岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線のトンネル工事現場付近で井戸の水位が低下した問題を巡り、公表前の住民説明会で、JR東海の担当者が工事を止めて調査できないかを問われ「止めても好転しないと考える」と発言していたことが31日、県への情報公開請求で開示された文書で判明した。問題公表後、JRは工事を中断した。(共同通信)

 

岐阜県ではリニア中央新幹線工事におけるトラブルが多数発生している。

 

中津川市 瀬戸トンネル崩落事故

 

多治見市 トンネル落石事故

 

瑞浪市 地下水位低下事故

 

岐阜県はリニア新幹線建設に前のめりな自民党リニア特別委員会の古屋委員長の地元でもあることから、古屋議員に忖度したJR東海の焦りが裏目に出ているものと思われる。

 

そんな中、リニア新幹線ではないが鹿児島県の北薩トンネルで湧水に伴う土砂が流出するという事故が発生した。

同事故は地質の変わる地点で発生しているが、トンネルの土被りはリニア中央新幹線南アルプストンネルに比べて低いことから、水圧がより掛かる南アルプストンネルでも同様な事故が発生する可能性は否定できない。

 

北薩トンネル土砂流出事故

 

 

☆リニア中央新幹線静岡工区 では

 

国交省のホームページに、モニタリング会議の高速長尺先進ボーリングに関する資料が掲載されている。

001748312.pdf (mlit.go.jp)

 

岐阜県の事象を踏まえた今後の高速長尺先進ボーリングに関する対応として以下を実施】 

① 県境に近い区間でボーリング調査を行っている間、常時計測を行っている田代観測井において、現地に出向く回数を1カ月に1回から、2週間に1回に頻度を増やし、地下水位のデータを 確認します。

 ② 田代観測井で水位低下の傾向が確認された場合には、速やかに静岡県に報告するとともにスリバチ沢の流量を確認します。この場合やボーリング湧水量についてこれまでと異なる傾向 を示す場合には、スリバチ沢の流量、田代観測井の地下水位の確認頻度を1週間に1回に増加させます。なお、ボーリング湧水量の傾向の判断に当たっては、静岡県や専門部会委員のご 意見もお聞きしていきます。

 ③ 水質や地下水位の変動傾向を併せて確認し、専門家を含む関係者に対応をご相談し、その結果を踏まえて対応します。また、降雨等も考慮のうえで地下水位の低下に伴うスリバチ沢の 流量の減少が確認される場合には、一旦ボーリング湧水を止めたうえで、ボーリング湧水と地表水との関連性を把握するために地下水の化学的な成分分析を実施します。なお、流量や地 下水位の確認は現地に出向いて実施していますが、通信を利用した確認についても今後検討していきます。

 ④ 県境に近い区間をボーリング調査している間は、ボーリング湧水量、水質は毎日、静岡県に報告します。スリバチ沢の流量、田代観測井の地下水位は確認次第、速やかに静岡県に報告 します。また、地下水位の低下やスリバチ沢の流量減少を確認した場合も速やかに静岡県に報告するとともに、専門家を含む関係者に相談します。

 

公開されている高速長尺先進ボーリング(通称:ボーリング調査)の管理フローによれば

湧水量が10mあたり40ℓ/秒以内なら続行・終了

(静岡県内の削孔完了後県境付近で閉塞)

湧水量が10mあたり40ℓ/秒以上なら慎重に削孔

(削孔速度を下げる・データ確認の頻度増加・地表からの流入確認・削孔中の事象報告・水質について確認)

湧水量が10mあたり50ℓ/秒以内なら削孔を継続

湧水量が10mあたり50ℓ/秒以上なら削孔を中断

⑤2日連続10mあたり50ℓ/秒以内なら削孔を再開

⑥2日連続10mあたり50ℓ/秒以内に戻らなければ終了

(バルブを閉めて湧水を止める)

⑦ ⑥の場合、先進坑の掘削位置を変更

・管理値を超えた地点の手前まで先進坑を掘削

・管理値を超えた地点以降はコアボーリング・薬液注入

・管理値を超えた地点以降で高速長尺先進ボーリングを実施

・先進坑掘削を再開し、県境まで掘削

 

☆アラカンおじさんのコメント

日吉トンネル(瑞浪市)の地下水位低下事故でのトンネル湧水量は20ℓ/秒とされている。

因みに、南アルプストンネル静岡工区では2000ℓ/秒のトンネル湧水が発生するという、実に日吉トンネルの100倍にあたる湧水量である。

 

時系列的にみれば、瑞浪市での地下水位低下事故をJR東海は全く想定していなかったことになる。

そんなことがJR東海の対応のまずさの要因になっている。

JR東海の現場はもとより、事故の起きた岐阜県や瑞浪市が危機感を持っていなかったとしても至極当然のことである。

 

難波静岡市長は日吉トンネルと南アルプストンネルでの事象を比較して実情が違うと強調した。

これは管理者の発言としてはピントがずれている。

瑞浪市での実情を検証し、南アルプストンネル工事でもこのようなことが発生する可能性があると参考にすべきである。

 

それはさておき、モニタリング会議の委員の現地視察時、徳永委員は毎秒50リットルの湧水が1週間程度継続した場合にボーリングを終了し、湧水を止めるとしたJRのリスク管理に触れ、「状況によっては止める判断を持っている事業者の進め方には一定の信頼性が示されている」と評価している。

 

果たして、そうであろうか・・・?

 

南アルプストンネルの高速長尺先進ボーリングによる湧水の管理値は 10mあたり50ℓ/秒 である。

岐阜県瑞浪市で地下水低下事故が発生した時のトンネル湧水は20ℓ/秒であるから、南アルプストンネルの高速長尺先進ボーリングの断面積に比べ、日吉トンネルの断面積は大きいことから、ボーリングの湧水50ℓ/秒をOKとすれば、先進坑や本坑ではボーリング削孔湧水の数百~数千倍のトンネル湧水が発生する計算になる。

この数値は 南アルプスの自然環境に大きな影響が出る と言わざるを得ない。

付け加えておけば、JR東海の示す管理値である10m当たりのトンネル湧水は、削孔口から出る湧水の1/3 ~ 1/4の値である。

従って、JR東海の本心はトンネル掘削を前提に、どのように公表すれば大井川流域住民を騙せるのかという醜い魂胆が隠されているとも言えるだろう・・・

 

難波静岡市長の見解によればボーリングで発生する湧水量は断面積等を考慮すれば 先進坑工事の0.18% だという。

これを、JR東海の 管理値50ℓ/秒 を当てはめれば、

50×3÷0.0018=8300ℓ/秒となり

実に、南アルプストンネルでは日吉トンネルの400倍以上のトンネル湧水が発生する ことになる。

従って、JR東海が示す 管理値50ℓ/秒 は大きすぎるという結論に辿り着く。 

 

国交省有識者会議の委員たちはこの辺を承知しているかどうかは定かではないが、静岡県や県民はこの絡繰りに騙されてはならない。

 

どうすれば大井川の水が減らないか?・・・ではなく、どうすればトンネルが掘削できるのか?・・・という議論に付き合う必要はない。

 

今朝(7/31)収穫したイチジクです。

甘みはありますがサイズは小さく、果実は乾燥気味で味もイマイチです。

今年の梅は不作でしたがイチジクの収穫も不安です。

 

静岡県中遠地域(天竜川~菊川)では7月16日未明の大雨以降雨は降っていません。

当日の1時間最大雨降雨量は 磐田市:77mm 掛川市:56.7mm 袋井市でも60mm(24時間降雨量123mm)だったが幸い降雨時間が短かったので大きな被害はありませんでした。

熱中症アラートが7月20日以降連続12日発令され、県内では2名の方が亡くなっています。

 

最近の最高気温は37度、一方湿度は50%を切っています。

別の言い方をすれば地面はカラカッラ、カチカチです。

こんなことが影響してか先日の袋井遠州の花火では、枯れ草が燃えて花火大会が中断するという前代未聞の事故も発生しました。

 

秋田、山形などの東北地方では連日の豪雨で大きな被害が出ているようですが、早く穏やかな天候に戻ってほしいです。

水不足によるコメなどの農作物への影響が心配です。

 

 

7月26日、難波静岡市長の定例記者会見が開催され、県と流域市町首長との意見交換会に関する質問に答えた。

 

 

☆市長記者会見での質問

・意見交換会を難波市長はどのようにみているか?

・意見交換会で鈴木知事のスピード感に懸念がでたが?

・川勝知事はスピード感がないという意見もあったが?

・市の申し入れに鈴木知事からの回答があったが?

・利水関係協議会に静岡市が加わる意向はあるか?

・意見交換会前に参加したいことを申し込んだか?

 

☆マスコミ報道

SBSテレビ

 

静岡第一テレビ

 

静岡朝日テレビ

 

テレビ静岡

 

静岡県と大井川流域市8市2町首長との意見交換会であるが実質的に大井川利水関係協議会のうち利水者を排除した形で実施された。

従って、説明会の目的があやふやになってしまった。

 

静岡工区着工の許可を判断をするものなのか、JR東海に対峙する内容を確認するためのものなのか・・・?

とどのつまり、法的な権限を持ち合わせているのは所在地である静岡市とJR東海と協議することができる静岡県である。

 

解りやすく言えば、工事着工を許可してよいかどうかの判断は静岡市を含め影響を受ける大井川流域で生活を営む事業者を含めた住人たちであり、それを県がまとめる。

彼らが意見を言えるのはJR東海や国ではなく静岡県である。

従って、県がどのような形で意見を徴収するのか・・・?

 

一般的には個別に実施するよりも、関係者が総会として一堂に集まって実施する方が判りやすいのだが・・・

 

マスコミも理解せず独自に報道するので混乱してしまった。

基本的役割をもう一度見直すべきである。