レディオヘッド、まとめて、アルバムをレビュー
Pablo Honey / RADIOHEAD

「Pablo Honey」は、レンタルしてリッピングして聴いていますね。
「Pablo Honey」がリリースされた1993年は、アメリカではグランジ人気が続いていて、英国では大した話題が無い状況だったんだよね。
デビュー・シングルの「Creep」(コーヒーに入れるクリープでは無い)は、1992年にリリースされて、世界的なヒットとなったけれど、当時のレディオヘッドは、英国よりもアメリカで人気があり、ピクシーズなど4ADのバンドに近い扱いだったんだよねぇ。
レディオヘッドは、オックスフォードの全寮制のエリート校で出会ったメンバーで結成されていて、同じオックスフォード出身のライドとは、歌詞に意味を込める必要性という意味で、スタンスが大きく違うんだよね。
そして、「Pablo Honey」の音楽性は、ソフトなメロディとトム・ヨークの内向的なヴォーカルを活かす為、ギターが控えめになっていて、トム・ヨークの歌詞を伝えよう、というスタンスで制作されているんだよね。
しかし、ハードな轟音ギターがスタンダードであった時代に於いては、サウンドが地味だったし、ダイナミズムの無い録音や抜けの悪いマスタリングと相俟って、このアルバムの一般的な評価は、あまり芳しくないんだよなぁ。
とは言え、「Creep」に関して言うなら、「Smells Like Teen Spirit」や「Loser」と並び称される90年代前半のロック・クラシックになっているんだよね。
「Pablo Honey」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「混沌とした事柄を解き明かそうとする」「なんだか世界はもうすぐ終わりそう」-(「YOU」)
-「ぼくたちは走り回って混乱している どっちを見渡しても混乱ばかり」-(「ANYONE CAN PLAY GUITAR」)
The Bends / RADIOHEAD

ベン図・・・、じゃなくて、「The Bends」ですね。(ベン図(オイラーの図)は、二つの集合が等しいか、交わるか、一方が他方に含まれるかなどの相互関係を表す図。)
「The Bends」は、以前、輸入盤を所持していたけれど、かなり気に入っていた為、国内版(ボーナストラック付)を新品で再購入した経緯があるんだよなぁ。
「The Bends」が発表された1995年、前年に巻き起こったブリット・ポップ・ムーブメントは、マンチェスターとロンドンの戦いで、オックスフォード出身のレディオヘッドは居場所が無かったんだよね。
只、「The Bends」は、ブリット・ポップを意識した音楽性で、前作と比べると、ギター・アレンジが強化されていて、クオリティの高いサウンドとして、仕上がっているんだよね。
アルバムのチャートとしては、全英4位で、シングル「HIGH AND DRY」は、全英17位で、ロングセラーとなってるんだよね。
まぁ、レディオヘッドが一般的に評価されるようになったのは、「The Bends」以降なんだろうね。
「The Bends」は、エモーショナルで、メロディアスで、ネガティブな言葉を持ったアルバムであり、当事者の視点では無く立体的な視点で、社会構造や心の動揺を表現しているんだよね。
「The Bends」のアルバム・タイトルが意味する処は、高山病、潜水病、などの事を指し、それまで置かれていた環境と全く別の環境に放り込まれた混乱した状態を示唆していて、それは、我々が生きる時代、そのものを指しているんだよね。
又、「my iron lung」のブリッジの部分では、「君が何かに対して恐れを感じるっていうのなら、怯えていたって構わないんだ!」といった言葉で、ネガティヴな場所から始めよう、と歌っているんだよね。
レディオヘッドは、底無しの絶望的な現状認識を付き付けた上で、それでも前に進もうとするメッセージを伝えているんだよね。
「The Bends」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「怖いんだ 中身が空っぽだったら? 本当の友達は誰だ? みんな潜水病なのか?」「CIAや戦車や海兵隊を繰り出して、奴らは俺を吹っ飛ばす」-(「The Bends」)
-「お前の考えはわかってる 奴らがお前に何をしたのかもね」「狂った心が発する狂った言葉 お前がとらわれているものを理解したいよ」-(「black star」)
-「あらゆることが起こっている いずれ無秩序が統制を生み そしてまた消えていくのさ」-(「street spirit」)
OK COMPUTER / RADIOHEAD

OK、コンピューターお婆ちゃん・・・、じゃなくて、OK、水戸コンピューター専門学校・・・、でもなくて、「OK COMPUTER」ですね。
まぁ、「OK COMPUTER」というアルバムは、90年代のロック・シーンを代表する名作であり、そして、ロック・ファンのマスト・アイテムでもあり、私も当然ながら、アルバムを所持していますね。
アルバムのチャートとしては、イギリスで初登場で1位を獲得し、アメリカでも最高21位まで上昇し、初めてグラミー賞を受賞しているんだよね。
「OK COMPUTER」は、バンドのセルフ・プロデュースを基本に、ナイジェル・ゴッドリッチとの共同作業で制作されていて、フェンダー・ローズやメロトロンからデジタル・サンプラーまで、新旧のテクノロジーが用いられているんだよね。
そして、サウンドは実験性に富んでいて、ドラム・ループなどのサンプリングや、室内樂風のモチーフ、トリップホップ的な音響など、従来のギター・ロックの感性から大幅に進化した、プログレシッヴなサウンドを完成させているんだよね。
主な曲目について解説していくと、「AIRBAG」は、安全という商品の裏側にある企業の倫理について歌っており、何かしら有益に見えて、実は巧妙に仕組まれた虚偽でしかない、社会を延命する様々な装置について歌われていますね。
「PARANOID ANDROID」は、SF小説からタイトルを取った、複雑な構成を持つナンバーで、ビートルズの「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」をヒントに、全く異なる3つのパートを1つの楽曲に組み合わせる事で出来上がった曲ですね。
「SUBTERRANEAN HOMESICK ALIEN」は、ボブ・ディランの名曲をパロディにしたもので、「EXIT MUSIC(For A Film)」は、映画「ロミオ&ジュリエット」のエンディング・テーマになっていますね。
「KARMA POLICE」は、追い詰められた深刻な状況をブラックなジョークで描いたリリックで、不思議なユーモア・センスを持ったタイトルになっていますね。
「NO SURPRISES」は、故郷の学生街オックスフォードに蔓延する事なかれ主義をモチーフにした曲で、自国の政府を担当する政党が自分自身を少しも代表していない事などを歌っていますね。
「LUCKY」は、元々は、ボスニアの戦災孤児を目的としたコンピレーション「HELP」への提供曲で、社会を円滑に機能させる為のシステムに取り込まれる事によって齎される心地良さと引き換えに、何かを失ってしまう瞬間について歌われていますね。
「OK COMPUTER」の田中宗一郎のライナー・ノーツの中で、最後の部分の文章を引用しておきますね。
-そして、機械のように生きる檻の中のブタにだけはなりたくないと宣言する本作「OK COMPUTER」は、「君になら出来るだろう」というサインだ。
もう一度、呟いてみる。「10代ほど愚かで、絶望的で、子供じみた時代はない」
「逃避など考えもせず、人前では涙を見せず、虚無も怒りも卒業して、弱者を嘲笑う能力を身に付けて」-いやだ。御免だね。絶対に御免だ。
俺達はブタになるのはいやだ。俺達は絶望の淵を、虚無の真只中を、ブルーにこんがらがったまま生きる。怖くない。
怖れるものは何もない。だって、我々の傍らには、いつだってレディオヘッドがいる。僕は何も怖くない。-
「OK COMPUTER」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「上空じゃ、エイリアンが手土産のホームビデオを撮影中だ 地上のイカれた生態を記録している」
「心を封じ込め ドリルで自分に穴を開け 秘密を守る為に生きている人間たち 誰もがピリピリしている」
「俺は星々を案内し、人生の意味を教えるんだ 奴らは俺を幽閉するだろう だが俺は大丈夫 ただ苛立っているだけだ」-(「SUBTERRANEAN HOMESICK ALIEN」)
-「カーマの警察、俺は全部差し出した それでも足りないらしい」「すべてを差し出して、まだ働いている」-(「KARMA POLICE」)
-「ゴミ溜めみたいに満杯の心 ゆっくりと心身を蝕む仕事 癒えることのない傷」「疲れ果て憂い顔のお前ら 政府を倒せ 奴らは俺たちの代弁者なんかじゃない」-(「NO SURPRISES」)
KID A / RADIOHEAD

キットAMラジオ・・・、じゃなくて、「KID A」ですね。(AM(振幅変調)とは、搬送波の振幅を信号に応じて変化させて通信する変調方式。)
「KID A」は、輸入盤を所持していますが、まぁ、レディオヘッドの最高傑作は、「OK COMPUTER」か「KID A」といった処でしょうなぁ。
アルバムのチャートとしては、英米で1位になり、グラミー賞の最優秀オルタナティブ・アルバム賞を受賞しているんだよね。
「KID A」は、シンセやラップトップを駆使したミニマルでエレクトロなポスト・ロック的サウンドで、エイフェックス・ツインやオウテカなどのWARP系のテクノ・アーティストの影響を受けている、との事ですね。
又、「The National Anthem」といった楽曲は、チャールス・ミンガスなどのジャズや、メシアンなどの現代音楽の影響によって制作された楽曲らしいですね。
まぁ、「KID A」の音楽性については、リスナーの間で、メンバーのギターやドラムが入っていないのにロックと言えるのか、といった論争があったらしいですね。
私の場合は、90年代からのテクノ・リスナーであった為、特に違和感も無く「KID A」のエレクトロニカ的サウンドに浸る事が出来たし、当時は、ビョーク辺りと同じ感覚で聴いていたんだよねぇ。
「KID A」の中で、特に気に入っているのは、ジョニー・グリーンウッドが奏でる古典的な電子鍵盤楽器オンド・マルトノのサウンドですね。
又、ヴォコーダーで加工され、カット&ペーストされたトム・ヨークのヴォーカルも面白い試みだと思いますねぇ。
因みに、村上春樹「海辺のカフカ」の主人公の少年も「KID A」を愛聴していて、MDウォークマンで、このアルバムを聴いているシーンを、私は読んだ事がありますね。
「KID A」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「ぼくら、虚言で人心を惑わそうとしてるわけじゃない これは現実に起きてることなんだ」-(「IDIOTEQUE」)
-「ここにいるみんな みんなもうちょっとのところで なんとかふんばっている」「ここにいるみんな みんな何かが怖い なんとかふんばってる」-(「THE NATIONAL ANTHEM」)
AMNESIAC / RADIOHEAD

アムダ、西アジア行く・・・、じゃなくて、「AMNESIAC」ですね。(アムダ(AMDA)とは、アジア医師連絡協議会の事で、アジア地域の医師ら医療関係者で組織される国際医療の非政府組織NGO。)
「AMNESIAC」は、レンタルしてリッピングして聴いていますね。
「AMNESIAC」は、「KID A」の姉妹作と言える内容で、アルバムのチャートとしては、英国で1位、米国で2位のヒットとなり、レディオヘッドが世界のトップバンドである事を証明する結果になりましたね。
まぁ、アルバムのバランスとしては、「AMNESIAC」より「KID A」の方が優れているけれど、歌やギターの印象に関しては、良くも悪くも「AMNESIAC」の方が耳に馴染みますね。
実験性の高いトラックとしては、奇怪なビートのループに声がサンプリングされた「Punk/Pull Revolving Doors」や、逆回転で録音された「Like Spining Plates」が印象的ですね。
又、ニュー・オーリンズ・ジャズ風のホーンが脇役を務めるメランコリックな「Life in a Glasshouse」など、トラディショナルな音楽からのアイディアも面白いですねぇ。
「AMNESIAC」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「もう未来なんて何も残ってないと 昔は思ってたんだ」「楽しくやってようよ、なんでもないんだから なんでもないんだ」-(「I MIGHT BE WRONG」)
-「もし君が犬だったら、生まれた瞬間に溺れさせられてるよ」「僕の目をじっと見ろよ、そうしなきゃ分からない、本当の事を言ってるんだって」-(「KNIVES OUT」)
HAIL TO THE THIEF / RADIOHEAD

ベイルート、踏査、ジープ・・・、じゃなくて、「HAIL TO THE THIEF」ですね。(ベイルートとは、レバノン共和国の首都。地中海に面し、もとフェニキア人の都市。中継貿易・金融などで繁栄。)
「HAIL TO THE THIEF」は、以前、輸入盤を所持していて、今はリッピングして聴いていますね。(因みに、国内版は、CCCD(コピーコントロールCD)になっている。)
「HAIL TO THE THIEF」は、2003年6月にリリースされ、イギリスで1位、アメリカでも3位を共に初登場でマークして、大ヒットを記録していますね。
アルバムのカヴァー・アートは、トム・ヨークから発せられた言葉の書かれた壁をモチーフとしている、との事ですね。
「HAIL TO THE THIEF」は、ジョージ・W・ブッシュへの批判なども含め、政治的な姿勢や社会の問題へのメッセージを明確にした作品になっていますね。
サウンドは、エレクトロニカ色を残しつつ、バンド・サウンドへと回帰していて、これまでの活動を整理した音楽性になっていますね。
「HAIL TO THE THIEF」の収録曲で、特に着目すべき曲は、1曲目の「2 + 2 = 5」ですね。
「2 + 2 = 5」は、ジョージ・オーウェルの小説、「1984年」にインスパイアされて、作られていますね。
(因みに、昔、私が働いていた大坪製作所という会社の事務所では、一応、常時OLが居ましたね。)
「2 + 2 = 5」は、「二重思考」の事を意味していて、「相反し合う二つの意見を同時に持ち、それが矛盾し合うのを承知しながら、双方とも信奉する事」を意味していますね。
つまり、2+2=5とは、2+2=4である事を知っているが、2+2=5である事が真実である事を疑わない、という事ですね。
「1984年」の主人公、ウィンストン・スミスが、日記に書いた言葉を以下に記しておきますね。
「自由とは、2足す2が4である、と言える自由である。その自由が認められるならば、他の自由は全て後からついてくる。」
「HAIL TO THE THIEF」の曲の中で、社会的メッセージ性のある着目すべき歌詞を以下、抜粋。
-「君は、そこまで夢見てられるのか? 世界に秩序を取り戻そうと思う程に?」「そして いつだって2たす2が 5になる いまや悪魔の思うまま 抜け出しようがない」
「叫んでも 騒いでもいいけど もう遅い だって 君がちゃんと 注意を払ってなかったから」「「でも僕は違うんだ!」「信憑性を問い正したり、裁判にかけたりしないでくれ」」
「王のところに行って告げるといい 空が沈没してくるって そうでないときは たぶんそうじゃない (あーもう、わかったわかった)」-(「2 + 2 = 5」)
-「廃品業者にあつらえむきだって 冗談じゃない 何かとんでもないことが起こるって 冗談じゃない」「こうやってぼくは巻き込まれていくんだ 冗談じゃない」
「これから眠るんだ、すべて洗い流してしまおう」「そう、ぼくは眠るんだ 洗い流してしまおう こんなことすべて」-(「GO TO SLEEP」)
-「ぼくたちは事故 いまにも いまにも起きそうな ぼくたちは事故」-(「THERE THERE」)
In Rainbows / RADIOHEAD
引例、忘ず・・・、じゃなくて、「In Rainbows」ですね。(引例とは、証拠として引用する事。また、その例。)
「In Rainbows」は、レンタルしてリッピングして聴いていますね。
「In Rainbows」は、英米1位で、グラミー賞も獲得していて、後期の代表作となっていますね。
まぁ、「In Rainbows」で、印象深い事と言えば、公式サイトからダウンロードで先行販売した際に、購入者が好きな価格で買えるという設定にしていて、リスナーの間で賛否両論の声が巻き起こった、という事ですね。
(2026/3/27)