さあ、ヒコーキの扉が閉じられ出発です。

 

ここから なーんかおかしな事が続きます。

後から思うと「嫌な予感」ってこれの事だったのですね。

 

普段ならヒコーキの扉が閉じられると程なくプッシュバックが始まります。

しかし、NH78便はいっこうに動こうとしません。

 

窓の外は深々と雪が降っている。というより吹雪になってきています。

窓ガラスは雪が張り付きどんどん視界が悪くなっています。

 

<ごんごん2016の心の声>

「やっばいなぁ、せっかく翼の雪を落としたのに また積もってしまうじゃん」

「でも、新千歳空港は軍人さんが管制を担当している空港だから除雪作業との兼ね合いで滑走路への侵入許可すら出ないのだろうなぁ」

「ま、みんな頑張ってのことだし、仕方がないことだろうなぁ」

「それにしても、このまま20分間とかこのままだと燃料が足りなくなり、給油→翼の雪落としの作業で30分コースだなぁ。」

 

ここはイライラしても好転しないので、空席だった隣の席の毛布を拝借し、膝下・膝上から腹部を覆う「2枚体制」で体温低下と体力消耗を防ぎつつ、目をつぶって「寝たふり」をしていました。

 

約10分後、ようやくヒコーキがプッシュバックを開始。このころには窓に雪がたくさん張り付いて外の景色を見るのは容易ではなくなっていました。

雪のためなのか、乗客の人数が多いのか、プッシュバックのスピードもいつもよりかなり遅めのスピードです。本当にカメのような遅さでした。

 

程なくプッシュバック完了、トーイングカーの切り離しを終えて自力での走行を開始。

さらに遅いスピードに

「おーい、大丈夫っかーい」

と言いたくなるほどでした。

今考えると、誘導路は雪が積もり圧雪状態。アスファルトより格段にタイヤが転がりにくいコンディションだったからなのでしょう。

 

誘導路をゆーっくり、ゆーっくり進んでいくとピタリとヒコーキは停止してしまいました。

1分ほどして機内アナウンスが。。。

「当機前方の滑走路を除雪のための車列を通り過ぎるのを待つために少しの間停止します」

との説明。

 

「あー、管制官の軍人さん。滑走路を1本使っている間にもう1本で飛ばすを交互にする作戦で、除雪優先の作戦をとっているけど、機体の雪のことを考慮してくれていないなぁ」

と心の声でボヤく ごんごん2016。

 

※新千歳空港の滑走路は2本の滑走路が平行に位置しています。通常は離着陸に各1本を割り当てるのですが、除雪作業が必要なほどの雪の場合、1本のみで離着陸の運用をして、その間に除雪チームがもう1本の滑走路の除雪作業を行います。

 

待つこと約10分。ようやくヒコーキが再び動き出す。

ノロノロと。ノロノロと。

そして、離着陸用の滑走路についたところで、今度は到着機があるために待ちぼうけ。

この間、10分ほど。

窓から3機ヒコーキの着陸が見えてから3分くらい経過してから、機内アナウンスが。。。

 

「当機は安全確認のために、翼の上の雪が安全に支障がない程度か確認をするために、機長が客室へお邪魔して目視点検をさせていただきます」

とのアナウンスが。

滅多に聞かない内容のアナウンスに客室全体に

「大丈夫なのぉ~?」

「飛べないかもしれないの~?」

の雰囲気が。

 

「ん?翼の雪を目視点検???」

「おいらの横の3枚の窓はすべて雪がべっとり張り付いていて翼をよく見ることができないし、明暗差があるから、真っ暗な夜8時半に外の翼の雪の度合いを見るなんて、難しいんじゃないかい??」

と ごんごん2016的には機長が行おうとしている行為が、B787-9のマニュアルには記載されているけど、実際に今のシチュエーションでは「無理」な行為に思えたのでした。

 

「でも、安全判断はすべてANA側にあるのだから、心配しても、怒鳴っても好転しないなぁ。非常事態に備えて、体力の消耗を最小限にしておこう。。。」

と毛布2枚作戦でうたた寝。

 

それから3分後、小柄で真剣な表情の機長が客室へ登場。

不思議なもんですねー。機長が目の前に来ると、乗客って尊敬の眼差しに変わるんですねー。

 

機長が翼に近い窓から、外の翼の雪の状態を確認。

って、窓に雪がべーっとりくっついているんだから、安全確認レベルの目視点検なんぞできるわけがないのです。

 

おそらく

「やっべー。

 夜だったのを忘れてたよ。思ったよりくらいじゃん。

 あちゃー。機体上部の衝突防止灯でなんとか見えると思ったけど、全く光が届いてないじゃん。

 っつーか、窓に雪がべっとりで外の様子がほとんどわからない。」

といったところでしょう。

 

けどね。機長の凄いなぁ。と思ったのは、操縦席へ戻る時の表情、雰囲気が来た時の雰囲気と全く変わらず、乗客に悟られなかったこと。

ごんごん2016だったらバレバレの表情、雰囲気で戻ったと思うなぁ。

 

そして機内へ再び沈黙の時間へ。

プレミアムシートはお仕事の人達ばかりなので、

「東京へ行けるのか?」

という不安の雰囲気を強く感じたのですが、ごんごん2016の場合、最悪の事態に備えて体力温存が大事。という「生存モード」へ移行しているので、寝たふりをしながらこれからの体力温存プランを考えることに。

 

「くいもの、どれだけ持っていたかな?」

「現金はどれだけ持っていたかな?」

「今日の便で空席のある便はあるのかなぁ?」

「空港周辺のホテル、宿泊可能な施設、交通手段、タクシー会社を調べよう」

「翌日の飛行機の予約状況を調べよう」

などと、他の乗客 約300名より早く安心できる状態へなれるように、脳内作戦会議が始まりました。。。

 

※このブログは事実を元にしていますが、一部フィクションが含まれています