2020年9月末の爽やかな秋晴れの下、
寒河江市にある開山1300年の古刹・慈恩寺へ――
三重塔の前の駐車帯に車を停め、いざ。
地元の2ヶ所の五重塔を何度も見ているため、三重塔は新鮮に目に映ります。
これはこれで安定感があっていいですね。
摂関家藤原氏、奥州藤原氏、寒河江荘大江氏、山形城主最上氏、
そして江戸府の寺領を受け、東北随一の巨刹となったようです。
国史跡。
それよりも気になったのはこちらの湧き水。
実はここを見ておきたいと訪れるのを楽しみにしていました。
湧き水大好き!(飲みはしません)
不動明王でしょうか。
慈恩寺文化調査責任者の方(阿部西喜夫さん)による歌碑。
「いにしえの たくみのわざをもるごとし やまふところに 慈恩寺の塔」
山門の方へ向かいます。
右手は参道(奥の方に真っ赤な彼岸花も見えました)。
山門の二階は舞楽奏上舞台にもなります。
慈恩寺の山号は瑞寶山。
後白河法皇と源頼朝により賜ったもの。
元は寒江山大慈恩律寺として始まったそうですが、
その山号も「寒江山」→「雷雲山」→「瑞寶山」へと変わりました。
仁王像。
行基に見いだされ、聖武天皇の勅によって746年に創建されたここ慈恩寺は、
修験による祈願寺として御朱印地を拝領していたため檀家を持たなかったようです。
江戸時代に一山は、3ヶ院48坊に達したとか(現在は3ヶ院17坊)。
本堂。
鐘楼。
特別公開中の薬師堂と、阿弥陀堂。
薬師堂の中の薬師如来の両側に立つ脇侍の
日光・月光菩薩それぞれが持つ日輪と月輪の中には、
使いのヤタガラスとウサギが描かれています。
昼夜問わず人々の苦しみを取り除いてくれるという日光・月光菩薩は、
まるで交代制でお世話してくださる看護師さんのようですね。
無論、薬師如来は医師。
背後に立つ十二神将(警備員?)らも心強い。
神仏にすがるしかなかった時代、人々はどんな思いでお参りしたことでしょう。
釈迦堂と天台大師堂。
かつては山一帯にお堂が沢山あったそうです。
新奥の細道コース案内板。
手水舎。
秘仏の公開やイベント等も常に催しています。
昔、この山門で行われる舞楽『陵王』の写真や映像を観た際に衝撃を受けました。
※陵王…中国北斉の皇族(母不詳)で美声と美貌の名将・蘭陵王(蘭陵武王)
陵王の神々しくも異様な雰囲気や舞楽面もさることながら、
陵王の頭上にある四角い笠らしきものがUFOにしか見えず、
陵王がそこから降りてきた宇宙人にしか見えなかったのです(笑)。
……天皇の即位の礼の時にも思いましたが。
美しい彼岸花たち。
山門すぐ隣りの華蔵院の前に咲いています。
別名、曼殊沙華。
この花を見る度、高校時代に絵の上手い友人が描いていたのを思い出します。
それはさておき、実は華蔵院の境内に、
「寅さんの腰掛石」なるものがあったようです(今調べていて知りました)。
映画『男はつらいよ』の墓参りのシーンのロケの際に渥美さんが腰かけたとか。
――では車に戻り、再び三重塔とその上の雲。