順調にキャリアアップしていけるのはごく少数です。フロント然り工場長然りのポストは、ディーラーにとってはアフターサービス対応の要のポストで、リピート顧客の囲い込み化を果たすうえでの営業的センスが不可欠になるのですが、整備士を志す若い人たちは、そこに必要な社交性や接遇スキルなどを備えていないタイプのほうが圧倒的に多いのです。
では、そうした人たちは一生自動車整備士のままで...という訳ではなく、一定の年齢層-30前後くらいに達すると、「営業への配置換え」を打診され、それがムリなら中途退職に追い込まれるケースが実に多いようです。丁度、人材派遣業界で、オフィスワーク系で働く女性スタッフの年齢に「賞味期限」があるのと似ています。
自動車整備士として求職依頼をしてくる人たちは、共通してこの悲哀を味わっておられます。
整備士/フロントとして再出発を図りたい求職者と、「拾う神」との橋渡しは長年努めてまいりましたが、前述した「使い捨て」の業界慣習化が、とりわけ国内最大手某社に顕著なことに対し、やりきれない思いがします。